おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
フランケンシュタインモンスターが実在した学説を証明するべくドキュメンタリー撮影クルーと北極圏へ調査に乗り出した一行が遭遇する地獄体験を描いたPOVホラー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、フランケンシュタインモンスター実在を証明するために北極圏まで出かける撮影クルーを描いたPOVホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
オックス・フォード大学で、修士号を習得したジョナサンは、フランケンシュタインモンスターは実在する、
という学説を証明するため、小説の舞台となった北極圏に、ドキュメンタリー撮影クルーと共に調査に向かった。
しかし、そこは一行の想像をはるかに超えた危険な地域で、人間が足を踏み入れてはならない場所だった!?
フランケンシュタインモンスターは実在した、という突飛な設定のPOVホラー作品です。
突飛な話ではありますが、出だしの設定は意外に凝っていて、物語の導入は非常に引き込まれるような始まりとなっています。
遺伝子研究の大家の子孫である主人公ジョナサンが、実は、自身の家系には代々継承していた【ある手紙】が存在して、
その手紙があったために、自身は長年ある事を研究している、という内容のインタビューから始まります。
で、その手紙というのが、1818年にメアリー・シェリーによって出版された古典小説(フランケンシュタイン)に関する手紙で、探検隊の隊長からの報告形式で進むその小説の事柄は、
実は実際に起きた事件で、実在した探検隊の隊長がジョナサンの祖先に贈った手紙を基に、メアリー・シェリーが小説化した、という衝撃の説を語っていきます。
で、遺伝子工学の隠れた大家だったジョナサンの祖先が、人間の遺伝子と長寿の生物との遺伝子を掛け合わせて創造したのがフランケンシュタインモンスター(因みにフランケンシュタインは博士の名前で怪物の名前は実際はモンスターです)で、
今も、作品の舞台となった北極圏で、そのフランケンシュタインモンスターは生きている、というワクワクするような空想科学の世界観によって、いよいよメインの展開へと突入していきます。
で、勿論北極圏で、探検隊が探検をするような土地で、非常に寒さと熊や狼などのワイルドで危険な動物たちが生息している地域ですので、
その辺の家屋で部屋の電気を消して気楽に撮影したようなPOV映像ではなく、どこを映しても真っ白な大自然で、
白い息を吐き、狼の遠吠えを聞きながら、フランケンシュタインモンスターを捜索していきます。
怪しすぎる現地の目撃証言者や、乱暴な口調と態度の現地ガイド等のホラー映画のお約束キャラクターが登場する中、
非常に緊迫感がアオラレ、雪に囲まれた大自然、という物凄く開け放たれた空間ながらも、非常に危険度の高い困難な状況で、いつものようなPOV撮影が慣行されていきます。
という感じで、トンデモ学説の導入から、お約束の怪しいキャラクターの登場、見ているだけで過酷とわかる大自然の状況、
そして、あまりにフランケンシュタインモンスターの存在を信じるあまり、存在を証明する事に執着しすぎて若干サイコの領域に入りだしている主人公に、
撮影隊の中に必ずいる調子ノリ、唯一まともな判断を下す女性レポーター、という感じで非常に期待感が盛り上がる流れの前半となっています。
しかし、いざ、フランケンシュタインモンスター登場、という一番の見せ場の段階に入って来ると、様子が変わってきます。
※↓ここから先は、後半の展開に触れていますので、ご注意ください↓※
本作、POV作品ではありますが、POV作品としてのリアル感よりも、普通の映画的な演出に近い表現になっていますので、
途中、何度もPOVにしては不自然なカットが入ったり、怖い雰囲気のBGMが平気で流れたり、という感じで、POV表現と普通の演出表現が、行ったり来たりするのですが、
いざ、フランケンシュタインモンスターに遭遇する展開になってくると、
ギャーギャーと襲われる声だけで実際の現場だけは徹底して描かない、もしくは被害にあった後の成れの果てだけ映す、
という、ホラー作品で、ある意味一番の見せ場だけを見せない、というリアルなのかどうかも良く分からない表現の連続となっていきます。
雰囲気作りと、期待感を煽るのは上手いのに、一番観たい部分は決して見せてくれない、という感じでしょうか。
で、見えないところで犠牲者は増え、いよいよ最終的に、カメラに映った物凄い怪物のような唸り声をあげていたフランケンシュタインモンスターは、、、
ワイルドな洋服を着た、普通のゴツ目のおじさん!!
という、こちらもリアルなのかどうかも良く分からない風貌に、どう感じて良いのかも分かりませんが、
とりあえず、
未知の生物と遭遇した恐怖感よりも、見た事のあるおじさんと再会したような安心感に包まれながら終幕を迎える事になります。
あまりに、目撃証言の遥か下を行く風貌に、どう見ても武装して複数で立ち向かえば、飛び道具無しでも絶対に勝てそうな真実の姿に、
フランケンシュタインモンスターが実在した、という衝撃より、その華奢な姿で、二百年以上も人間を何人も襲いながら、
しかも、誰にも知られずに生きながらえてきた、という事実の方がよっぽど衝撃的な終幕となっています。
という事で、アメリカ版、日本版両方で採用されているDVDジャケットは、かなり盛っています。
まるで、普通の人間のサイズを大きく超えたモンスターが立ちはだかり、人間を見下ろしているようなデザインですが、
実際はチェ・ホンマンより少しちいサイズぐらいなので、ゴツ目のおじさんが、足元に注意を払っている瞬間を捉えた日常の風景、という感じでしょうか。
という事で、出だしは好調、中盤までは雰囲気も良かったものの、クライマックスに近づくにつれて失速してしまう内容ながらも、
過酷な土地まで出向いて撮影しているレニー・ハーリン監督の秀作POV(ディアトロフインシデント)(詳しくはこちら)のような雰囲気も持つ作品となっていますので、
POV作品好きの方や、ホラー映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
2013年製作 アメリカ製作 POVホラー
監督・製作・脚本 アンドリュー・ワイナー
出演 クレム・レムキー、ヘザー・アダムス、エリック・ザッカーマン、ブライアン・ヘンダーソン
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