お薦め度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
高度1万メートルで飛行中に実際に起こった飛行機破損事故をアンドリュー・ラウ監督が描くパニックドラマ!!
作品紹介
2020年10月2日公開
今回ご紹介するのは、2018年に実際に起こった飛行機破損事故を(インファナルアフェア)のアンドリュー・ラウ監督が描くパニックドラマです。
それでは、まずはあらすじから、
2018年5月14日、中国の重慶からチベット自治区のラサ行きの四川航空8633便が、リュー機長(チャン・ハンユー)を含む9人のクルーと119名の乗客を乗せて離陸する。
しかし、1万メートル上空を飛行中に操縦室のフロントガラスにひびが入り、その後、フロントガラスは大破。
機内の気圧の急激な低下により、機体の制御もままならなくなり、操縦室は瞬く間に氷点下30度まで下がり、自動操縦も不可能になるのだった、、。
2018年に実際に起きた飛行中の航空機の破損事故から生還した奇蹟の実話を(インファナルアフェア)シリーズや、(イニシャル頭文字D)で有名な香港界のヒットメーカーアンドリュー・ラウ監督が映画化した作品です。
中国版の(ハドソン川の奇蹟)と形容されたぐらいの奇蹟の実話です。
元になった事故は乗員乗客128名全員が奇蹟の生還を遂げていますので、本作で描かれている物語は、当事者の証言を基に製作されていますので、多少の映画的な脚色はあるにしても、非常に信憑性があるものとなっています。
よくある、実際に起きた事件の映画化でありながら、全員犠牲になってしまっているのに、誰の証言を基に映像化しているのか、良く分からない、ほとんど想像で創作しているような作品とは異なります。
最後のスタッフロールが流れる場面では、ご本人たちが、映画スタッフと一緒に撮影した風景や、
実際の勤務時の映像などでてきますので、しっかり当事者たちが協力して描いた実話の映画化、という面で信頼性のあるものとなっています。
正直、副機長が事故当時、体の上半身が機外に投げ出されている状態で暫く飛行した後に、助かった、というエピソードが、
まるでB級映画の設定みたいだと思っていたのですが、まさかの実話のようで、驚愕です。
実際作品を鑑賞すると、これで全員助かったというのは、本当に奇蹟の実話、といった感じです。
機長を演じる(マンハント)などでもおなじみのチャン・ハンユーは非常に無骨で不器用な男で仕事に対してはストイック、という描かれ方をしていて、渋さが極まっています。
他のクルーも全員、キャラクターもはっきりしていて、分かり易く描かれています。
この辺りは、流石、香港映画界でヒット作品を数多く輩出してきたアンドリュー・ラウ監督の面目躍如、といったところで、
本作をただの実話の映像化としてだけではなく、しっかりとしたエンターテイメント作品として、まるでテンポの良いアクション映画を観ているような感覚にさせてくれます。
ただ、中国では大作で、気合もかなり入っていて、予算も多くかけられたと思われるのですが、全体的に豪華な出演陣の外見が、あまりに整い過ぎていて、若干違和感を感じてしまうのですが、どうなのでしょうか。
実話の映画化なのでもう少し、庶民的な雰囲気の人も入っていて良かったような気がしますが、、。
かなり、個人的な意見ですが、、。
物語的には、実話で結果も決まっていますので、後半は、どのように奇蹟的な生還を遂げたか、という展開につきますが、
着陸成功後にそれまで、機体の制御に集中的にあたっていた機長が、
最後の最後に機を降りる際に、クルーと共に、「乗客の皆さんに、ご迷惑をおかけした事を、お詫びしよう」と、
あくまで、プロフェッショナルとしてしっかり最後まで応対する姿勢が、無骨なキャラクターと相まって非常に感動的でした。
テレビカメラの前で大勢の助かった乗客や、その家族たちに拍手と感謝の声援に見守られながら、お辞儀している姿がとても感動的でした。
カメラの前で頭を深々と下げながら、罵声を浴びているシーンはときどき見かけますが、感謝の言葉と拍手を浴びているシーンはあまり見た事がありません。
奇蹟の実話がなせる重みが、この名シーンを生み出しているのだと思います。
という感じで、本作は、まるでB級パニックもののような出だしの、衝撃の実話の映画化作品で、全員が助かっている、という安心の事実もありますので、
あまり重くならずに鑑賞できる作品となっていますので、機会がありましたら、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
2019年製作 中国製作 パニックドラマ
監督 アンドリュー・ラウ
出演 チャン・ハンユー、オウ・ハオ、トー・チアン、ユアン・チュアン、チャン・ティエンアイ
その他の実話の映画化作品
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