おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
香りの影響でタイムリープする不思議な力を持つ少女が、自身が生まれる前の若い母の過去の時代へ行き来する独特な味わいのサスペンスドラマ!!
作品紹介
2022年11月18日公開
今回ご紹介する作品は、香りの力でタイムリープする少女の不思議なサスペンスドラマです。
それでは、まずはあらすじから、
フランスの山奥の村に住むジョアンヌとヴィッキーの親子は、平凡な毎日を送っていたが、村から離れていた叔母ジュリアが姿を現した事で、
村はざわめき出し、ヴィッキーは特定の香りをかぐことで、過去へタイムリープする事ができる特殊能力が覚醒し、
母と叔母の過去へとタイムリープしてしまうのだった!?
タイムリープ要素を盛り込んだサスペンスドラマ作品です。
監督は(パリ13区)や(ダブルサスぺクツ)の脚本家として知られるレア・ミシウスで、女性監督ならではの目線で、女性がメインのドラマを演出しています。
主演は、(アデル、ブルーは熱い色)や(アナーキスト 愛と革命の時代)等のアデル・エグザルコプロスで、
過去にある秘密を持ち、現在では娘の不思議な能力に戸惑う母親役を好演しています。
娘役は、本作がデビューとなったサリー・ドラメで、深みのある表情で、特殊能力を持った不思議な少女を好演しています。
主人公の夫の妹で、過去にある事件に関わった女性役を演じているのは、フランスで歌手や舞台女優として活躍しているスワラ・エマティで、
怪しさと悲しさを併せ持つ独特の役柄を好演しています。
主人子の夫役には、ミュージシャンから俳優に転身したムスタファ・ムベングで、妻とは距離を置きながらも、
幸せに暮らそうとする夫を演じています。
という、主人公役のアデル・エグザルコプロス以外は、かなりフレッシュなキャストとスタッフで製作された本作の物語は、
かなり独特な雰囲気で、まずは、平和そうな母親と娘の平凡な日常を、綺麗な景色とゆっくりとした語り口で描いていきます。
特に多くを説明する事はなく、平凡な日常風景の中に、少しづつ気を引くような要素を散りばめていく、
という、(イット・カムズ・アット・ナイト)(詳しくはこちら)やM・ナイトシャマラン監督の(ノック)のような独特な設定の謎映画のような雰囲気で、
少しづつ背景が分かっていくような描き方となっています。
で、その小出しの事実で、母親と父親の間の愛情が薄れている事、娘は内向的で、母親の匂いのするものを集めてビンに封印している事、
学校では、割と激し目のいじめを受けている事、そして、その街では過去に何か大事件が起こっていることなど、
気になる点が散りばめられていきます。
で、その何かの事件によって、街は大きく傷つき、その事件によって人生を大きく狂わせられた人なども存在し、
村人全員が忘れたいけれども、決して忘れられない負の記憶に、主人公が大きく関わっていた事などが、少しづつ分かって行きます。
そんな時に、主人公の夫の妹ジュリアが、街に帰って来る、という事で、村人がざわめき始めます。
詳しい出来事について書いてしまうと、一応謎映画ジャンルですので、物語展開がそのまま作品の楽しみと直結してネタバレになってしまいますので、
詳しくは割愛させて頂きますが、ある大事件の当事者が、その妹で、その事件の中心にいた事で、村人に大きな影響を与え、
裁判も行われて、村では住めなくなって他の街に引っ越していった、という過去があり、そのジュリアの存在が、
主人公の過去のドラマに大きく関わっている事が分かっていきます。
で、娘にとっては、叔母ですので、興味津々ではありますが、なんとなく嫌な感覚があり、叔母とは距離を置く事になりますが、
この叔母が登場する事で、娘の中の不思議な力が急速に覚醒していき、特定の匂いをかぐことで、過去の村へとタイムリープし、
その時代で自由に動き回ることができる、という特殊能力が覚醒していきます。
で、何度もタイムリープを繰り返すうちに、自身が生まれる前の出来事に遭遇し、村人たちが忌み嫌う秘密の出来事を目の当たりにすることになります。
過去にタイムリープする事で、自分自身が生まれるきっかけ等、自分自身の生まれに関する出来事を自分の目で見る事になります。
一応、娘が過去に行っている間は、その時代の人々には娘の姿は見えないようですが、ある一人だけには娘の姿をしっかりと認識できるようで、
その事実によって、過去ので出来事にも色々と影響を及ぼしていく事になります。
それを理解した時に、娘は何を想い、どういう行動をとるのか?というのがクライマックスにかけての見所となっていきます。
謎展開のゆっくりとした説明から、興味を徐々に引いておいて、後半からはタイムリープ展開を随所に入れていく、
という興味のそそり方が非常に上手く、且つハリウッド映画ではあまり見れないような大自然に囲まれた静かな村が舞台、
という事で、非常に大人向けの雰囲気に満ちた作品となっています。
ただ、雰囲気もの、的な表現が多く、見ている側の判断にゆだねるような表現が多々ありますので、
娘に何故特殊能力があるのか?きっかけは何か?タイムリープしてから、いつ、どうやって現代に戻ってきているのか?
等の娯楽系の作品で必ずされるようなしっかりした説明もありませんが、あえて描かない、という想像力を掻き立てるような雰囲気を重視した作品ですので、
それはそれで雰囲気ものスリラーとして結構楽しめる作品となっています。
個人的には、過去の時代の登場人物と現在の登場人物の描き分けが無さ(外見上の見分けがほとんどつかない)過ぎて、
しかも、過去と現代の行き来のきっかけがほとんど無くなっていくので、過去の出来事を描いているのか、現在の出来事を描いているのか、
見分けがつかなくなってしまいました(わざと混乱させるための演出かもしれませんが)ので、もう少しタイムリープものを意識したような描かれ方だと、
もっと物語展開を楽しめたような気がするのですが、どうでしょうか。
と言っても、雰囲気ものの謎映画に分かり易さを求めてもしょうがないのですが、、。
という事で、タイトルから5匹の悪魔が牛耳っている村のオカルトホラーを想像して鑑賞した方は、イメージとの違いにギョッとするかもしれませんが、
鑑賞しながら、色んな事を深掘りして考え巡らす、という楽しみ方もできそうな雰囲気謎サスペンスドラマとなっていますので、
(ツインピークス)や(シャイニング)等の大自然を背景にしたサスペンス好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
因みに(ファイブデビルズ)は、この作品の舞台となる架空の村の事で、恐らく5つの峰(山)に囲まれた位置にあるので、
その名前が付いた、という設定だと思われます。
作品情報
2021年製作 フランス製作 サスペンスドラマ
監督・脚本 レア・ミシウス
出演 アデル・エグザルコプロス、サリー・ドラメ、スワラ・エマティ、ムスタファ・ムべング、ダフネ・パテキア
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