おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
イタリアあやかり監督オリヴァー・ヘルマンによる、(ジョーズ)のサメをそのままタコに置き換えた、シャチのパペットVS普通のタコのラストバトルがなんともサムい、でもレジェンド俳優のキャスティングだけは凄いアニマルパニック作品!!
作品紹介
1977年6月11日公開
今回ご紹介する作品は、ジョーズの設定をそのままタコに置き換えたようなアニマルパニック作品です。
それでは、まずはあらすじから、
カリフォルニアのビーチで10か月の赤ん坊と作業中の男性が何者かに襲われ、遺体となって発見される事件が発生した。
調査を開始した警察と事件を嗅ぎつけた敏腕記者ターナーは、海底に潜む何者かの真相究明に乗り出すが、さらに犠牲者が続出していく。
そんな中、身内が犠牲になった海洋学者ウィルは、決死の覚悟で何者かに戦いを挑む!?
監督は、(エクソシスト)のあやかり作品(デアボリカ)で有名なオリヴァー・ヘルマンで、本作でも明らかに有名作品にあやかったモンスターパニックを演出しています。
主演は、(天地創造)や(マルタの鷹)等の名作を多く監督している大監督のジョン・ヒューストンで、
本作では前半の主演俳優として事件を追いかけていきます。
で、その妹役で、(ポセイドンアドベンチャー)や(アンネの日記)等のシェリー・ウィンタースが登場し、
今回は潜水を披露はしませんが、息子の危機に対処していきます。
で、土地開発事業を進める会社の経営者役で、(十二人の怒れる男)や(間違えられた男)等のヘンリー・フォンダが登場し、出番は少ないですが印象を残していきます。
で、後半の主人公とも言える潜水士役で、(ワイルドバンチ)や(キラーエリート)等のサム・ぺキンパー作品で知られる、
ボー・ホプキンスが登場し、最終的には大活躍を見せてきます。
そんなスタッフ・キャストで製作された本作の物語は、カリフォルニアのビーチで、ベビーカーに乗った赤ちゃんと、
ヨットで作業していたおじさんが、何者かに襲われて海で発見される、という痛ましい事件が発生するシーンから始まります。
で、敏腕記者であるジョン・ヒューストンが、早速事件を嗅ぎつけ、取材を開始しますが、被害者の遺体の状況が凄まじく(おじさんの方だけ映ります)、
内臓や皮膚など全ての器官が吸い出されて骨だけになっている(と言いながら、実際の映像では、結構骨以外も残っていましたが、、)という事で、
人間以外の何かの生物に襲われた線が濃厚になっていきます。
ただ、赤ちゃんの方は、海辺ではあるものの、陸上にいたのでサメに襲われたわけではない、というところで行き止まりますが、
海底を捜索するために、その地域の海底トンネル開発会社の経営者ヘンリー・フォンダが雇ったプロのダイバーが派遣される事で事件は急に動き始めます。
本来は、このダイブは後半主人公に昇格するボー・ホプキンスが行うはずでしたが、数か月前に潜水病にかかってしまい、
海底45メートル以下には潜れないので、別の若手コンビが潜水する事になります。
で、実際潜ってみると、ある海底の岩影に何か動く物体を発見し、、、、、、、
、、、、、という流れで、お待ちかねの大ダコが登場し、2人のダイバーに襲い掛かり、2人とも犠牲になってしまいます。
その辺りから、警察や関係者等総出で、タコと全面対決展開になりつつ、少し離れた場所で開催されているボートレースに、
息子とその友達を参加させるために海岸にやってきたシェリー・ウィンタースの呑気なシーンが挿入され、
緊迫した状況に、、、一応、なっていくというのが、大体の大筋となっています。
簡単に言ってしまうと、ハリウッド作品の(ジョーズ)の大枠を、そのまま真似たような内容で、
タイトルも本家が、サメ映画に対して(JAWS=顎)というタイトルを付けているのに対して、本作では巨大タコ映画に(TENTACLES=触手)というタイトルを付ける
というタイトルのセンスまであやかった、あやかりを前面に推しだした作品となっています。
ただ、実際(TENTACLES=触手)があるのは、10本足(腕)のイカの方で、タコにあるのは8本の足(腕)のみで、
イカには(TENTACLES=触手)があるので、その分2本の触手を足して10本の足(腕)があるそうです。
勘違いですね。
イカにしとけば良かった、、、、。
ただ、あやかりが前面に出ている部分や、そういうちょっと抜けた部分も含めて本作の魅力となっています。
その抜けた感じは、ジョン・ヒューストン、シェリー・ウィンタース、ヘンリー・フォンダ等のレジェンドスターが登場しておきながら、
全員活躍しそうな雰囲気を醸し出しながらも、何一つ活躍しない、
という各キャラクターの物語展開への絡み方にも顕著に出ています。
活躍しそうに動いているレジェンドが、全然活躍しない=物語が全く進まない、という事になりますので、結果的に物語展開も進みそうで進まない展開が長めに続きます。
ただ、その割には、急に展開する事が多く、タコが犯人という事実は、何の証拠もないのに、突然
ボー・ホプキンス『これは、巨大タコの仕業だ。』
という、台詞一発で、『えっ?タコっ!?そんなわけないでしょっ!!』という信じない人々を説得する盛り上げる展開等も一切なく、
海に詳しい男が、そう言っているから、という理由だけで、全員巨大タコは存在し、犠牲者たちを襲った犯人だと共通認識となったりして、状況は急に変わっていきます。
この極端な展開はその後も続き、前半脇役としか思えないような扱いだったボー・ホプキンスも、
あまりにレジェンドの活躍の場が無さ過ぎて消去法的に急に活躍する事になりますが、その頃には潜水病のせの字も無くなっていますので、
45メートル以下には潜れないのに、潜らないとタコを倒せない!?とか、仲間と追い込まれて45メートル付近まで行ってしまって、
仲間を助けるためには、45メートル以下のデッドラインに迫らなければないらい!?とか、そういうドラマチックな盛り上げは全てスルーしていきます。
しかも、せっかく主人公に格上げしたボー・ホプキンスも、クライマックスで英雄的に活躍するのかと思いきや、
結局研究所で飼育していた二匹のシャチが、主人公そっちのけでしゃしゃり出てきて、ド迫力のアニマル大激突、、、、、、
、、、、ではなく、
普通サイズのタコとパペットのシャチによる、シャチVSタコごっこを見せられる
という呆気にとられるラストバトルが、なんとも言えない抜け感を伴って本作独自の味となっています。
勿論、パペットごっこでクライマックを押し切る作品だけあって、作品中に登場する大タコは、普通のタコの接写がメインで、
それも足のニョロニョロが中心ですので、たまに映る頭部(恐らく製作したメインはほぼ頭部のみかと思われます)という存在感の薄さで、全身がはっきりと映るシーンはほとんど存在しません。
で、その存在感の薄さを、演出と音楽で補おうと考えた(勿論本家ではそういう要素も大成功していますが)のか、
その独特過ぎる選曲と映像表現で、結構緊迫感のある大事なシーンで、
日曜午後、マダムのやすらぎティータイム
のようなBGMが流れたり、映像が急に静止画になったり、効果音や台詞等が一切なくなって、BGMだけが割と長めに流れたり、という感じで、
娯楽映画の範疇を越えた監督の不必要なセンスを前面に推しだしたような映像表現
が続きますので、急速に眠気に襲われる事になってしまいます。
ただ、このBGM、全く映像には合っていませんが、曲自体は良い感じの曲ではありますので、もしかするとこの曲にハマる方にとっては、
独特の雰囲気を持った唯一無二の映画として記憶に残る作品となるかもしれません。
という事で、テンタクルズの無いタコが登場する作品に、テンタクルズとタイトルを付けてしまう抜けた作品で、
ツッコミ所も満載ではありますが、レジェンド級のスターの説得力のある演技と、シャチとタコのバトルごっこが楽しめる、
唯一無二の作品となっていますので、パニック映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1977年製作 イタリア・アメリカ製作 アニマルパニック
監督 オリヴァー・ヘルマン 音楽 ステルヴィオ・チプリアーニ
出演 ジョン・ヒューストン、シェリー・ウィンタース、ヘンリー・フォンダ、ボー・ホプキンス
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