お薦め度 ★★★★★★☆☆☆☆
ニコール・キッドマンが初の刑事役でイメージを一新した、人生を踏み外した者の、後に遺す者たちへの挽歌!!
作品紹介
2020年10月23日公開
今回ご紹介するのは、ニコール・キッドマンが今までのイメージを覆すような汚れ刑事役に体当たりで挑んだ刑事ドラマです。
それでは、まずはあらすじから、
LA市警の刑事エリン・ベル(ニコール・キッドマン)は17年前の潜入捜査において大失敗し、今現在も刑事を続けてはいるが、その事件をきっかけに酒浸りの毎日を送っていた。
16歳の娘とも上手くいかずに、娘は地元のギャング団の一員と付き合っていた。
そんなある日、エリンの元に紫色に染まった一枚の紙幣が郵送されてくる。
そして、時を同じくして一人の男が他殺体で発見される。
現場に赴いたエリンは担当捜査官に「この事件の犯人を知っている。」と、言い残して現場を去る。
果たして、その真意は、、?
被害者と紙幣とエリンに何の関係があるのか、、?
ニコール・キッドマンが初の刑事役でしかも汚れ役を演じた入魂の刑事ドラマです。
監督は(ガールズファイト)でミッシェル・ロドリゲスを鮮烈デビューさせた女性監督カリン・クサマです。
とにかく始まって早々にニコールの老け顔メイクのどアップが、綺麗なイメージで売ってきたキャリアを台無しにしかねないほどの気合の入りようで、いきなり引き込まれてしまいます。
しかも、老け顔プラス酒に溺れた不摂生顔も入っているので、かなり血色の悪い、やつれ顔となっています。
その役柄に合わせた黒い皮のジャケットとしゃべり方や歩き方など、全体的にニコール・キッドマンの要素が無くなってしまうぐらいに変身を遂げています。
やはり、ハリウッドでアカデミー賞獲得するぐらいの女優さんになってくると違いますね。
役に成り切る名優はハリウッドで大勢活躍していますが、別人になってしまう程変身してしまう人は少ないのではないでしょうか。
特殊メイクの技術が凄い、という事もありますが、、。
内容ですが、本作は主人公が登場早々に、ダーティな刑事という事が明らかになっていて、酒場で酔いつぶれて、そこから直接出勤、というような毎日を送っています。
そこで事件が起こり、主人公が被害者と面識があるようで、そこから過去の出来事と現在を同時に描いていくという物語展開になっています。
ですので、始めに提示された台詞の意味などが、徐々に分かってきて、最終的に真実に突き当たる、という流れとなっています。
そこの過程で、何故主人公が道を踏み外してしまったのか、なども解ってくるのですが、
この現在のニコールと過去(17年前)のニコールを、両方本人が演じている、
というのが驚異的であり、またそれによって本作は他の作品にはないリアル感を獲得していると思われます。
普通、物語上17年間の経過があれば、違うキャストが演じたりするのが普通だと思いますが、本作はニコール本人が特殊メイクの力を借りてはいるものの、両方とも演じています。
なのに、違和感がない、というのは、やはり凄いですね。
そんな主人公が、自分の命を懸けて過去の自分の過ちを精算しようと、もがくラストは、
女性主人公でありながら、変な言い方ではありますが、男泣き(女泣き?)の展開となっています。
監督のカリン・クサマはロサンゼルスを舞台にした(ヒート)や(タクシードライバー)、(ユージュアルサスぺクツ)のような犯罪ノワールを意識して製作した、
との事で、なるほど、主人公エリンのやさぐれ感などはそういった作品からインスパイヤされているようです。
本作の名演で受賞こそ逃したものの、ゴールデングローブ賞の主演女優賞にもノミネートされたようですので、好評価で迎えられたようです。
というように本作は、美しさを売りにしていたニコール・キッドマンがあえて、その魅力を封印(過去の綺麗な時代のシーンも含めると逆説的に綺麗さが強調されてはいますが)し、
今まで見せていなかった一面に挑戦した入魂作となっています。
ニコール・キッドマン作品多数鑑賞されている方も、ほとんど観た事が無い方も楽しめる人間ドラマとなっていますので、一度ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品紹介
2018年製作 アメリカ製作 刑事ドラマ
監督 カリン・クサマ
出演 ニコール・キッドマン、トビー・ケベル、タチアナ・マズラニー、セバスチャン・スタン
その他の刑事ドラマ作品
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