お薦め度 ★★★★★★☆☆☆☆
【ストックホルム症候群】の語源となった、スウェーデン史上最も有名な銀行強盗事件!!
作品紹介
2020年11月6日公開
今回ご紹介するのは、『ストックホルム症候群』の語源にもなった有名な銀行強盗事件の映画化作品です。
それでは、まずはあらすじから、
何をやっても上手くいかないラース(イーサン・ホーク)は、アメリカへと逃亡するため、その資金稼ぎにストックホルムにある銀行強盗計画を実行する。
銀行員を人質に銀行に立て籠もったラースは、服役中の親友グンナー(マーク・ストロング)を釈放させ、二人で逃避行の計画を立てる。
そんなラースに人質に取られた銀行員ビアンカ(ノオミ・ラパス)は、彼らと行動を共にするうちに共感にもにた感情が芽生え始めるのだった。
(ブルーに生まれついて)の監督、ロバート・バドロー監督とイーサン・ホーク主演によるコンビ作第二弾です。
この二人に(ドラゴンタトゥーの女)のリスベット役や、(プロメテウス)でエイリアンと戦ったノオミ・ラパスとガイ・リッチー監督作品の常連俳優マーク・ストロングが共演した、本当にあったありえない事件の映画化です。
ありえない、というのは、この二人の実行犯(主犯はイーサン・ホークですが)がとにかく行き当たりばったりな計画の連続で、
およそ銀行強盗を犯す犯罪者のイメージとはかけ離れているからです。
おそらく本質的には善人の性格で、困っている人を放っておく事はできないような性格です。
以前にどこかに強盗に入ったときも、人助けをしてしまった結果、逮捕されるという、変な意味で少し新聞を騒がせてしまうような一面を持っているキャラクターです。
しかも、人質となっているノオミ・ラパスはその新聞記事を覚えていて、イーサン・ホークに「あなたはもしかして、新聞に載っていたラース?」と尋ねます。
それに対してイーサン・ホークは「いや、違う、人違いだ」と答えます。
でも、ノオミ・ラパスは「わかったわ、ラース」とラースの受け答えは無視しながらも、ラースと確信して答えます。
もう、確信しているんですね。
と、いうかバレバレです。
というように、籠城中、何度となくノオミ・ラパスがある意味主導権を握っているような雰囲気になります。
この辺の犯人と人質、という関係性が微妙にズレて変化していく過程を、
ロバート・バドロー監督とイーサン・ホーク、そしてノオミ・ラパスとマーク・ストロングという芸達者たちが、上手く表現しています。
おそらく他の出演者では、この絶妙の雰囲気は表現できないのではないでしょうか。
この絶妙の人間関係の変化は、観ている側にもしっかりと浸透し、後半にまでなると、
なんとか、この天然で人間味のある二人の犯罪者になんとか、逃げ切って欲しいとさえ思えてきます。
この天然でどこか憎めない性格の犯人だったからこそ、人質となった銀行員はどこかで犯人に共感してしまい、
結果的に被害者であるはずの銀行員が犯人の養護をするまでになる、という【ストックホルム症候群】の語源となるような事件を形作ったのではないでしょうかった。
で、そのような有名な事件の映画化でのすので、いったいどこまでが事実なのか?という部分ですが、
これが、驚きですが、結構な部分が史実に近い状態で映画化されているようで、
おそらく犯人と人質が交わした会話の詳細などは脚色されているとは思われますが、
警察との間の抜けたようなやり取り、や杜撰な計画などまるでコメディ映画のような流れは事実としてあったようです。
そう思うと、本作の事件が発生した1973年という時代特有の事件なのかもしれませんが、今よりは大らかな時代だった、という事ですね。
というわけで、本作は実力派の監督と芸達者実力派俳優3人の魅力がいかんなく発揮されている秀作となっていますので、ご興味ある方はご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
あ、因みに、マーク・ストロングのロン毛はやっぱり気になってしょうがないですね、、。
作品情報
2018年製作 カナダ・スゥェーデン製作 サスペンスドラマ
監督・製作・脚本 ロバート・バドロー 制作 ジェイソン・ブラム
出演 イーサン・ホーク、ノオミ・ラパス、マーク・ストロング、ビー・サントス
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