お薦め度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
7分間だけ過去にタイムスリップできる薬を手に入れた男が、どこかの時代で行方不明になっている親友の娘を助け出すために何度も過去へのタイムスリップを繰り返す、アンソニー・マッキー主演のSFサスペンス!!
作品紹介
2021年2月5日公開
今回ご紹介するのは、アンソニー・マッキーが色んな時代の過去に何度もタイムスリップを繰り返すSFサスペンス作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ニューオーリンズで救急隊員として勤務しているスティーブ(アンソニー・マッキー)は、駆け付けた現場で危険ドラッグ、シンクロニックの服用によって、
錯乱した結果、自殺や殺人を犯す人々が増えている事に気づく。
そんな時、親友の娘ブリアナ(アリー・ヨア二デス)が、突然行方不明となり、そのシンクロニックの服用が絡んでいるという事実が発覚する。
(アベンジャーズ)シリーズのファルコン役でお馴染み、アンソニー・マッキー主演のタイムスリップサスペンス作品です。
ただ、本作で表現されているタイムスリップは、(バック・トゥ・ザ・フューチャー)のようなハイテクタイムマシン、デロリアンなどが登場するような
SF色の香る作品ではなく、ドラッグを一粒飲むと過去限定で、7分間だけタイムスリップできる、という設定ですので、
あくまで日常生活に根付いた局面で、偶発的に過去に戻ってしまう、という、タイムスリップものの中では、ちょっと異色の設定となっています。
とは言いつつ、その時間が移行する間の映像表現は、現実の世界が徐々に過去に寝食されていく、ような表現をバリバリのVFXを使用して表現しているので、
しっかりとSFサスペンスの雰囲気は保っています。
物語の大筋としては、街で蔓延る危険ドラッグ、シンクロニックによって犠牲者が増えていく中、救急隊員である主人公の友人の娘が、
その危険ドラッグを摂取後に、行方不明になってしまい、主人公であるアンソニー・マッキーも独自に捜査を開始。
手がかりをつかむためにドラッグ販売店に行って、シンクロニックを買い占め自宅に持ち帰ると、そのシンクロニックを製造した科学者と遭遇、
実は、その薬は危険と分かったので、その科学者が全て買い占めて、残りはアンソニー・マッキーが買い占めた分が最後になる、と説明します。
※ここからは物語の展開に触れていますのでご注意下さい※
で、ここからが、かなりのSF設定なので、受け入れられる人、とそうではない人に完全に分かれると思うのですが、
そのドラッグは、脳の松果体(脳の中央にある内分泌器)に強く作用するもので、松果体には神秘的な力があり、その松果体に強く影響を加える事で、時間の概念も越える事ができる、と。
説明を聞いても何のことか、全く理解できませんが、本作は、その辺を詳しく説明するようなSF作品ではなく、あくまで一粒飲んだら過去に7分間タイムスリップできる薬を手にした主人公が、
その薬を服用して過去のどこかの時代に行ってしまったまま現代に帰ってこれなくなった親友の娘を探す物語、として展開していきます。
思い切った設定ですが、7分間、という条件も、タイムスリップに懐疑的だった主人公が、試しに薬を服用してみたら、実際タイムスリップできてしまい、
その法則を見つけるために何度も実験を繰り返してみた結果、7分間だけ過去に行ける、という事が分かった、という展開となっています。
ここでも、何故7分間なのか?などの説明はありませんので、そこはスルーするしかないですね。
で、行方不明になっている親友の娘を過去のどこかに探しに行く旅が始まりますが、薬は数袋しか購入していない(1袋に何錠入っているのかの説明もありません)ので、
あと、どれぐらいタイムスリップできるのか?は、はっきりと分かりませんが、残りはあまりない、ような説明がありますので、実際残りは僅かです。
どこまで過去にさかのぼれるか?という説明もありませんので、良く分かりませんが、途中でマンモスが登場したり、原始人が登場したりするシーンもありましたので、
今現在の時間から過去まで相当な時間の幅があります。
どう考えても、残りの薬の数では足りなさそうですね、、、。
というか、常識的に考えて一生かかっても、その後の世代が引き継いでも、絶対に見つける事はできなさそうですが、
それでは物語は進行しませんので、ラストにはちゃんと見つかります。
ラストの1往復分を残して。
何故、その時代に行方不明の親友の娘がいると分かったのか?という説明がないのは、もう慣れましたが、
タイムスリップする際には、どの時代に行けるか?は、本人には操作できないので、
完全に運任せだったはずなのに、ラストでは、しっかりとその親友の娘がいる時代にタイムスリップできてしまうのは、流石に、、。
勿論、何故そんな事ができたのか?その説明もありません。
本作のようにSF設定だけを用いたタイムスリップ作品には泣ける傑作ロマンス(ある日どこかで)や、近年はブラムハウス社製作の(ドント・レット・ゴー)(詳しくはこちら)など、
物語展開でハラハラさせてくれるような作品が多いですが、
本作の場合、流石に、設定や説明がちょっと不足しすぎている、というか、強引に物語を進め過ぎて、感情が高まりそうになりながらも、下がってしまう、というシーンが多かったように感じられます。
話の風呂敷が広がり過ぎて、説明も追いついていないために、盛り上がるような要因が多数あるのに、それがいまいち物語に結び付いていない、
といった展開が多く、そういえば、書き忘れていましたが、主人公は脳に腫瘍があります。
末期の癌で、松果体近辺なので、手術ではどうする事もできません。
で、検査の結果、癌ではあるけれども、主人公の松果体は奇跡的に老化の全くない、若い年代と同様の松果体のようで、
そのおかげで、若い世代にしかタイムスリップできないシンクロニックの影響も受けてタイムスリップができていたようです。
ではどの年代までタイムスリップできるのか?という部分の説明も勿論ありません。
というように、主人公が癌である事でタイムスリップは可能だったようですが、もう少しその設定も物語展開に活かして欲しかったところですね。
逆に、もっとコメディ的な作品でしたら、説明不要でも十分楽しめたはずなのですが、基本的に悲壮感の漂うミステリー作品なので、
もう少し説明しきれる設定になっていれば、本作もタイムスリップサスペンスものの、傑作になったような気がするのですが、どうでしょうか?
という事で、タイムスリップものの中では、かなり異色な内容となっていますが、松果体という神秘的な器官をメインに据えた物語としては、
なかなか興味深い内容とはなっていますので、そういった作品にご興味のある方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
松果体は物質と精神を繋ぐ器官と言われる場合もあるぐらいに神秘的な器官のようで、そこに時間旅行をプラスした、という部分に本作の価値があるのかもしれませんね。
作品情報
2019年製作 アメリカ製作 SFサスペンス
監督・製作 ジャスティン・ベンソン、アーロン・ムーアヘッド 脚本 ジャスティン・ベンソン
出演 アンソニー・マッキー、ジェイミー・ドーナン、ケイティ・アセルトン、アリー・ヨア二デス、ラミズ・モンセフ
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