クライムダウン(A LONELY PLACE TO DIE)100分

投稿者: | 2021年8月18日

お薦め度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆

偶然誘拐監禁されていた少女を見つけた登山家5人の、誘拐犯との決死のサバイバルをフルロケーションの絶景とともに見せる緊迫のサスペンスアクション!!でも、後半は別の映画!!

作品紹介

今回ご紹介するのは、登山家5人と犯罪者のチェイスを描いたサスペンスアクション作品です。

それでは、まずはらすじから、

スコットランドの高地を訪れたアリソン(メリッサ・ジョージ)を含む5人の男女は、インストラクターの先導の元、登山を楽しんでいた。

しかし、メンバーの一人が、地中に埋められた箱の中に、言葉の通じない少女がいるのを発見する。

少女が、何かの事件に巻き込まれている事を察知した5人は、至急少女を保護し、警察の呼べる麓まで二手に分かれて出発するが、

同時に、少女を生き埋めにしていた犯人たちが、そのことに気づき、5人の行く手に立ちはだかるのだった!?

地中から助けを求める少女を発見!奇跡的な偶然です!

スコットランドの高地を舞台に、誘拐されて監禁中の少女を偶然見つけた男女5人と、誘拐犯の攻防を描いたサスペンスアクション作品です。

山岳アクションといえば、シルベスター・スタローン主演の(クリフハンガー)や、クリント・イーストウッド主演の(アイガーサンクション)、

スペンサー・トレイシー主演の名作()や、(バーティカル・リミット)など、傑作が多く存在します。

これは、一部のCGなどを多用したような作品でない限り、そのロケーションを活かした、壮大な自然と、

そこにいるだけで、何が起こるか分からない、という自然自体の厳しさを活かした展開がサスペンスを盛り上がる大きな要因となっていて、

サスペンス系の物語をさらに盛り上げるのに最も適している舞台だからだと思われます。

ですので、山(さらに言うとそこにもう一つの困難が重なる雪山が一番盛り上がります)を舞台にしているサスペンス系の作品で、盛り上がらない作品はあまり存在しないのではないでしょうか。

それぐらいにサスペンスものとの相性の良い山岳アクション作品ですが、

本作は、勿論CGなどのセット撮影のようなシーンは無く、撮影自体も、かなり困難と思われるような角度からあえて撮影したりして、

普段の生活では絶対見られないような絶景もしっかりと鑑賞できるようになっています。

そんな絶景を眺めつつ、物語は、男女5人が偶然地中に埋められている(木箱のようなものに入れられて埋められ、呼吸用の管を設置されている)のを発見し、

その少女を掘り起こしたことで、埋めた犯人たち(誘拐犯)に狙われる、というサスペンス展開へと突入していきます。

ライフルで銃撃されつつ逃げる登山家二人。自然の厳しさプラス犯罪者からの追跡、という二段構え。

この前半の犯人と主人公達のチェイスが、非常にサスペンスフルで、しかも、犯人たちに見つからないように、早く警察に通報しに行くには、

危険なコースを十分ではない装備で、犯人たちよりも先に進んで行かなければいけない、という燃える展開になっていきます。

何故、そんな高所の地中に誘拐した子供を埋める、という回りくどい事をするのかは、詳しく説明されないので、謎のままですが、

とりあえず、偶然そこに出くわしてしまったので、主人公達と犯人(2人)のチェイスが、物語のメインとなっていきます。

ここで、銃などで銃撃されながら、脱落者を出しつつ、近くの村を目指していきます。

それなりの装備のある登山経験者者5人に対して、おそらく何の装備もなさそうな犯人側2人、しかも登山者側は二手に分かれますので、

広大な自然を舞台に、どう考えても人数的に、逃げる側の方が圧倒的に有利ですので、サスペンスとしては釣り合いませんが、

助けを呼びに行っている登山者は、ライフルで狙われながら命がけで村を目指します。

突っ込み所は多数ありますが、自然を舞台にした圧倒的な迫力は、その違和感以上に素晴らしく、

空撮や、困難な位置での撮影なども相まって、非常に緊迫感のあるシーンの連続となっています。

前半で、無責任な性格を晒していた登場人物も、なんとなく成長したのか、そんな設定を忘れてしまったのか

中盤では完全な善人となって少女を守るために奮闘し、命を投げ出してまで大活躍していきますので、後半への期待感は物凄く高まります。

、、と言うところで、後半になるのですが、何故か助けを呼びに行った登山者はいきなり村にたどり着きます

いきなり、というのは、本当にいきなりで、それまで丁寧に展開していた山間部でのチェイスシーンを観ていたら、いつのまにか街中を走っているシーンへと移ります。

要するに、村にたどり着く、というあまりに大事なシーンがなく、走っていたら、急に村(と言うか小さな町)に着いてしまいます。

で、そこから後半戦は、小さな町を舞台に犯人2人とチェイスをする、という前半の良い部分だけが抜け落ちてしまった普通のB級アクションへと急展開してしまいます。

しかも、犯人から逃げながら、他人の家(在宅中)にドアを破壊して強引に押し入り、家にある物をどんどん破壊しながら犯人と戦います

当然、住人もいますので、不法侵入された住人が歩み寄っていくと、問答無用に犯人に射殺される、というトンデモバイオレンス描写が炸裂します。

この少女一人を救うために、無関係の周りの人間が命を簡単に落としていく、という展開が暫く続き、結局20名近く犠牲になる、

という、もはや少女が助かっても、ハッピーエンドとは言えないような展開の連続でクライマックスを迎えます

これは、(ダイハード ラストデイ)などのハリウッド作品で、時々見かける、主要登場人物が無事であれば、周りの人間は、何人犠牲になっても、得に気にしない、という作風にどことなく似ています。

さらに、この大騒ぎの後、物語はまだ続き、少女の誘拐犯の生き残りと、誘拐された父親(マフィアっぽい)の身代金などの受け渡しサスペンスシーンで締めくくります。

そこでも、ちょっとしたアクションなどもあるのですが、もはや前半の登場人物とは全く無関係な登場人物たちの消化試合のような争いは、

流石に興味を持続するのも困難ですので、鑑賞し終わるころには、何の映画を鑑賞したのか分からないような感覚の残る作品となっています。

という事で、映画作品としてしっかりと、まとまった作品とは言い難い物語ではありますが、前半に関しては、山岳アクションとして十分楽しめる作品となっていますので、

アクション好きの方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

いや、それにしても落差の激しい作品です、、。勿体ない、、。

箱の中に入れられて埋められていた少女を発見

作品情報

2011年製作 イギリス製作 サスペンスアクション

監督・脚本 ジュリアン・ギルビー 脚本 ウィリアム・ギルビー

出演 メリッサ・ジョージ、エド・スぺリーアス、イーモン・ウォーカー、ショーン・ハリス、アレック・ニューマン、ホリー・ボイド

言葉の通じない子供を命がけで守る主人公。

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