お薦め度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
英国で最も宝石店が集中するエリア、ハットンガーデンで実際に起きた最高齢者による最高額の強奪事件を、英国レジェンドスター総登場で描くサスペンスコメディ！！
作品紹介
2021年1月15日公開
今回ご紹介するのは、2015年にイギリスハットンガーデンで実際に起きた金品強奪事件の映画化作品です。
それでは、まずはあらすじから、
かつて【泥棒の王】（キング・オブ・シーヴズ）と異名をとったブライアン（マイケル・ケイン）は、今は引退し、平穏な日々を送っていた。
しかし、愛する妻が亡くなったことで、かつての犯罪者としての血が騒ぎだす。
そんな時、知人のバジル（チャーリー・コックス）からイギリスで有数の宝石店が集まるハットンガーデンでの金品強奪計画を持ち掛けられる。
そこで、ブライアンはかつての腕利きの仲間を集めて強奪計画を実行に移すが、次第に仲間内で揉め事が起き始める、、、。
2015年に実際におきた金品強奪事件の映画化作品です。
当初はイギリスのギャング団による犯行とみられていたようですが、実際蓋を開けてみると、
まさかの平均年齢60歳以上の史上最高齢窃盗集団による最高額の窃盗事件とメディアを沸かせた事件の映画化作品となっています。
実際の事件の事をほとんど知りませんでしたが、内容的には、結構実際の事件に忠実に描かれているようです。
同じような高齢者による犯罪を描いた作品で、2017年に、本作と同じマイケル・ケイン主演で（ジーサンズ はじめての強盗）
という作品がありましたが、そちらは典型的なハリウッド映画で、より明るめの娯楽作品でしたが、
本作は実際の事件を、事件が起きたイギリスで、イギリスのレジェンド俳優たちによって映像化された作品ですので、
大筋は似てはいますが、コメディな一面もありながら、シビアな犯罪ドラマとしての一面もある
娯楽要素と高齢者がメインとなった犯罪ドラマが絶妙なバランスで混在する、結構骨太な作品となっています。
内容ですが、前半はその設定を活かした高齢者の犯罪コメディとして軽妙な雰囲気で進みます。
しかし、中盤以降強奪計画が成功してからは、もともとの犯罪者としての一面が、前面に押し出された老練な犯罪者たちによる
仲たがいのシリアス犯罪ドラマとして物語は大きく展開していきます。
個人的にはこの辺りの展開は、それまで温和な感じで進んできていたので、割と観ていてちょっと辛い部分がありました。
特にこの中盤でのマイケル・ケインとジム・ブロードベントの仲たがいぶりは、流石レジェンドだけあって有無を言わせぬ迫力があり、
さっきまで温和な気の良いおじいちゃん、といった雰囲気だったのに、あっと言う間に犯罪者の目つきに変わる、
その変貌ぶりに驚かされます。
そして実際の事件が証明しているように、メンバーはあえなく逮捕、とはなるのですが、
その裁判に出廷するラストシーンのカッコ良さは、年齢を重ねているからこそ表現できるカッコ良さで、
中盤までの仲たがいや、恐らく、いままでにもいろいろあったメンバーが、最後の最後になって、
パリッとしたスーツで、軽口をたたき合いながら、談笑しつつ廊下を歩いて行くラストシーンは中盤の陰鬱さが吹き飛ぶ清々しさです。
という事で、実話を基に、暗めになりがちな犯罪ドラマを、最終的に後味の良い娯楽作品としてしっかりとまとめたジェームス・マーシュ監督の手腕が光る作品となっています。
そういえば、ジェームス・マーシュ監督は大ヒットしたドキュメンタリー（マン・オン・ワイヤー）で有名になり、
近年も実話の映画化（喜望峰の風に乗せて）などを監督していますので、実話を基にした作品は得意とするところのようです。
あと、本作はファンサービス的に各レジェンドの若い時に出演した作品の名場面が要所でそのまま挿入されたりしていますので、
かつての活躍をリアルタイムで観てきたファンの方には、喜ばれるサプライズとなっています。
という事で、本作はイギリスレジェンド俳優たちによる、レジェンド演技が堪能できる貴重な作品となっていますので、
犯罪ドラマや、コメディ、イギリス作品などがお好きな方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
若手には出せない渋みと、ラストの清々しさは一見の価値ありですよ。
作品情報
2018年製作 イギリス製作 サスペンスコメディ
監督 ジェームス・マーシュ
出演 マイケル・ケイン、ジム・ブロードベント、トム・コートネイ、ポール・ホワイトハウス、レイ・ウィンストン、マイケル・ガンボン、チャーリー・コックス
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