インビテーション(THE INVITATION)100分

投稿者: | 2021年7月31日

お薦め度 ★★★★☆☆☆☆☆☆

ある知り合いから久しぶりに招待された夕食パーティ。ほとんどが顔見知りだったが、その中には初対面の人物も数名いた。パーティ中絶えず漂う怪しい雰囲気。パーティの後半、招待客たちは、その驚愕の招待理由を知る!!

作品紹介

2017年1月28日公開

配信時タイトル 不吉な招待状

今回ご紹介するのは、妖しい夕食会に招待された人々の恐怖の一夜を描いたサスペンススリラー作品です。

それでは、まずはらすじから、

ある出来事がきっかけで離婚した元妻からのディナーパーティへの招待状を受け取ったウィル(ローガン・マーシャル・グリーン)は、

2年ぶりにかつて暮らした邸宅を訪れ、そこでかつての友人たちと久しぶりの親交を深めていた。

しかし、友人たちの様子、知らない顔ぶれ、邸宅の窓に設置された柵、内側から鍵をかけようとする今の住人など、何か不穏な空気が流れていた。

そして、ついに事件は起こる、、、。

2年ぶりに集まったかつての仲間たち

ニコール・キッドマンが衝撃的な刑事役で話題になった(ストレイドッグ)(詳しくはこちら)の女性監督、カリン・クサマ監督のサスペンススリラー作品です。

本作は様々な映画祭で評価されたようで、シッチェスカタロニア映画祭ではグランプリに輝いた作品となっています。

ストレイドッグ)もそうでしたが、女性監督という事で、ちょっとしたしぐさや、細かい心理描写が非常に効果的で、

なんとも言えない雰囲気の、じりじりとゆっくり追い詰められていくような緊迫感が常に漂っている作品になっています。

ストレイドッグ)の場合は、ゆっくりと破滅に向かって行く主人公が描かれていましたが、その前作にあたる本作は、

ゆっくり、じわじわと何かが起こりそうだけれども、起こらない、というお預け状態の持続の仕方が非常に上手く

顔見知りの参加者によるパーティに数名だけ初対面の人物がいる、というような普通の出来事の合間に少しだけ感じる違和感などを適度に挿入する事で、

大きな展開がない物語なのに、後半まで、なんとなく感じる緊迫感がずっと持続する、という演出力の凄さの光る作品となっています。

また、過去に主人公に起きた出来事を、物語が進むごとに少しづつ見せて行くことで、その出来事を発端として、主人公自身でさえも、

心の闇を深く持ったキャラクターという部分が浮き彫りにされ、段々と主人公の方が、実は何かおかしなことになっているのではないか、

というサスペンスも加わっていきます。

主人公も段々と精神的に追い詰められる

この、ゆっくり進む中でも、常に、主人公を含めた10人の招待客全員に何らかの良くない出来事が起こりそう、という不穏な雰囲気は、

中盤、元妻の現在の彼氏であるデヴィッドが何気に招待客に見せるカルト教団の説明動画で、さらに緊迫していきます。

その関係で参加している初対面の人物の過去の出来事の告白や、途中で退席しようとしている招待客への対応など、妖しいムードが一気に加速していきます。

ですが、本作は、通常こういった内容の作品ではありがちな極端な展開を見せる事はなく、不穏な空気をさらに濃くする程度で、そのままの空気感を保ちます。

この辺ぐらいまで、物語が進むと、流石に、じれったいと感じてしまう人と、そうでない人で意見が分かれる部分だと思われますが、

おそらく、この不穏な緊迫感の持続、こそが本作の一番描きたい部分だと思われますので、後半のクライマックス前まで、事実ははっきりと語られることなく物語は進みます。

で、いよいよラスト、という事になりますが、そこまでを書いてしまうと作品の楽しみが半減してしまいますので、割愛させてはいただきますが、

個人的には、中盤までの細かい緊迫感の煽り方が凄すぎるので、何か物凄い事や事実が出てきそうな期待感のハードルが上がり過ぎて、

案外予想内のオチに落ち着いてしまったような気がするのですが、どうでしょうか。

でも、ミステリー作品としては、観始めたら止まらない、十分に楽しめる見どころのある作品になっていますよ。

ついに真実が明らかになる!!

作品情報

2015年製作 アメリカ製作 サスペンス

監督 カリン・クサマ 制作・脚本 フィル・ヘイ

出演 ローガン・マーシャル・グリーン、タミー・ブランチャード、ミキール・ハースマン、エマヤツィ・コーリナルディ

その他の謎系スリラー作品

何かに備える一家の物語(イット・カムズ・アット・ナイト)はこちら

その家族には母親の決めたある掟があった(マローボーン家の掟)はこちら

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