お薦め度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
1988年、イラン・イラク戦争が続くテヘランで、危険地帯に残された親子二人が経験する邪悪な神(ジン)との戦い!!珍しいイラン製作ホラー作品!!
作品紹介
2019年1月11日公開
今回ご紹介するのは、イラクで製作されたゴーストホラー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
1988年、イラン・イラク戦争中のテヘラン。
五歳の娘と二人で暮らす母親シデーは、戦地で医師として勤務する夫の帰還を待って生活していた。
ある日、投下されたミサイルがシデー達の暮らすマンションに落下する。
爆発こそしなかったものの、それ以来、娘のドルサが、ミサイルが邪悪な神(ジン)を連れてきた、と騒ぎ出す。
始めは取り合わないシデーだったが、やがて自宅内で奇妙な出来事が起こり始める、、。
珍しいイギリス・ヨルダン・カタール・イラク合作作品です。
ペルシア語がメインで話されているホラー作品という事で、それだけでも珍しいですが、
本作はハリウッド製のホラー作品などとは一線を画しており、厳密に言うとホラーというより、
イラン・イラク戦争時下に、そこで暮らす女性の生きにくさと、小さい子
供を持つ母親のフラストレーションを描いた作品となっています。
そのために、派手なCGによるゴーストが絶えず登場するような恐怖演出は控えめとなっています。
近い内容の作品ですと(ババドック)などが親子二人で生きるシングルマザーのフラストレーションを描いた作品という事で、共通点の見られる作品となっています。
ですので、母親経験のある女性が鑑賞するのと、それ以外の人が鑑賞するのとでは、感じ方がかなり違ってくるのではないでしょうか。
それぐらいに、そいういう状況にある女性の内面のフラストレーションが細かく描かれています。
目当てのゴーストは後半で少しのみの登場で、描かれ方も、取り方によっては主人公女性の精神的な部分が具現化したような存在
と取れる事もできなくもないような描かれ方をしています。
なので、厳密にいうとホラー作品ではないような気もしますが、、。
英国のアカデミー賞で最優秀新人賞と最優秀作品賞受賞を筆頭に、各国でいろんな賞を受賞している作品ですので、
エンターテイメントなホラー作品、というより、緊迫した状況下での女性の内面部分が描かれている優れた作品、
という事で評価された作品というのが正しい見方なのかもしれません。
個人的にも、映画作品でサリーをまとった女性の登場人物は良く見かけますが、その女性がサリーを取って普通に生活している姿を見るのはほとんど初めてでしたので、
そういった意味でも非常に興味深い作品でした。
ビデオデッキ(作品舞台の1988年当時)も政府に見つかれば没収されるような状況で、
女性がサリーをまとわずに外を出歩けば、即鞭打ちの刑罰に処されるという文化がホラー作品で描かれる、という事も今後はあまりないのではないでしょうか。
という事で、内容的に共通点のある(ババドック)同様に本作も女性のフラストレーションを描いた作品ですので、
精神的に窮屈な、追い詰められる展開が多く、
B級作品特有のストレス発散できるような作品ではありませんが、この作品でしか見れないような要素を持っている珍しい作品ではありますので、
そういった異国の文化にご興味のある方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、DVDジャケットに写っている少女は本編に出てくる少女とは明らかに違いますね。
※これはイメージです と書いておいて欲しいですね。
作品情報
2016年製作 イギリス・ヨルダン・カタール・イラク製作 ゴーストホラー
監督・脚本 ババク・アンバリ
出演 ナーゲス・ラシディ、アヴィン・マンシャディ、ボビー・ナデリ、レイ・ハラティアン
本作に共通点の多い作品
小さな子供どもと暮らす母親の苦悩を描いた(ババドック暗闇の魔物)はこちら
↓ランキングに参加しています。宜しければ下記をクリックお願い致します↓
イラクの映画とはまた珍しいですね! ちょっと気になります。
色んな賞も受賞しているようなので、結構楽しめそうです。
こんにちは、いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。イラクで製作された作品で、しかもホラーってあまりないですよね!普段あまりドラマ系を鑑賞することが少ないので、聖典コーランとか、サリーを人前で取ったらむち打ちの刑罰がある、とかは詳しく知りませんでした。そういう地区だから娯楽も他の地区とは違って、エンターテイメントな映画作品などもあまり製作されなかったのかもしれないですね。と、考えると本作はやはり貴重な作品ですね。お薦め、とまではいきませんが、珍しい作品ではありますよね。