皆さん、こんにちは、まぁくです。
先日、映画館に(妖怪人間ベラ)を鑑賞しに行ってきました。
イメージ的に実写ドラマ化もされた(妖怪人間ベム)のスピンオフ、ぐらいに勝手に思っていたのですが、
観てビックリの、変化球的なサイコサスペンスホラーとなっていて、非常に楽しめました。
因みに、ドラマの(妖怪人間ベム)とは全く関係ありませんでした。
アニメの(妖怪人間ベム)の最終回にはお蔵入りになった別バージョンが存在していて、そのラストシーンのラフのようなフィルムが残っており、ラストでベラが何か台詞を喋っている、その台詞とは!?
という謎に迫る物語を軸に、謎に迫る真面目な主人公の精神が徐々に崩壊していく様を主演の森崎ウィン(レディプレイヤー1に出演していた人です)が鬼気迫る熱演で表現していました。
変化球的な物語展開が非常に面白く、主人公の豹変ぶりは、明らかに(シャイニング)のジャック・ニコルソンに影響を受けているような熱演ぶりでした。
ラストのバトルまで、非常に見どころ満載のホラーエンタテイメント作品となっていますので、是非ご鑑賞頂きたい作品です。
監督の英勉監督は、最近でも2018年製作の(賭ケグルイ)、現在劇場公開中の(映像研には手を出すな!)など非常に好調のようですので、今後も活躍して頂きたいですね。
さて、ハリウッドには、90年代に英勉監督のように順調に監督作品を世に送り出しながらも、調子に乗ってしまい、
湯水のように製作予算を注ぎ込んで、制御不能となり、完全に干されてしまいながらも、
地味に小規模に復活を遂げ(たかどうか怪しいですが)、現在でもハリウッド以外で活躍し続けている監督がいます。
作ったものは、全て壊す、B級爆発監督レニー・ハーリンです。
年代順に見ていくと、途中で明らかに転機となる作品以降流れが変わっていくのが分かってしまいます。
それでは、唯一VHSのみの発売でDVDがリリースされていない作品から、
〇1985年 死線からの脱出 記念すべき監督デビュー作品。チャック・ノリスの息子、マイク・ノリス主演のバトルアクション。国境を越えてソ連領土に侵入した学生の命がけの脱出劇。
〇1987年 プリズン レニー・ハーリンが有名になる足掛かりになった秀作ホラー。刑務所内でかつて死刑にされた囚人が怨霊となって襲ってくる。無名時代のヴィゴ・モーテンセンが主演。
〇1988年 エルム街の悪夢4 ザ・ドリームマスター 最後の反撃 エルム街シリーズの本編シリーズでは最大ヒット作。夢に現れるフレディに対して主人公が夢を操れる、という特殊能力を持つ者同士の超能力対決映画にモデルチェンジ。レニー・ハーリンの名声を決定づけた作品。因みに劇場公開時は配給会社がワーナーからフォックスに変わったので、(エルム街の悪夢4)はタイトルから外してつけられた。でも、後に復活。そりゃ、物語繋がっているので当たり前ですね。
〇1990年 フォード・フェアレーンの冒険 ラジー賞で最低監督賞、最低作品賞、最低脚本賞、最低主演男優賞、最低助演男優賞にノミネートされ、監督賞と脚本賞、主演男優賞は受賞してしまったが、なんとなく(ダイハード2)で帳消しになった、というより無かった事になっている不遇な作品。
〇1990年 ダイハード2 説明不要の大出世作。まだ、ちゃんと1作目の設定も守って製作されている。3からはちょっとずつずれていきますが。キャストも前作からほぼ続投。脚本はオリジナルではなくウォルター・ウェイジャー著(ケネディ空港着陸不能)を原作にして、ジョン・マクレーン刑事に当てはめた物語。
〇1993年 クリフ・ハンガー 低迷中のスタローンの復活にも貢献した大ヒット作。当時の宣伝ではポスターイラストにもあるように作品の売りはスタローンよりも、レニーハーリン監督作、であることの方が重要だった。今では考えられないレニー・ハーリンが一番乗っていた時の作品。後に、似たような作品も量産された。
〇1995年 カットスロート・アイランド 製作費1億ドル、その内回収できたのは、わずかその3割、という製作会社のカロルコピクチャーズを事実上の倒産に追い込んだ世紀のズッコケ超大作。ギネスブックにも「史上最も興行赤字が大きい映画」と記録されるぐらい不名誉な意味で有名になってしまった作品。奥さんのジーナ・デイビス主演。
〇1996年 ロング・キス・グッドナイト 奥さん主演作第2弾。記憶を無くした主婦は、実は特殊工作員だった、という(ボーンアイデンティティ)の先をいっていた爆発上等アクション。覚醒した後の豹変ぶりが凄まじいです。でも、今観返すとアクションのテンポもよく、アクション自体も豪華なので結構楽しめます。
〇1999年 ディープブルー サメ映画の変化球的な傑作。サミュエル・L・ジャクソンの扱いにびっくりします。最近になって、あまり関係ない続編2本製作された。
〇2001年 ドリヴン 再び低迷中のスタローンの復活と、当時売り出し中だった若手俳優キップ・バルデューを主演に添えてCARTレースにスポットをあてたレース映画。アクションとドラマが上手く融合しているとはいえず、ラジー賞で最低作品賞、最低監督賞、最低脚本賞、最低助演男優賞など多数ノミネートされてしまう。キップ・バルデューもその後、あまり活躍せず、、。
〇2004年 エクソシスト ビギニング ジョン・フランケンハイマーが監督する予定だったシリーズ第4弾だが、亡くなったため、ポール・シュレイダー監督に変更されたが、完成した作品の内容に難色を示した製作会社の要請でレニー・ハーリンが監督する事になった。が、結局結果はラジー賞最低監督賞と最低続編映画賞にノミネートされる事に。恐らく、だれが撮影しても結果はおなじような、、。しかし、何故にレニー・ハーリンに、、。
〇2004年 マインドハンター 本作あたりから、製作規模がぐっと小さくなってきて、B級色が強くなってくる。でも、クリスチャン・スレーター、LL・クールJ、ヴァル・キルマー、などキャストは豪華。これぐらいの規模のエンターテイメント作品がおそらく調度良いのでは、、。
〇2006年 レニー・ハーリン コべナント 幻魔降臨 男子高校生が超能力バトルを繰り広げる青春ホラーアクション。本作はついに日本での劇場公開は見送られてしまった。しかし、後の、(トワイライト)シリーズや(クロニクル)など特殊能力を持った若者たちのバトルを一早く描いた意欲作。
〇2007年 ザ・クリーナー 消された殺人 サミュエル・L・ジャクソン、エド・ハリス、エヴァ・メンデスと豪華なキャストで描かれた殺人現場の後処理係の主人公が殺人事件の容疑者にされるサスペンス作。日本では劇場公開されたが、アメリカではDVDスルーの作品。
〇2009年 12ラウンド アメリカのプロレス団体WWE所属のジョン・シナ主演のアクション作品。日本では劇場未公開だが、久々のメジャースタジオ20世紀フォックス製作作品。後に続編も製作された。
〇2011年 5デイズ 南オセアニア紛争を取材するアメリカ人ジャーナリストの目から、紛争の5日間に絞って陰で行われた物語を史実とフィクションを織り交ぜて描いた戦争映画。ヴァル・キルマー、アンディ・ガルシア、ルパート・フレンドなどしっかりしたキャストで描いている。
〇2013年 ディアトロフ・インシデント 実際に起きたディアトロフ峠事件を元に流行りのPOV撮影でリアルに描いたSFミステリー。
〇2014年 ザ・ヘラクレス ギリシャ神話の英雄ヘラクレスの物語を(トワイライト)シリーズのケラン・ラッツ主演、アクション俳優スコット・アドキンス共演で描いたファンタジーアクション。しかし、評価は悪く酷評された。
〇2016年 スキップ・トレース ジャッキーがアメリカ製作作品で原点のコメディアクションに復帰した意欲作。しっかり、笑えてアクションスタントもこなす、ジャッキー映画として十分楽しめる作品になっている。レニー・ハーリンがアジア路線に進む第1弾作品。久しぶりにエンターテイメントでしっかりした完成度。
〇2018年 ソード・オブ・レジェンド 古剣奇譚 中国で人気のゲームの映画化でドラマ版が好評だったため、映画版の本作が製作された。主演は藤原紀香、アーロン・クォックなどが出演していた(SPY-N)にも出演していたワン・リーホン。アジア路線第2弾。何故に、レニー・ハーリンが監督に、、?
〇2019年 ハードナイト 何故にこの作品をレニー・ハーリンが監督しているのか、もはやわからない完全な香港映画。ニック・チョンとリッチー・レンの息詰まる攻防戦。普通に香港アクションとして楽しめます。
というような流れで、あきらかに1995年の(カットスロート・アイランド)の大失敗以降、徐々に大作路線から退いていき、規模の小さめの作品に活躍の場を移すようになっていっています。
ただ、素晴らしいのは、そんな状況でもめげることなく、監督作をコンスタントに残していくことで、浮き沈みはありますが、次へとつなげていき、近年では何故か香港近辺で大活躍しています。
今、振り返ってみれば、(カット・スロート・アイランド)は後の(パイレーツ・カリビアン)よりも早く大作の海賊アクションを描いていますし、
(ロング・キス・グッドナイト)も後の(ボーンアイデンティ)を思わせる記憶を無くした特殊工作員ものですし、
(コべナント幻魔降臨)も後の(トワイライト)シリーズを思わせる特殊能力を持った若者たちの超能力バトルを描いています。
というように、実は先見性があり、目の付け所には良いセンスを持っている、
にもかかわらず、連続で奥さんを主演に添えたり、
とにかく予算度外視の派手な爆破を入れてみたり、
とちょっとやり過ぎるところがあって、良い結果に繋がらなかったのかもしれません。
ただ、恐らくこの先もレニー・ハーリンはエンターテイメント路線で監督作品を生み出し続けてくれそうですので、
いつの日かまた、ハリウッドの大作でズッコケではない超大作を生み出してくれる事を願ってやまないです。
それでは、本日もお立ち寄りいただき、ありがとうございました。
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