おすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆
香港で歌手として絶大な人気を誇るシンガーソングライターエンディ・チョウ主演による一秒先を予見できるボクサーを描いた人情スポ根ドラマ!!
作品紹介
2023年1月8日公開
今回ご紹介する作品は、香港のトップシンガーソングライター、エンディ・チョウ主演によるスポ根人情ドラマです。
それでは、まずはあらすじから、
かつて1秒先の未来が見える少年として、持てはやされたヤンは、その能力を活かすこともなく大人になり、
幼い息子を持つ身になりながらも、自堕落な生活を続けていた。
そんなある日、ボクシングジムを経営するシュンに、その特殊能力をかわれてスパーリング相手として雇ってもらう事で、ヤンはボクシングに目覚めていく。
息子の信頼を得るためだけに始めたボクシングながらも、特殊能力と合わせて意外な才能を開花させていくヤンだったが、
メディアで話題となり、ついにチャンピオンの挑戦を受ける事になるのだった!?
香港では歌手・作曲家として絶大な人気を誇るエンディ・チョウ(チョウ・クォックウィン)主演によるスポ根アクションドラマです。
自身が歌う本作の主題歌で、第40回香港電影金像獎の最優秀主題歌賞を受賞しています。
歌手を本業として20年以上活動しているベテランですので、映画出演は多数というわけではありませんが、
日本で公開された作品の中でも、本作にゲスト出演しているウォン・ヨウナムが主演している香港版(トワイライトゾーン)なフルーツ・チャン監督(ミッドナイトアフター)や、
同じく同監督、マックス・チャン主演の(無敵のドラゴン)等に出演しています。
そんな歌手が本業のエンディ・チョウが、かなりの肉体改造を施し、本気で挑んだ人情スポコンドラマが本作になります。
監督は(霊幻道士 こちらキョンシー退治局)のチウ・シンハンという事で、『えっ?キョンシー映画の監督が?』という意外性がありますが、
これが本人の原作(という表記がありますので何かの書籍が発売されているのかもしれません)で、しかも主人公を指導するコーチとして非常に重要な役で出演もしていますので、
恐らく、こういう作品が元々製作したかったのではないでしょうか。
キョンシー映画も良いですが、、、。
で、撮影に当たって監督自身も主演のエンディ・チョウもかなりのトレーニングを積んで挑んだようですので、しっかりとアスリート系の肉体美を披露しています。(エンドロールで訓練中の映像有り)
そんな主演の二人に華を添えるヒロイン役には本作のチウ・シンハン監督の(霊幻道士 こちらキョンシー退治局)でレディキョンシー役で華麗な魅力を放っていたリン・ミンチェン。
ボクシングジムを経営しているチウ・シンハンの従妹で、隣のスペースで間借りしながら笑顔ヨガ教室を経営している台湾から出てきた娘、
というリアルな立ち位置で、主人公達をサポートしていきます。
で、本作のかなり魅力の大きな要素になっているキャスティングで、主人公の息子役のホン・チェロ(ホン・チェックロッ)君がイノセントな魅力を発揮し、
耳に障害がありながらも、駄目なお父さんを時には叱るぐらいのしっかりものの一面も見せる息子像を他の子役では代用できないような独特の愛らしさで好演しています。
そのちょっと大人びたような面のある息子が、後半ある出来事によって全ての感情をさらっていくような涙腺崩壊展開へと導いていきます。
個人的にはこのホン・チェロ君の存在感が本作の魅力のかなりの部分を占めていると感じました。
エンディ・チョウも良いのは良いですが、、。
で、そんな人情ものの親子のドラマですが、そこに本作は、主人公が幼い時期に一度心臓が止まった事で、その後一秒先の未来が見えるようになる、
という特殊能力が身についている、という少しSF的な要素を加える事で、ただのスポ根人情ドラマではなく、
娯楽要素も兼ね備えたアクションドラマ的な側面も見せる作品へと成り立たせています。
一秒先が見える、という事で予知能力があるわけですが、なにせ1秒だけなので、賭け事や儲け話など役に立ちそうで、
実際は何をするにも間に合わない、という事で、その後自堕落なまま成長してしまい、成人し、一人の息子を持ちながらも、
借金取りに追われながらバーで働き、昼間から酒とたばこで、肥え太り、という、絵にかいたような自堕落な生活を送っています。
そんなある日、お金に困ったエンディが、街で自身の経営するボクシングジムの生徒募集のチラシ配りをするチウ・シンハンと出会う事で運命が変わりだします。
チウ・シンハンは生徒を募集しつつも、自身が出場するボクシング大会のスパーリング相手としても探していたのですが、
偶然借金取りに殴りかかられて、そのパンチを1秒先に予見して次々と交わすエンディの動きの俊敏さに惚れ込んで、
生徒というよりも、スパーリング相手としてエンディを雇う事になります。
で、そこから自堕落な生活を送っていたエンディが、なんとなくボクシングの世界に入り、思わぬ出来事からエンディ自身がリングに上がる事になっていきます。
で、1秒先の未来が見える、という役に立ちそうで、立たなかった特殊能力が、ボクシングの世界でなら役に立つ、という事が分かり、どんどんと勝利を重ねていく事になります。
そこから、段々とメディアでも取り上げられるようになり、試合を重ねていくうちに、ついに対戦相手のいなくなったチャンピオンの挑戦を受ける事になる、というのが大筋となっています。
要するに1秒先の未来が見える、という要素以外は、どこかの作品で観た事のあるような流れにまっすぐ沿っていきます。
このチャンピオンを演じてるのが、カンニング版(オーシャンズ11)な傑作タイ映画(バッドジーニアス危険な天才たち)で、
秀才マジメ君を演じていたチャーノン・サンティナートンで、何故他国から本作に参加する事になったのか謎ですが、
マジメ学生からまさかの物凄い筋肉美を誇るアクション系へと華麗に転身しています。
着痩せするタイプでしょうか。
正直、大筋に関しては、至るところに過去の有名作品の影響を色濃く感じる展開が多く、特にニック・チョン、エディ・ポン主演のダンテ・ラム監督作品(激戦ハート・オブ・ファイト)は、
リメイクか?と思う程に設定と大筋が似通っていて、そこにチャウ・シンチー主演の(ミラクル7号)やチョウ・ユンファ主演の(過ぎ行く時の中で)等の
しっかり者の子供と駄目な父親の人情ドラマ要素や、(燃えよじじいドラゴン)のような挫折したおじさんの復活劇要素等、
香港で大ヒットした人気作品の要素を貪欲に取り入れていますので、既視感はかなりありますが、それでも、製作者と出演陣の熱い作品を製作しようという想いは伝わってくる秀作となっています。
一秒先が見えるボクサー、という漫画みたいな設定の作品ではありますが、
【人生はたった一秒の選択の積み重ねで成り立っている】
というしっかりしたメッセージも感じ取れ、今を大事にようと思える作品となっていますので、香港映画好きの方や、スポ根ドラマ、人情ドラマ好きの方等、
機会がありましたらご鑑賞されみてはいかがでしょうか。
あと、超個人的にではありますが、後半トレーニングを重ねて身体を引き締めてきたエンディは良いのですが、前半の自堕落パートで、
細身のくせに、腹に何かを撒いて腹だけ出ている体型を創ったり、
口に詰め物をして頬を膨らませたりして太っているという容姿を演出する
というのは、流石に熱いドラマ展開をクールダウンさせてしまいますので、何か他の方法で表現して欲しかったところですが、どうでしょうか。
どうしても、コント感が出てしまいますので、、、。
アンディ・ラウ主演の(ダイエット・ラブ)のようにコメディ作品なら良いのですが、熱いドラマでそは、、。
あと、ついでに色んな作品からの影響(引用)は、ドラマ本編の熱さでそれなりに見て見ぬフリができるのですが、
クライマックスのボクシング映画王道のボロボロになりながらもそれでも立ち上がってくる、あの一番有名なボクシング映画の主人公のような熱い展開のシーンで、、、、
本家と無茶苦茶そっくりで、良く聞くとちょっとだけ違う曲
が、結構長い間流れてしまうのは、流石にもう、
熱いロッキーの真似、もしくはロッキーの熱い真似、
と思わざるを得ないぐらいにイメージが酷似していますので、個人的には熱いはずのクライマックスが一番クールダウンしてしまいました、、。
作品情報
2021年製作 香港製作 アクションドラマ
監督・原作 チウ・シンハン
出演 エンディ・チョウ、チウ・シンハン、リン・ミンチェン、チャーノン・サンティナートン、ロー・ホイパン、ホン・チェロ、ウォン・ヨウナム、べン・ユエン、ジャスティン・チュン
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