おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
香港の人気小説を映画化したゾンビ映画は、香港レジェンド(愛と復讐の挽歌)のアレックス・マンと(痩せ虎とデブゴン)のン・ガーライが見せ場を攫う、ドラマもしっかり描かれたゾンビコメディ!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、人気小説を映画化した香港製作のゾンビホラーコメディです。
それでは、まずはあらすじから、
うだつのあがらない香港の下町に住む若者ロン(マイケル・ニン)とヤン(ルイス・チェン)は、日ごろからヒーローになりたいと妄想を描いていた。
そんな中、香港の街に突如現れた謎の怪物の影響によって、街の人々がゾンビと化す事件が発生していた。
周りの人々が次々とゾンビ化する中、二人の若者は勇気を奮い立たせて、ヒーローと化していくのだった!?
香港製作のゾンビホラーコメディです。
監督はアラン・ロー、製作はブルース・リャンのドラゴンぶりが熱かった(燃えよじじいドラゴン)や、
レオン・ライの泥棒アクション(スパイチーム)等のクレメント・チェン。
主人公役は、独特の風貌が、一度見たら二度と忘れられない(九龍猟奇殺人事件)のマイケル・ニン、
その相棒役に俳優としてよりも歌手や作曲家として絶大な人気を誇る(イップマン誕生)や(イップマン継承)、
(ショックウェーブ)等に出演しているルイス・チェン。
前半のヒロインとして元気な魅力全開で目立っている、アーロン・クォックの(浮城)等に出演しているチェリー・ナガンと、
後半のヒロインとして活躍する(西遊記2妖怪の逆襲)等のビーナス・ウォン、
等、今、最も旬な若手キャストが集結してます。
そして、極めて今風の雰囲気漂うゾンビ映画に多大な深みを持たせるキャストとして、主人公を幼少期より面倒見ている叔母さん役で、
チョウ・ユンファの(大丈夫日記)や、ジョイ・ウォンの(ミッシングマン)、サモ・ハンキンポーの(瘦せ虎とデブゴン)等
1980年代後半から1990年代に大活躍し、近年でも(ダブルフェイス潜行者)(詳しくはこちら)等に出演しているレジェンド女優、ン・ガーライが出演しています。
さらに同じく、チョウ・ユンファの(愛と復讐の挽歌)シリーズや、名作(風の輝く朝に)、(男たちの絆)等で、
男臭い、どちらかというと悪役の多かったレジェンド、アレックス・マンが主人公の父親役を熱演してドラマ部分を盛り上げています。
この二人のレジェンドキャストがゾンビ映画とは思えない名演を見せてくれていますので、正直薄めのゾンビ設定をドラマ面で盛り上げています。
物語としては、うだつの上がらない若者男子二人が、着ぐるみバイトをしながら、なんだかんだとうろうろしているうちに、
香港の街がゾンビで溢れかえっていた、というシンプルな展開で、何故そうなったか?等の細かい説明などは一切省いて、
途中アニメーションなんかになりながら、心情を吐露しつつ、自分を見捨てていった父親が突然帰ってきて、息子と和解し、
迷惑をかけた女性(ン・ガーライ)に罪の償いをさせて欲しいとおせっかいを焼き始める、という展開になっていきます。
割と、周りの皆が迷惑がっている感じですが、どうしてもアレックス・マンは償いがしたくてしょうがない、
といった感じで、周りで色々やりだします。
ただ、昔のアレックス・マンのイメージですと、そのうちキレて銃をぶっ放す展開になるか、ナイフを取り出して突き刺してきて、
飛び散った血をぬぐってそうですが、そんな時期から30年ほど経過するとナイフのような尖った人も丸くなるもので、
勢いはあって物凄い声量ではあるけれども、人の良さそうな雰囲気も兼ね備えているので、どんな目にあっても過ちを償って罪滅ぼしをしたい人、
という人間性がにじみ出るぐらいに良い感じのおじさんになっています。
対する、ン・ガーライも、優しい性格ながらもどうしても過去の遺恨を忘れることができない女性を熱演しています。
この二人と息子であるマイケル・ニンとの確執と和解が、本作の一番の見どころ、、、といってしまうとゾンビ映画ではなくなってしまうのですが、
おそらく本作のテーマとしては、ゾンビそのものの恐怖を描く、というより、香港に住む色んな背景のある人々が突然ゾンビ世界に放り込まれてしまう事で、
巻き起こるドラマを描きたい作品だと思われますので、その重要なドラマ部分を長年活躍しているベテランがメインで演じる、
という選択があって、初めて魅力を発揮する作品だと思われます。
ただ、極めて今風ではありますので、前半と後半にアニメーションに切り替わってゾンビと戦う、などの製作者の誰かの映像センスが爆発するような演出になるたびに、
観ている側の気持ちがドラマから離れてしまう、と感じるのは私だけでしょうか?
それも(ラン・ローラ・ラン)(詳しくはこちら)等のように映像とリズムと少しのアニメーションで、バランス良く配置されていれば盛り上がって良いのですが、
クライマックスの一番盛り上がりかけているところで、割と長時間アニメーションを見ることになってしまうと、
それまでのレジェンドの熱演も消え去り、今自分は何を観ているんだ?という冷めた気持ちになってしまいます。
という事で、前半ゾンビが登場するまでが長いのでちょっと間延びしてしまいそうですが、ゾンビが登場してからは、
ドラマの展開も回収していき、そのままアニメの時間まではテンポ良く物語も展開していきますので、ゾンビ好きや、香港映画好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、アレックス・マン、これから渋い役でもっと大活躍してもらいたいですね。
作品情報
2017年製作 香港製作 ゾンビホラー
監督 アラン・ロー
出演 マイケル・ニン、ルイス・チェン、アレックス・マン、ン・ガーライ、チェリー・ナガン、ビーナス・ウォン
その他のゾンビホラー作品
アナログ的な特殊効果のバランスが秀逸なゾンビホラー(YUMMYヤミー)はこちら
↓ランキングに参加しています。宜しければ下記をクリックお願い致します。↓