おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
香港で暮らす外国人から見た香港の景色が、ひたすら美しい、香港資本で製作された香港人の出てこない香港映画。主役は香港の街そのものです。
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、香港の街並や風景描写が綺麗に撮影されたサスペンス作品です。
それでは、まずはあらすじから、
香港である女性外国人が失踪する事件が発生した。
警察は、その女性をモデルにDVに関する写真展を開いていた写真家ローマンを重要参考人として尋問する。
結局、証拠不十分で釈放された、ローマンは香港の街に繰り出すが、そこである女性と運命的な出会いをする。
香港資本の香港映画ではありますが、ほとんど香港人の出てこない香港映画です。
ですので、出演者はほとんど香港で暮らす欧米人やタイ人等で香港人はほとんどでてきません。
一応、事件を操作する警察官役で二人現地の人が登場しますが、二人だけで会話している時も不自然に英語で会話しますので、
そういう意味ではほとんど香港映画色の薄い作品となっています。
ただ、本作は完全に香港でロケされている作品で、おそらく手持ちの小さいカメラで少人数で撮影されたと思われるような規模の小さい作品であるために、
逆に今の香港の街を縦横無尽に動き回って、割と自由に撮影されている(多分、昔の香港映画で主流だった無許可のゲリラ撮影がほとんどではないでしょうか)ので、
最近の香港映画では見れなくなってしまった【今の香港の風景】を堪能できる作品となっています。
で、その監督か撮影監督かは分かりませんが、風景描写のヴィジュアルセンスが凄く良い感じで、香港の街並みをリアル且つ美しく映し出されています。
凄く凝った映像になっていますので、おそらく、香港の街並みを映像として綺麗に映したい、という製作意図がメインにあったのではないでしょうか。
その意図から逆算して物語を構築していっているので、主人公を意欲的な写真家として、香港の色んな街並みを撮影していく、
という物語を作っていったのではないでしょうか。
それぐらいに風景描写メインの作品となっています。
ですので、はっきり言って、物語は後付け感が満載です。
主人公はある事件の容疑者として、いきなり警察にマークされています。
痛々しい暴行を受けた末にその様子を写真に収めて、しかもその写真を自身の個展に出品する、というどうかしてる写真家となっています。
で、その被写体は行方不明のままですが、当然暴行を加えられている最中の写真ですので最重要容疑者は確定するので、
散々警察に問い詰められますが、結局そのまま釈放されます。
で、その後怪しい雰囲気満載のままに街で見かけた思い悩んでいそうな女子に目を付けて、ストーカー行為を働きつつカメラで盗撮します。
もうその時点で犯罪だとは思いますが、とりあえず被写体となっている女性は全く築く気配がありませんので、
街中でどんどん撮影されます。
女性の方も街中でどうかしているぐらいに思い悩んでいるアピールが凄く、途中電車に飛び込みそうになりますが、
寸前で主人公ストーカーに助けられます。
ただ、まだ悩んでいる最中なので、助けられている事にも気づいてないような雰囲気でそのまま、またフラフラと香港の街を悩みながら歩き回ります。
そしてストーキングも再開、という感じでとにかく香港の街を少しでも多く映し出すために考え出されたようなストーリーが展開されていきます。
結局なんとなくナンパして二人は意気投合、という感じになっていくのですが、主演二人が両方ともどうかしている二人なので、
なかなか現実味がなく、感情移入等は一切できない世界のキャラクターとなっています。
ですので、後半に一応急展開などがありますが、正直そんな事は本作ではどうでも良く、とにかく香港の街並みを堪能できる作品となっています。
要するに、物語展開よりも、風景を堪能して、そこに満足感を得られるかどうか、という部分が重要な作品になっています。
香港映画沢山鑑賞してきましたが、なかなかこういう角度で香港の風景を捕らえている作品も珍しいのではないでしょうか。
おそらく香港人ではない香港に詳しい製作者が、その愛する香港の街並みを映像としてどうしても残しておきたい、
という想いが形となった作品だと思われます。
という事で、正直言って物語自体はそんなに楽しめるような内容ではありませんが、とにかく香港の風景を観ているだけでも楽しめる作品とはなっていますので、
香港自体がお好きな方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
香港の風景映画、と思って鑑賞すると結構楽しめますよ。
作品情報
2019年製作 香港製作 サスペンス
監督・脚本 ロス・W・クラークソン
出演 サラ・マルクル・レイン、オリヴァー・ウィリアムズ、フィリップ・ジョリー、ジェーン・ウォン、アンドリュー・ン
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