カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
ジャッキー・チェン、サモ・ハンキンポー、ユン・ピョウも所属した七小福の指導者ユー・ジムユエンがロサンゼルスで大暴れするジョセフ・クオ監督による現代カンフーアクション!!
作品紹介
今回ご紹介する作品は、七小福の指導者、ユー・ジムユエンが大活躍する現代カンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
弟子ティンが経営する道場の危機に師匠のマンがロサンゼルスまで駆け付けた。
近隣のライバル道場に道場乗っ取りを迫られている、という緊迫した状況で、マン師匠は、トラブルを解決するために、
ライバル道場に出向き、そこで試合を挑まれ、激闘の末に勝利する。
喜びに沸く弟子達だったが、実はこれには裏があり、ギャンブルによって借金を抱えたティンが、師匠の強さを当てにし、
極秘に他流派との掛け試合を設定し、掛け金を儲けているのだった。
試合を重ねる中、その事実を知ったマン師匠は、ティンと絶縁し、一番新しい弟子であるビルと行動を共にすることになる。
やがて、厳しくも楽しいマンとビルの生活が始まる中、今度は、本当にティンの道場が乗っ取りを迫られる事態となる、、、。
ジャッキー、サモハン、ユン・ピョウ等、後の多くのカンフースターを生み出した京劇学校所属のエリート京劇チーム(七小福)を指導したユー・ジムユエン師匠主演の現代カンフーアクション作品です。
ジャッキーやサモ・ハンが頭角を現していた1970年代後半に、様々なコメディカンフー映画が主流になる中、
いよいよ、師匠本人が現代の、しかもロサンゼルスを舞台にしたアクション作品で主演する、という多くの時代劇カンフー映画を製作してきたジョセフ・クオ監督にとっても、
いよいよ、という感じのカンフーアクション作品となっています。
キャストとしては、主演のユー・ジムユエン以外は、端役に至るまで当時の七小福メンバーで固められていますので、
ほとんどノンスターに近いですが、師匠が高齢のために活発に動けないシーンを補う、影の主役とも言える新しい弟子役で、
後にブルース・リ主演の(龍虎爭霸)【BRUCE VS. BILL】にも出演しているレイ・シャオフーが登場し、実際の本格的なアクションを担当していきます。
大活躍のレイ・シャオフーですが、一番若手で心根の優しい青年役には不釣り合いなヒゲを蓄えた独特の風貌で、
本作の2年後に製作された(龍虎爭霸)以降は映画に出演していないようなので、身体能力が非常に高いだけに悔やまれます。
他の七小福のメンバーも本作のみの映画出演という人が多く、その芸名も元七、元小、元福、というパズルのような、アナグラムのような感じで、
七小福での活躍のみを前提にしたようなメンバーもいますので、他の作品での活躍は見られませんが、紅一点、ユエン・ホンだけは、
後にムーン・リー主演の(殺戮の天使たち キラーエンジェル)(詳しくはこちら)で、3人目のエンジェルとしてムーン・リー達をひっかき回す、結構重要な役柄で登場し、
激しいアクションも披露していますので、一応その作品のみではありますが、レディドラゴンとして銀幕で活躍しています。
そんな、ユー・ジムユエン、単独主演作品の本作の物語は、ロサンゼルスでカンフー道場を経営する愛弟子からSOSの呼び出しによって、
ユエン師匠が米国に降り立つシーンから始まります。
海外で撮影されたほとんどのカンフーアクションが、この空港に降り立つシーンから始まりますが、本作も例に漏れず、
着いて早々悪党に騙されて、郊外の寂しい場所に連れて行かれて、金品を要求されますが、
勿論、カンフーの達人であるユエン師匠なので、そこは得意のカンフーで5~6人の悪党を倒していきます。
ただ、やはり高齢ですので、激しいアクション、というよりアクションシーンはほぼ全てスタントダブルに交代し、
身軽なアクションで悪漢を倒していきます。
師匠の強さを表現するシーンですので、いきなりほとんどが他人のアクションというのが残念ですが、本作は七小福メンバーの活躍やアクション(悪党でも)を披露する、
という意味もあり作品ですので、とりあえずアクションはそれなりの人数が絡むアクションが多くなっています。
で、なんとか目的地に着いた師匠は、愛弟子の、『ライバル道場に戦いを仕掛けられて、道場が乗っ取られそうになっているので助けて欲しい』という
嘘っぽい嘘
にまんまと騙されて、
他流派との戦いにどんどん挑んでいって、勿論バッタバッタとやっつけていきます。
で、勿論愛弟子のピンチは、道場乗っ取りなどではなく、ギャンブルに興じて作った借金返済によるピンチなので、
師匠を騙しながら影で行われている賭けにどんどん勝っていきます。
で、とっくに借金返済が終わっても、まだまだ師匠を騙して試合を段取りますが、流石に師匠もある試合中に、自身が騙されている事に気付き、
弟子の道場を後にする、というところから本作の第二章が始まります。
この弟子の道場で、住み込みで働きながらカンフーを習っていたレイ・シャオフー演じる青年が、道場を飛び出した師匠に歩み寄り、
自身の住居に住まわせて、仕事まで世話する、という人の好さ全開で師匠との関係を深めていきます。
勿論、その引き換えにカンフーを指導してもらいますので、師匠との厳しくも楽しい修行期間に入ります。
この本作のメインとも言える師匠大冒険篇は、弟子と仕事をこなしたり、誘われてディスコでダンスを披露したり、
近所の大柄な女性と良い感じに(本人は嫌がっているように見えますが、、)なったり、という感じで、香港に帰国する旅費を稼ぐ間の師匠の楽しい青春の日々が描かれます。
一貫して厳しいだけの師匠ではなく、若者と接する時も、同じ目線まで下がって対話しますので、非常に親近感の湧くキャラクターで、
ある意味、この冒険篇は師匠主演のアイドル映画のような趣さえ感じるような雰囲気に満ちています。
勿論、カンフー映画ですので、そのままで終わるわけはなく、後半になってくると、前半悪行のせいで師匠に見限られた愛弟子が、
本当に他流派に戦いを仕掛けられて、弟子達が本当にピンチ、という状況になってしまいます。
で、レイ・シャオフーは100%の善人ですので、師匠に助けに行くようにお願いしますが、師匠はすでに見限った存在なので、行く気はない、
という事で、意見が真っ向から衝突してしまいます。
で、もたもたしていられないので、レイ・シャオフーは兄弟子たちを救うために道場に向かいますが、師匠は、、、、、。
というのがクライマックスの展開となっています。
一貫してユー・ジムユエンのアイドル映画のような作品ながらも、アクションシーンのほとんどがスタントダブルという少々残念な作品ではありますが、
このクライマックスでは激しいアクションはスタント担当ですが、自身で演じる棒術アクションはしっかりと観る事はできますので、
ラストバトルは本作の大きな見所となっています。
そうなると散々活躍していたレイ・シャオフーは、見せ場を譲る形になってしまうのが、また残念ですが、、、。
という事で、カンフー映画のスターを大勢生み出した、カンフー映画史にとってかなりの重要人物であるユー・ジムユエン完全主演の現代カンフーアクションとなっていますので、
カンフー映画好きの方や、香港映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1979年製作 香港製作 カンフーアクション
監督・製作 ジョセフ・クオ 武術指導 チャン・シウパン
出演 ユー・ジムユエン、レイ・シャオフー、ユエン・ホン、ウー・チャオナン
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