おすすめ度 ★★★★★★★★☆☆
長きに渡って香港映画を支えてきたスタントマンの活躍を、貴重な未公開映像や伝説のスタントマン達のインタビューを多数収録して描くカンフー映画ファン必見のドキュメンタリー!!
作品紹介
2023年1月6日公開
今回ご紹介するのは、長年香港映画を支えてきたスタントマン達の活躍を当事者たちのインタビュー映像や貴重な未公開映像を多数交えて描くドキュメンタリー作品です。
いきなりトン・ワイのインタビューから濃い内容の逸話が語られ、その後もサモ・ハン、ユエン・ウーピン、ツイ・ハーク、ブルース・リャンという感じで、
古くからのカンフー映画、香港映画ファンの方は心が鷲掴みにされる導入に続き、(ドラゴンロード)(プロジェクトA)等の懐かしのマースが、
駆け出しスタントマン時代に、スタントマン達が仕事を求めて集まっていた集合場所や、ゴールデンハーベスト社の跡地を訪ねながら、
自身の超絶なアクションスタントの日々を、あの人の好さそうな笑顔満載で語っていきます。
中でも(プロジェクトA)のジャッキーの、あの伝説の時計台からの落下シーンの秘話や、(ドラゴンロード)での自身の落下アクションの舞台裏等、
繰り返し鑑賞した伝説の名場面の裏側を、実際の本編映像を見せつつ描いていく、という構成になっていますので、
非常に分かりやすく、まるでアクション映画を観ているようなリズムで、テンポ良くアクションシーンとインタビュー映像が交互に流れるようになっています。
さらに今の香港映画の基礎を作ったと言っても過言ではないサモ・ハンの貴重な制作秘話の数々、さらにそのサモ・ハンによって見いだされ、
後に数多くの香港映画の製作に携わったスタントマンや製作者たちの裏話は、雇って皆を率いている側のボスであるサモ・ハンと、
雇われていて、スタントの支持を受ける側、両方のインタビューが収録されていますので、色んな角度から当時の撮影現場の模様が語られる構成になっています。
とにかく、サモ・ハンに『できるか?』と聞かれて『できない。』と答えた者は明日からの撮影には呼ばれなくなってしまうので、
基本はほとんどの人が『できます。』と答えていたそうです。
特に、サモ・ハン作品はかなりのハードな内容を要求されるので、怪我する事も多く、重傷を負ってしまうとその後の撮影に参加できなくなってしまうので、
ある程度の怪我は我慢しながら撮影に挑む、という事が日常多々あったようです。
その無敵のサモ・ハンスタントチームの中でも、後に俳優、監督、アクション監督として大活躍を遂げていく現在の香港スタントマン協会会長の(霊幻道士完結編最後の霊戦)のチン・カーロの、
若かりし日の逸話がまた凄まじく、他のスタントマンが怖気づいて涙まで見せてしまっている場面を何度も見て、
代わりに自分がそのスタントをこなす、という状況が何度もあり、実際アクションをこなして地面に叩きつけられた時は、
その度に周りが暗くなっていた、というほぼ気絶に近いような状態になっていたという逸話は、現在のコンプライアンス重視のアクションでは考えられないような日々を送っていたようです。
主演俳優のようにスポットの当たらないスタントマン達が、それでも、命がけでアクションをこなしていくのは、
それぞれが自分のスタントによって成り立つような代表作を持ち、そのアクションを刻み付けていきたい、という想いから、また寄り危険なアクションに挑戦してしまう、という事のようです。
ただ、そんなスタントマンもシニア世代になると活躍の場を奪われ、さらに現在のようなCG全盛のアクション映画の時代を迎えて、
どんどんとスタントマンが活躍するようなアクション映画の製作本数自体も少なくなってしまっている、という状況で、
それでも、若い世代に技術と経験を引き継いでいき、新たな才能を育成していく事が、将来の香港アクションの復興に繋がる、
という事で、チン・カーロ率いる香港スタントマン協会が、完全にバックアップして若手を指導しているそうです。
その中には、なかなか将来の大活躍を予感させるような太めのデブゴンがいたり、会社員を辞めてアクションに目覚めたレディドラゴンがいたり、
と、個性豊かな面々がいるようですので、もしかすると将来的に、ビッグスターが育ち、本作の映像が金の卵の修行時代の貴重映像となる事もあるのではないでしょうか。
さらに、最後の最後に故ラム・チェンインの功績を称えた映像も収録されていますので、ファンの方は結構感涙なのではないでしょうか。
という事で、カンフー映画ファンの方にはカンフー映画数十本鑑賞するぐらいの熱量で入り込めるドキュメンタリーとなっていますので、
カンフー映画ファンの方には是非ご鑑賞をお勧めします。
カンフー映画ファンの方で本作を楽しめない、という方は恐らく存在しないのではないでしょうか。
あと、超個人的な感想ですが、色んなレジェンドが、勿論年齢を重ね、貫禄を増して登場し、懐かしさと時間の経過を感じますが、
(マッドクンフー猿拳)(レディクンフー激闘拳)等のシャオ・ホウの加齢感だけは、他の先輩レジェンド達よも群を抜いていて、
1990年代ぐらいまで現役バリバリで活躍していただけに、ちょっとショックでした、、、。
作品情報
2021年製作 香港・中国製作 ドキュメンタリー
監督 ウェイ・ジェンツー
出演 サモ・ハンキンポー、ドニー・イェン、マース、ブルース・リャン、ユン・ワー、チン・カーロ、エリック・ツァン、トン・ワイ、ユエン・ウーピン、ツイ・ハーク、チン・シュウトン、アンドリュー・ラウ、ユン・チウ、ウー・スーユエン、アラン・ツイ、ラウ・カーウィン、ビリー・チャン
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