お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
目覚めたら、医療施設の救命装置の中だった!!しかも、以前の記憶はなく、密閉された装置内の酸素はあとわずか!!アレクサンドル・アジャ監督による、シチュエーションサスペンスの壮大なる変化球!!
作品紹介
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今回ご紹介するのは、(ハイテンション)のアレクサンドル・アジャ監督による、シチュエーションサスペンス作品です。
それでは、まずはあらすじから、
暗闇の中で何か布状のものにくるまれた状態で目が覚めたその女性は、呼吸も困難な中、なんとかその布を引き裂き、呼吸が正常にできるように整えた。
目覚めたその場所は、医療用の救命装置のようで、その処置は全てAIによって管理されていた。
なんとか、少し身動き取れるようになったその女性は、自身の記憶がない事に気づく。
AIに呼びかけ、なんとか救命装置から脱出を試みるが、すべてうまくいかなかった。
そんな中、女性は、救命装置内の酸素が、残り僅かとなっている事を知る!?
(ハイテンション)、(ピラニア3D)、(クロール凶暴領域)(詳しくはこちら)など、ホラーやサスペンス寄りの傑作を多く製作しているアレクサンドル・アジャ監督が、母国フランスで製作したシチュエーションスリラー作品です。
目覚めたら、医療用ポッドの中で、自身の記憶もなく、酸素もない、さぁ、どうする?というシンプルな出だしで始まる作品です。
似たような内容の作品では、目覚めたら棺桶の中で生き埋めにされていた、というライアン・レイノルズ主演の(リミット)に似たような状況の作品となっています。
ただ、本作は娯楽系作品を得意とするアレクサンドル・アジャ監督作品です。
同じような内容の作品が多数量産されたソリッドシチュエーションサスペンスジャンルの作品を、今更製作するはずがありません。
本作は後半にかけて、とんでもない方向へと大きく方向転換していきます。
作品の性質丄、あまり物語の展開に触れてしまうとネタバレになってしまいますので、まずは出来る範囲で少しご紹介します。
その医療ポッドで目覚めた主人公には、大事な部分の記憶がありません。
断片的にそれまでの記憶が少しあるものの、確信に触れる部分は完全に抜け落ちてしまっているので、自分の名前はもとより、
自分が何者で、何故その医療用ポッドに入っているのか?
自分は何かの病気なのか、さえ分かりません。
で、その医療用ポッドは最新(というより近未来的な)のAIが搭載されていますので、音声によって応対してくれます。
このAIの名前はミロ、という名前で、このミロが物語上の主人公の唯一の相棒として、音声のみで手助けをしてくれます。
このミロとの受け答えによって、自身の身に起きた事を少しずつ解き明かしていくことになります。
で、このミロ、医療用ポッドのAIですが、外の世界に電話をかけてみたり、色々な調べ物を即座に実行してくれたり、と非常に便利な存在となっています。
という事で、まずは、その装置から脱出するために、支持を実行するための自分で決めた認証コードが必要という事が分かります。。
勿論、自分の名前さえ分からない主人公に、認証コードなんて分かるわけがありません。
という事で、脱出するにはまずは、自分が知っていたはずの認証コードを知るために、自分が何者か?を知る必要があります。
自分が誰かが分かれば、認証コードを知るための手がかりがつかめるかもしれないからです。
という事で、記憶の断片を追いかけながら、なんとかミロに指示して、警察にも通報してみます。
警察には繋がりましたが、自身の名前も知らなければ、その場所がどこかも分からないので、助けを呼ぼうにも、どこに来てもらったら良いのか伝る事ができません。
そこで、記憶の断片には、どこかの病院で、担架に乗せられて移動している自分自身の光景が脳裏によぎります。
その記憶から、やはりどこかの病院の医療施設の医療用ポッドに閉じ込められているのではないか、と言事になります。
しかし、結局通話は途切れてしまい、警察との回線は繋がらなくなっていまいます。
というところで、ミロから警告が発せられます。
ポッド内の酸素レベルが低下していて、残り40%となっているのです。
時間にすると1時間30分ほどしかありません。
密閉された空間ですので、急がないと酸素は底を尽きて、窒息死してしまいます。
自身の名前さえ知らない状態で、何もしなければ1時間30分後に死が待っているという極限状態の中で、主人公は自分探しの末に医療ポッドから脱出できるのでしょうか?
というのが、前半部分です。
後半の展開を書いてしまうと、作品の楽しみの大部分を損ねてしまいますので、割愛させていただきますが、結構な大展開となっています。
というか、ジャンルごと飛び越えてしまいますので、観始めと、観終わりでは全く違う映画を鑑賞した感想になるのではないでしょうか。
開幕早々に、70年代から80年代のSF作品にオマージュを捧げたような壮大な音楽が流れ、その後も要所で物語を盛り上げていきます。
この辺は、(ヒルズ・ハブ・アイズ)や、(ピラニア)、(マニアック)などレジェンド的なカルト作品を現代風にアレンジして復活させてきたアレクサンドル・アジャ監督のジャンルへのこだわりが見えるようで、
非常に興味深いハッタリ感(良い意味でです)が漂っています。
後半の展開は、この素晴らしい音楽も相まって、切なさと、儚さと、やるせなさが同時に来るような、何とも言えない感情になるラストとなっています。
でも、ラストのラスト、絶望を受け入れたその時、物語にはまだもう一つ最後の展開が待っています。
いろいろな感情を揺さぶられた結果、なかなか良い余韻の残るラストシーンへと繋がっていきます。
今となっては結構ありふれてしまったシチュエーションサスペンスジャンルで、こういった表現のできるアレクサンドル・アジャ監督は、やはり只者ではないですね。
という事で、他の作品では得られない本作独特のカタルシスを得られる作品となっていますので、インターネット配信を鑑賞できる環境にある方は、是非ご鑑賞ください。
後半、まさかの涙腺の緩む展開にもなりますよ。
作品情報
2021年製作 フランス製作 サスペンス
監督 アレクサンドル・アジャ 脚本 クリスティ・ルブラン
出演 メラニー・ロラン、マチュー・アマルリック、マリック・ジディ
その他のシチュエーションサスペンス作品
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