新感染ファイナルエクスプレス(TRAIN TO BUSAN)118分
お薦め度 ★★★★★★★★★★
作品紹介
2017年9月1日公開
今回ご紹介するのは、ゾンビ映画がヒットしない、と言われていた韓国で記録破りのヒットとなり、世界的にも好評となったシリーズ作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ファンドマネージャーのソ・ソグ(コン・ユ)は別れた妻に娘を会わせるためにKTXのプサン行きの列車に乗り込んだ。
同じ列車には、身重の妻(チョン・ヨミ)を気遣うユン・サンファ(マ・ドンソク)や、
高校生野球チームなどが乗っていた。
そんな列車に、係員の隙を縫って、何者かが侵入した。
それは、あるウィルス感染によって凶暴化した感染者だった。
列車の扉は締まり、発射の汽笛が鳴り、プサン行きの列車は地獄と化すのだった!?
韓国において記録破りの大ヒットとなったゾンビアクションホラー作品です。
韓国においてゾンビホラーはヒットしない、と言われていたようで、あえて作中ではゾンビ、という単語を使用せずに物語を描いています。
そういう背景があるためか、おそらく韓国での本格的で大掛かりなゾンビ映画、というのは本作が初なのではないでしょうか。
そのため、本作はアメリカ製作では多く見られるような割とシンプルな展開のゾンビ映画の基本を忠実に描きながら、
そこに列車内での限定された空間で複数の乗客が困難に立ち向かう、ディザスターパニックものの要素を織り交ぜて、
無数に散りばめた伏線を最終的には全部回収していく、という完成度の高い作品となっています。
この乗客それぞれのドラマ部分が、かなり適格なバランスで挿入されていますので、
物語が展開していく内に、それぞれのキャラクターに対する感情移入度合いが上手く高まり、
ゾンビ映画でありながらも、要所で感動できるようになっています。
キャラクター別ですと、主人公は悪人ではないものの、他人に対して冷たい面を持っていて、
常に自分優先で、他人の事は基本的に考えない性格で、子供にもそのように教育しようとしています。
しかし、子供は他人に対して非常に優しく、誰に対しても分け隔てなく接しようとします。
子供は常日頃から、父親の自分優先にする性格を理解し、なんとか他人に対して少しでも優しい人になって欲しいと願っています。
次に身重の妻と列車に乗車した夫は、恐らく体力自慢の仕事に就いていて、粗っぽいところがあるけれど、
妻の身を深く案じていて、粗っぽそうに見えても、実は他人にも比較的優しく接する事ができる優しい性格の持ち主。
次に高校生野球チームの少年は、幼馴染の女の子と仲が良いけれども、チームメイトにからかわれて恥ずかしがるような、
純粋な少年と少女のカップル。
次に年老いた姉妹は、姉はこれまで自分の幸せを顧みず、他人のために自分の一生を捧げてきたような優しい性格、
その妹は口は悪いけれども、そんな姉を本当は誰よりも気遣っている実は優しい性格。
そして、その中にバス会社の常務が乗り込んでいます。
この常務がかなりのクレーマーで、やたらと乗務員や他の乗客に対して威嚇してきます。
この主要な乗客が、それぞれ、本作のドラマになくてはならないような活躍をし、それぞれ印象的な名シーンを残していきます。
ゾンビ映画なので、この愛着の沸くキャラクターたちも、犠牲者はでますが、そこに行き着くまでのドラマが的確に積み重なっていますので、
散り際のシーンがかなり盛り上がるようになっています。
正直、観ていて辛くなるぐらいに良くできた名シーンの連続となっています。
後半は、このゾンビドラマの展開に、暴走特急的なディザスターものの展開も加えつつ、
生き残った者たちが最後にたどり着く、そのラストシーンの伏線の回収の仕方は、
思わず『ああっ!』と、心の中で声がでてしまいそうになるぐらいに、素晴らしい名シーンとなっています。
結構ハードな展開のゾンビ映画なのに、こんなに後味の良い名シーンは前例がないのではないでしょうか。
というように、ゾンビ映画という事で敬遠される方もいるかもしれませんが、
本作は複数の登場人物が登場する映画作品として非常に良くできた作品ですので、是非一度ご鑑賞頂きたい作品となっています。
因みに、本作はハリウッドでのリメイクが決定しているようで、そちらも早く観てみたいですね。
作品情報
2016年製作 韓国製作 ゾンビホラーアクション
監督 ヨン・サンホ
出演 コン・ユ、マ・ドンソク、チョン・ヨミ、キム・スアン
ソウルステーション パンデミック(SEOUL STASION) 92分
作品紹介
2017年9月30日公開
お薦め度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
(新感染ファイナルエクスプレス)では、事件の発端は描かれていませんでしたので、本編の前日譚として製作された同監督によるアニメーション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ソウル駅周辺、あるホームレスの兄弟の兄が首から血を流した状態で倒れていた。
弟は兄の異変に気付かずに、助けを呼びに行くが、戻ってみたら、兄は凶暴化し、他人を襲っていた。
同じころ元風俗嬢のへスンはソウル駅周辺で、この事件に巻き込まれ駅周辺を逃げ惑う状況になる。
そのへスンが風俗嬢として働いている事を知った父親は、へスンを連れ戻すためにソウル駅へと向かうが、
そこはすでに地獄と化していた!?
前作と同時進行で製作されていた前日譚を描いたアニメーション作品です。
ヨン・サンホ監督は、元々アニメーション監督だったようで、こちらが本業といったとろでしょうか。
で、内容ですが、本作もヨン・サンホ監督らしい駅周辺の人々のそれぞれのドラマを丁寧に描く内容となっています。
ただ、本作は前日譚という性格上、ウィルスが蔓延していく発端となったソウル駅での物語に絞っていますので、
割と小さめの世界の物語となっています。
ですので、印象としては、ちょっとこじんまりとしていて、後半は主人公周辺のサイコサスペンスものへと展開していきます。
前作でも、ゾンビの怖さを描きながらも、緊迫した状況での人間の愚かさを描いていましたが、
本作の後半では、そちらがメインとなります。
ですので、本編のような物語を期待して鑑賞した方にはコレジャナイ感は満載かもしれませんが、
別作品と気持ちを切り替えると、結構見やすいゾンビの登場するサイコホラー作品として意外性もありますので、楽しめるのではないでしょうか。
ただ、(新感染半島ファイナルステージ)と合わせてシリーズ3作ありますが、同じ世界観なのに、共通のキャラクターや出来事が登場しないのは、ファンとしてはちょっと残念ですね。
あえてそうしているのかもしれませんが、、。
それと、結局本作でも事件の本当の発端までは描かれていない、いわばエピソード0ではなく、エピソード1ぐらいの物語でしたので、今後のシリーズ展開で、
その辺が詳しく描かれた物語が登場するのかもしれません。
という事で、シリーズ3作まとめての鑑賞をお勧めしますが、個人的には1作目の完成度の高さがスバ抜けていますので、
やはりまずは1作目をご鑑賞して頂きたいですね。
1作目が楽しめたら、実写の2作目をご鑑賞頂き、アニメは、それでももっと作品世界に浸りたい、と言う方にお勧めします。
3作通して鑑賞すると1作目の凄さを改めて実感しますよ。
作品情報
2016年製作 韓国製作 アニメーション
監督 ヨン・サンホ
声の出演 リュ・スンリョン、シム・ウンギョン、チャン・ヒョクチン、キム・ジョンス
その他のシリーズ作
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新幹線半島はとても評判良いですよね。いろんなところで耳にします。
韓国ってゾンビ映画ヒットしないんですね。そんな中で大ヒットしたこと映画は、相当出来が良かったんでしょうね~。
韓国映画はクオリティが高い作品が多いので、この映画も期待できそうです!
応援完了です!
映画マンさん、こんにちは、お立ち寄り頂きありがとうございます。(新感染)シリーズは、3作どれも面白く、同じ世界観なのに、それぞれが別物のように違う内容になっています。トレインパニックものと融合した1作目、アニメで描かれた2作目、で新作の新感染半島は(バイオハザード)っぽい、(マッドマックス)風味のゾンビバトルアクションになっていました。なので、どの作品から鑑賞しても問題なく鑑賞できますし、どれも、分かり易く感情移入できてしまいますので、どれもお薦めですよ!
昨日この映画観ました!
タダのゾンビ映画ではないですね~。人間の嫌な部分が浮き彫りになって、とてもよくできた作品だと思いました。
ラストはバッドエンドかとも思いましたが、女の子の歌のおかげで救われて良かったです!
こんにちは、いつもお立ち寄り頂き、ありがとうございます。ついにご鑑賞されましたかっ!これ、面白いゾンビ映画ですよね!ゾンビ映画として期待通りに進む部分と、予想を裏切っていく展開とがバランス良く散りばめられていて、ラストの子供の歌が聞こえてくるところで、安心して涙でそうになりました。5月には続編の方のDVDも出ますので、そちらもまた観てみてくださいね!