カンフー映画としてのお薦め度 ★★★★★★★★☆☆
サモ・ハン主演の伝説的名作アクションのリメイクは、お正月公開に相応しい、笑えて楽しい娯楽アクション!!
作品紹介
2021年1月1日公開
今回ご紹介するのは、サモ・ハンキンポー主演で人気だった伝説のアクション(燃えよデブゴン)のドニー・イェン主演によるリメイク作品です。
それでは、あまずはあらすじから、
熱血刑事チュウ・フクロン(ドニー・イェン)は、婚約者である女優のソン・ホーイ(ニキ・チョウ)との結婚式用の写真撮影に向かう途中でも、銀行強盗を追いかける熱血漢。
そんなフクロンに、愛想をつかしたホーイは、婚約を破棄し、別れを告げてしまう。
その後、行き過ぎの捜査により、資料保管部に転属となったフクロンは、ホーイとの関係にも意気消沈し、
度重なるやけ食いの果てに体重は120キロの巨漢体形となってしまう。
そんなある日、再び現場復帰へのチャンスとなる任務を受ける事になる。
それは、日本への容疑者護送の任務で、この任務を無事遂行すれば、晴れて現場復帰となるはずだったが、
日本に到着早々に、ある事件に巻き込まれる事になるのだった!?
ついに公開された(燃えよデブゴン)のリメイク作品です。
リメイクと言っても、物語的には特に共通点はあませんので、(燃えよデブゴン)のリメイク、
というより、ブルース・リーに憧れる太った熱血刑事が主人公のアクション作品といった感じになっています。
ですので、作中に(ドラゴンへの道)のワンシーンが流れていたり、主題曲が(ドラゴンへの道)の主題曲のアレンジになっていたり、
ドニーの携帯の着信音が(ドラゴンへの道)の曲になっていたりします。
そういう意味でのリメイク作品、となっています。
物語的には香港から容疑者を移送して、移送した先の刑事の陰謀などにより、容疑者を取り逃がして、
その容疑者を捜索しているうちに、背後にある影の組織と戦う事になる、
というクリント・イーストウッド主演の(マンハッタン無宿)に大きな影響を受けているストーリーとなっています。(マンハッタン無宿についてはこちら)
ストーリー自体は似ていますが、本作のコンセプトとしては、80年代の明るい香港映画の娯楽アクションの復活、
を目指しているようで、大がかりなバトルアクションの中にしっかりと笑いの要素が散りばめられています。
イメージ的にはサモ・ハンの(福星)シリーズや、ジャッキーの香港時代の作品の雰囲気に近い作品となっています。
最近の香港映画では、暗くハードな作品か、中国本土の資本が多く入っている時代劇などが多く、
本作のような明るく、能天気な(良い意味で)作品は極端に少なくなっていましたので、
本作が現在のようなコロナの影響で、皆の気持ちが沈みがちな時期のお正月に、全国公開されるという事は、凄く意味のある事ではないでしょうか。
これもドニー・イェンのアクションの素晴らしさと、谷垣健司監督の演出力と統率力の素晴らしさがあってこそ、の作品の出来だと思われます。
谷垣健司監督演出のドニーアクションは、流石に長年ドニーの補佐役を務めているだけあって、
息はばっちりで、ドニーがどんな体格であろうとも確実にカッコ良く見えるアクション演出に熟知していて、
ハードで激しいけれども、笑いは決して忘れる事なく、アクションと物語のバランスが上手く融合しています。
久々に安心して観れる、THE香港映画、といった作品になっています。
また、ドニー・イェンだけではなく、本作で準主役的に活躍しているバリー・ウォンも本作の笑いをアクションの融合を実現させるのに一役買っています。
バリー・ウォンといえばジャッキーの(シティハンター)やチョウ・ユンファの(ゴッドギャンブラー)など香港娯楽映画の第一人者で、
一時期ウォン・カーワイ作品などで、やたらと芸術路線が流行だった香港映画界でも、
賞レースで受賞するのはウォン・カーワイ映画だけれども、香港の人が実際お金を払って鑑賞しているのはバリー・ウォン映画、
といわれていたぐらいに、香港娯楽映画の伝説となっています。
そんなバリー・ウォンと最近のドニー・イェンは(スーパーティーチャー熱血最強)、(追龍)と立て続けにコンビを組んでおり、
今まで何故、共同製作が実現していなかったか不思議なぐらいに息の合った作品を連続で製作しています。
本作で、ついにかつての出たがり、バリー・ウォンが製作だけではなく、脚本と出演までして、ドニー・イェンとの相性の良さをアピールしています。
このバリー・ウォンの本領発揮によって、本作のアクションコメディとしてのグレードは数段上がったのではないでしょうか。
それと、キャスト面では90年代に大活躍していた(ハッピーブラザー)や(恋のマジック)などの名コメディエンヌ、テレサ・モウが準ヒロイン的な位置で、
バリー・ウォンとの恋の駆け引きを演じています。
日本ではあまり公開作品が少なくなっていましたが、香港では2006年に香港アカデミー賞最優秀助演女優賞を、
2016年には最優秀主演女優賞を受賞していますので、まさに人気実力ともに評価された上での本作出演となっています。
久々に日本のスクリーンで観れて喜ばしいですね。
あと、キャスト面で忘れてはいけないのは、ドニー・イェンとのラストバトルで大激闘を繰り広げている丞威です。
日本映画では(孤狼の血)や(HIGH & LOW THE MOVIE2)などで知られ、華麗なアクションを披露していますが、
今回のドニー・イェンとのバトルはダンサーや空手家でもあるキャリアを生かし、
華麗でハイレベル、凶悪さがあるが、コメディ作品のキャラクターとしての愛嬌もある、
という魅力的なキャラクターを印象に残る演技で見事に演じていました。
劇中で『ニコラス・ツェーに似てるからって調子に乗るな』的な事を言われるシーンが出てきますが、
実際アクションが過熱してくる後半の表情はニコラス・ツェーそっくりでした。
外見的にも恵まれて、アクションもしっかりできる国際派ですので、今後確実に人気急上昇しそうです。
で、アクション面は勿論、東京タワー(セット撮影なので本物ではありません)でのラストバトルが一番の見せ場となっていますが、
中盤で繰り広げられる、大がかりな東京の街中セットでの物凄く立体的なアクションの数々は、巨漢に変身したドニー・イェンですが、
いつものように華麗でハイスピードながらも、力強さをか感じさせる終発力のあるアクションが存分に味わえる名シーンの数々となっています。
かなり動きにくそうな姿をしていますが、やはりいつものドニーアクションのキレは健在でした。
しかも、痩せている時期の回想シーンとしてお楽しみのシーンが用意されていて、ドニー作品ファンとしては、
サプライズ的に楽しめるシーンが2シーンほど挿入されています。
こういったサプライズもお正月向け娯楽作品としては非常に楽しいしかけではないでしょうか。
というように本作は、手抜きのないアクションに適度な笑いをバランス良く融合させ、誰にでも気楽に楽しめる娯楽作品となっていて、
お正月1月1日に公開されるには、最も相応しい作品となっていますので、今の時期に楽しいアクションを観たい、
といった方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
新しいけれども、どこか懐かしくて、笑えてスカッとする一年の出だしにピッタリな作品ですよ。
作品情報
2020年製作 香港製作 カンフーアクション
監督 谷垣健司 アクション監督 大内貴仁
出演 ドニー・イェン、ウォン・ジン、テレサ・モウ、ニキ・チョウ、竹中直人、バービー
その他の燃えよデブゴンシリーズ
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主演にトン・ワイを迎えたサモ・ハンスタントチーム初担当作品(燃えよデブゴン9)はこちら
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