おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆
チョウ・ユンファ主演の名作香港ノワール(狼/男たちの挽歌 最終章)を、ジョン・ウー監督自身がナタリー・エマニュエル主演、オマール・シー共演でフランスを舞台にリメイクした久々のガンアクション作品!!


作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、ついに実現した(狼/男たちの挽歌 最終章)のジョン・ウー監督自身によるリメイク作品です。
それでは、まずはあらすじから、
フランス・パリの裏社会の伝説として知られる暗殺者ジーは、雇い主からある犯罪者グループ全員の暗殺を依頼される。
いつも通りに順調に任務をこなしていくジーだったが、その中に偶然いた歌手の女性を殺害せずに現場を後にした事で、組織を敵に回してしまうのだった。
その後も執拗に女性の命を狙う組織と完全に決別したジーは、その事件の裏に潜む巨大な陰謀に立ち向かうのだった!!

監督は、(男たちの挽歌)や、本作の原作となった(狼/男たちの挽歌最終章)等のジョン・ウーで、久々のガンアクション全開の作品を演出しています。


主人公の女性暗殺者役は、(ワイルドスピード)シリーズや、(ダイハート)シリーズ等のナタリー・エマニュエルで、ガンアクションと格闘アクションもこなす暗殺者を演じています。



で、相棒的な関係になる刑事役で、(最強のふたり)や(アンタッチャブルズ)シリーズ等のオマール・シーが登場し、主人公と友情を交わしていきます。



で、暗殺者組織のボス役で、(アバター)や(シミュラント)(詳しくはこちら)等のサム・ワーシントンが登場し、主人公と緊迫感のあるやり取りを繰り広げます。



で、事件に巻き込まれる歌姫役で、(マー サイコパスの狂気の地下室)や(ブックスマート)等のダイアナ・シルバーズが登場し、悲惨な目にあっていきます。



で、主人公と同じ組織に属する暗殺者役で、(マンハント)や(サイレントナイト)等、近年のジョン・ウー作品には必ず登場する
監督の娘アンジェルス・ウーが登場し、ナタリーと火花を散らします。



で、もう一人の同僚の暗殺者役で、(ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー)シリーズや(ガンパウダーミルクシェイク)(詳しくはこちら)等の
カレン・ギランのスタントダブルの他、多くの作品でスタントウーマンとして活躍しているオーレリア・アゲルが登場し、主人公と激闘を繰り広げます。




そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、裏の世界では既に伝説の暗殺者としてその名が知られるジー(ナタリー・エマニュエル)が、
廃墟と化している教会で、雇い主であるサム・ワーシントンと会い、裏の世界のある人物達の暗殺依頼を受けるシーンから始まります。


で、その暗殺対象というのが、闇の世界の大物から、輸送中の大量の麻薬を強奪した数名の男女で、既にその潜伏場所であるクラブも突き止めている状態で、
サムからは、その場にいる全員の命を奪う様に指示を受けます。

で、美貌を武器にまんまとガードマンをだまくらかして内部に侵入したジーは、当然のように油断しまくる暗殺対象を、
背中に隠していた日本刀ぽい刃物を使用してズバッと華麗に命を奪っていき、さらに遠くの位置にいる的には拳銃を奪って応戦し、
順調に暗殺をこなし、、、、、、、


、、、ていたはずが、その部屋で歌を歌っていた歌手のジェニファーが、
ジーの銃撃の威力によって体勢を崩し、そのまま倒れ込んだ拍子に後頭部を強打してしまい、一瞬にして視力を失ってしまいます。


暗殺対象は、その部屋にいる全員という事でしたが、どう見ても歌手としてその場にいただけにしか見えないジェニファーの容姿が、自身の妹に似ているという事実も相まって、
どうしても命を奪う事ができないジーは、ついにジェニファーをそのままにして任務のコンプリートは無視し、現場から立ち去ってしまいます。

一方、その頃、フランス警察では、正義感が強すぎるために、組織からはみ出してしまっている刑事セイ(オマール・シー)が、
相棒と共に、捜査中の麻薬組織からブツを強奪したチームの一人を、一般市民への危険も顧みず追い込み、結局死に追いやってしまいますが、
その仲間達が、何者かによって日本刀で惨殺されたという事件に行き当たります。


で、その事件の唯一の生き残りであるジェニファーに会うために病院にいきますが、そこで同じくジェニファーに会うためにやってきていた
政府の職員ヌーンと名乗る女性と出会います。


で、この女性が、変装してきていたジーで、ジーはサムから命を奪わなかったジェニファーの命を再度奪う様に言われていますが、
やはりジーには、ジェニファーの命を奪う事はできず、さらにセイ刑事は、そんなジーに何かただ者ではない匂いをかぎ取ります。


で、その場を後にしたジーですが、しびれを切らしたサムは、ジーを見限り、自身で育てた他の暗殺者を使ってジェニファーの命を奪おうとします。



そして、ジェニファーを守る覚悟を決めたジーは、迫りくる組織の暗殺者に反撃し、反目し合いながらも、自身と同じ匂いを嗅ぎ取ったセイ刑事もジーに寄り添って戦いに参戦する、、、、、
、、、、、、、、というのが、大体の大筋となっています。

ついに実現した、香港ノワールの名作(狼/男たちの挽歌 最終章)の、ジョン・ウー監督自身によるセルフリメイク作品です。

ジョン・ウーが1993年に(ハードターゲット)で、ハリウッドに進出し、1996年の(ブロークンアロー)、1997年の(フェイスオフ)と順調に名作を監督している時期には、
既に(狼)のリメイクの話は出ていましたので、その当時はリチャード・ギア主演でリメイクの製作が進んでいるなどの雑誌記事を読んだのを記憶しています。



その当時は、チョウ・ユンファや、ほとんど(狼)の元ネタとも言える(サムライ)のアラン・ドロンのような渋さが滲み出る世界感になるのかとワクワクしていたのですが、

そこから企画自体が無くなってしまったようで、ジョン・ウーも(ウィンドトーカーズ)で振るわず、(ペイチェック)ではジョン・ウーらしさが消えてしまい、
そのまま香港に戻ってかつてのガンアクションからは離れた内容の作品等を演出する、という流れに突入してしまいましたので、


もう、(狼)のリメイクは鑑賞出来ることはないと思っていましたが、ここへきて主人公を女性に変更してフランスを舞台にリメイクする、
という、まさかの設定でリメイクが実現するなんて、個人的には夢にも思いませんでした。

しかも、主人公が女性に変更されていても、内容的には、かつてのジョン・ウー作品を思わせるバリバリのガンアクションが盛り込まれた香港映画っぽいアクション作品で、
正直、今まで散々実現しなかったリメイクが、何故今急に可能になったのか、分からないぐらいにジョン・ウーらしさ全開の作品となっています。
ジョン・ウーと言えば、、、
〇二丁拳銃
〇スロー撮影
〇鳩が飛ぶ
〇至近距離での銃の向け合い
〇吹っ飛びながらのガンアクション
〇男二人の友情
〇悪党は分かり易い
〇敵は黒スーツ
〇できればロングコート
〇銃弾を受けてもちょっと痛いだけ
という、分かり易い特徴がありますが、女性が主人公になった事での変更以外は、ほとんど香港映画時代のジョン・ウー作品のお約束が、そのまま表現された作品となっています。



しかも、主人公がナタリー・エマニュエルというファッショナブルなイメージの女性が演じていて、さらにフランスが舞台となっていますので、
ジョン・ウー作品独特の泥臭さも抜けていて、ガンアクションシーン以外でもスタイリッシュさを醸し出すという、
オールドファンも新世代のファンも鑑賞できる絶妙なバランスの作品世界となっています。



ですので、ストーリー展開などは、オリジナルとほとんど変わらないのに、全く新しい雰囲気で、殺し屋と刑事が少しずつ友情を深めていく様をスリリングに楽しめる、
香港映画であり、フランス映画であり、アメリカ映画でもある色んな映画の要素が上手く融合された作品となっています。

ただ、主人公が若い女性に変更された事で、やはりちょっとした不具合もあります。
大前提として、主人公の年齢が若すぎるので、フランスにやって来てからのわずか数年で、道で寝ていた状態から、伝説の殺し屋に生まれ変わるまでの期間があまりにも短すぎますし、
どうやって誰も敵わないレベルの暗殺テクニックを身に着けたのか全く説明が無いので分からない、という、そもそもの設定の不具合があるのですが、
そこは、ナタリー・エマニュエルが常に浮かべている余裕の笑顔によって、説明は無くてもとりあえず強いものは強い、という香港映画的な強引さで押し切ってしまっています。


これが、もう少し年齢の高い女性キャストだと説得力も出てくるとは思うのですが、そうなってくると作品の雰囲気自体が変わってきそうなので、
細かい部分はスルーして、主人公はとにかく強くて凄い、という説明不要の揺るがない設定のもとに、伝説の暗殺者ジーが誕生したのだと思われます。

で、この伝説のジー、オリジナルには無かった格闘での暗殺シーンが結構あるのですが、その中でも、超絶アクションを繰り出すスタントウーマン、
オーレリア・アゲルとのクライマックスバトルは、非常にアドレナリンマックスな大激突で、恐らくアクションコーディネーターでもあるオーレリア・アゲル自身が、


アクション自体を設計して、主人公の強さが際立つような振付を考案し、要所で自身が受け身を取ってその辺に吹っ飛ばされるアクションを上手く表現する事で、
格闘もできる伝説の殺し屋像を表現するのに非常に貢献しています。


勿論、ナタリー・エマニュエルも凄く動いていますが、ラストバトルの緊迫感は、オーレリア・アゲルの貢献度がかなり高く、
女子同士の激闘史上でも、かなりハイレベルな何度も観たくなるような名勝負となっています。


勝敗の着け方も、女子同士の戦いだとその手があったか!というような決着で、その辺のセンスも感じる幕引きとなっています。

気合が入ると眉間にしわが寄る、独特の美貌と超絶アクションを併せ持つオーレリア・アゲルには、スタントダブルとしてよりも、
どんどんキャストとして、できればスコット・アドキンスとか、本当に動けるアクション派とバトルを繰り広げて欲しいですね。


という事で、ジョン・ウー監督渾身のリメイク作品となっていますので、香港映画好きの方や、レディースアアクション好きの方等、ご鑑賞れてみてはいかがでしょうか。
いやぁ、長かったですね、、、。







作品情報
2024年製作 アメリカ製作 アクション
監督 ジョン・ウー 製作総指揮 テレンス・チャン
出演 ナタリー・エマニュエル、オマール・シー、サム・ワーシントン、ダイアナ・シルバーズ、チェッキー・カリョ、アンジェルス・ウー、オーレリア・アゲル

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