【推薦!】クローズド・バル 街角の狙撃手と8人の標的(THE BAR)102分

投稿者: | 2021年8月3日

お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆

突然、マドリードの街中に銃声が鳴り響く。場末のバーに逃げ込んだ男女8人。外に出た者は即刻狙撃される中、狙われた者同士の疑心暗鬼が広がり始める!!アレックス・デ・ラ・イグレシア監督による傑作密室劇!!

作品紹介

2017年3月25日公開

今回ご紹介するのは、アレックス・デ・ラ・イグレシア監督による密室サスペンス作品です。

それでは、まずはあらすじから、

マドリードにある場末のバー。今日も常連客で賑わっていたが、一発の銃声が、店内の和やかなムードを一変させる。

店の外に出た客が、何者かに銃で撃たれたのだった。店内にいた他の客は、とっさに店の奥に避難したが、その内の一人が様子を見に外に出る

しかし、その客もまた、銃で撃たれてしまうのだった、、、。

誰が、何の目的で銃撃しているのか?店内に残された人々の疑心暗鬼は広がっていく、、。

店内に残された人々

スガラムルディの魔女)や、(刺さった男)などのサスペンスやホラー作品で有名なスペイン人監督、アレックス・デ・ラ・イグレシア監督の最新作です。

街中の場末のバーを舞台にして、ほとんど密室の会話劇を中心に、サスペンスから、コメディ、パンデミックスリラーへと、

ジャンルを色々と飛び越えながら先の読めない二転三転するストーリーが魅力となっています。

物語展開自体が、そのまま作品の魅力と言っても良いタイプの作品ですので、作品を楽しむのに問題のないところまで、ご紹介させていただきます。

場所はスペインのマドリードの街中、色んな場所からその場末のバーには人が集まります。

出会いを求めて、誰かと会うために待ち合わせ場所に向かう途中、携帯の充電が切れそうななので、たまたま立ち寄った女性、

常連ではなくたまたま立ち寄った女性。ほぼ主役です。

いつもコインゲームに興じている常連客の孤独な中年女性、

いつも常連のように堂々と入店して、店長に食事をごちそうになるホームレス、

そんなホームレスに快く食事をごちそうする、粗野だけども心根の優しい女性店長、

その店長の元で、長年勤務し、店長の息子のような存在になっている店員、

所連客の元刑事、女性下着のセールスマン、PCに夢中になっている男性、

さらに、毎日のようにトイレだけを借りに来る困った男性もいるようで、トイレは占拠されてしまっています。

店長と店員とPCに集中して事件に気づいていなかった男

そんな感じで、店内はそれなりに繁盛しています。

そこで、店内にいた一人の客が、会計を済ませて店の外に出ると突然、、、

その男性は何者かに頭を銃で撃たれて倒れてしまいます

何が起こったのか、理解できない店内の人々は、とりあえず店内から様子を伺う事しかできません。

でも、もしかしたら、狙撃された人はまだ生きているかもしれません。

もし、生きているようなら、一刻も早く助けないといけません。

そこで、客の中の一人の男性が、意を決して表にでます。

なんとか、倒れている人を介抱しようとしたその時、、

二発目の銃弾が介抱しに出てきた人めがけて発射されます。

二人目の男性も頭を撃たれて倒れこみます。

店内は当然パニックになり、店内の客たちの間で疑心暗鬼が広まります。

何故店外に出ると撃たれるのか?本当に死んでいるのか?犯人の目的は何なのか?何かの実験なのか?それともただの愉快犯か?

疑問は次々に沸き起こりますが、はっきりとしている事は、今外に出たら狙撃される、という事だけです。

そんな中で、トイレにこもっていた男性は、ある行動にでます、、、。

というのが、前半の導入部の流れです。

テロか?何かの事件か?と疑心暗鬼が広がります

常に先読みができないようにアップテンポで物語が展開していきます。

基本は会話劇中心ですので、会話自体もアップテンポですが、その会話がしっかりと登場人物たちの人となりを表現していますので、

8人の登場人物が、それぞれとても個性的で、しかも感情移入しやすく、中には親しみの沸くキャラクターも登場します。

それぞれのキャラクターが個性的に描かれていますので、好みは別れると思いますが、

感情移入してしまうような親しみの沸くキャラクターでさえ、後半の命のかかった追い詰められた状況になると、

何をしでかすか分からないような、そんな殺伐とした展開になっていきます。

前半いろいろな出来事によって感情移入するように持っていきつつも、後半で突き放したような醜い争いになっていきますので、

そういったキャラクターの描き方でも、先の予測できない要因の一つになっています。

ですが、本作は、そんな追い込まれた人間同士の殺伐とした醜い争いをさんざん描きながらも、最後の最後では、

それでも、まだまだ人間もそう悪くない、と思わせてくれるような希望のあるラストとなっています。

ですので、人間の醜い部分を結構描きながらも、決して後味が悪いわけではない、という絶妙な匙加減の作品になっています。

という事で、物語の核心に関する大事な部分はほとんど説明する事ができませんが、会話メインの密室劇でありながら、しっかりとしたサバイバル人間ドラマになっている秀作ですので、

サスペンス好きの方や、ちょっと変わった作品をお探しの方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

PC男はやたらとボディタッチしてきます。いかにも怪しい、、。
元刑事は今も拳銃を持ち歩いています

作品情報

2016年製作 スペイン製作 サスペンス

監督・脚本 アレックス・デ・ラ・イグレシア

出演 ブランカ・スアレス、マリオ・カサス、ジェイム・オルドネス、カルメン・マチ、アレハンドロ・アワダ、テレール・パべス

ホームレスの存在が非常に危うい状況にしていきます

その他の変わった設定のサスペンス作品

アレクサンドル・アジャ監督による究極の密室劇(オキシジェン)はこちら

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