お薦め度 ★★★★★★★☆☆☆
POVファウンドフッテージものの弱点を設定で上手く解消した、(フォース・カインド)監督による、良い意味でハッタリ感満載の新次元謎解きサスペンス!!
作品紹介
2013年10月5日公開
今回ご紹介するのは、POVものの弱点を上手く克服している、全編飽きる事のないサスペンス作品です。
それでは、まずはあらすじから、
乗客数名を乗せたラスベガス行きの観光バスが、最後の乗客を乗せるために、寂れた荒野にある修理工場跡地に到着する。
しかし、その時バスは鉄条網に引っかかり、横転事故を起こしてしまう。
なんとか無事に脱出した乗客たちを待っていたのは、鉄仮面を被りトーチで襲い掛かる謎の殺人鬼だった。
捜査員のバルケス(ラダ・ミッチェル)とリース(スティーヴン・モイヤー)は事件現場より発見された証拠映像から、犯人の手がかりを追い始める!?
ミラ・ジョボビッチのびっくりハッタリ映像ホラー(フォースカインド)で一躍有名になったオラントゥンデ・オスンサンミ(絶対に覚えられない名前ですね、、)監督のPOVの変化球的なサスペンス作品です。
2013年製作の作品ですので、それから8年ほど経過していますのが、今現在でもPOV作品は多く製作されている人気ジャンルとなっています。
ですが、気軽に低予算で製作できる反面、やはり内容的には特に抜き出た作品も少なく、大筋なども似通っている作品ばかりとなっています。
本作公開時は、まだまだPOV作品のジャンルの模索期の後半ぐらいではあったため、POV作品のちょっとした変化球ぐらいの扱いだったと記憶しています。
で、その後多くの同ジャンル作品が製作されてきた円熟期とも言える現在で、本作を観直してみると、意外にもその後連発されるPOV作品の弱点を上手く補いつつ、
しっかりとした娯楽作品として、また監督お得意のびっくりハッタリ感も満載(良い意味です)で、ラストの落ちまで、非常に楽しめる作品となっています。
まず、本作は冒頭から、惨劇の起こった荒野の事件現場の現場検証を警察関係の人物たちが行っているシーンから始まります。
このシーンをいきなり、勇壮な音楽と共に、人物は制止したままでカメラがぐるぐると動き回る(マトリックス)でお馴染みのバレットタイム撮影(タイムスライス撮影)で割と長時間描写してくれます。
これで、いきなり、何か物凄い事が起こって、結構な死人が出ている事が分かります。
しかもそのシーンの最後にカメラは現場で見つかった、恐らく証拠映像が映っているであろうビデオカメラを(EVIDENCE証拠品)と書かれた証拠品袋に入れるところで、切り替わります。
それがそのままタイトルになるわけです。
POV作品の導入で、ここまで躍動感のある作りこんだ映像もなかなかありませんので、この時点で監督が他のPOV作品と本作の違いを明確に打ち出そうとしているのがわかります。
で、そのまま警察内部で証拠品を調べていくシーンに入っていくわけですが、その証拠品の中に例のビデオカメラがあり、2台のカメラがある事が分かります。
そのカメラ映像を調べるのは、(サイレントヒル)シリーズや(マンイーター)、(クレイジーズ)などホラー系の作品への出演も多いラダ・ミッチェルとテレビシリーズ(トゥルーブラッド)のスティーヴン・モイヤーズの二人の刑事がメインになって映像を解析していきます。
ラダ・ミッチェルは結構勢いのある姉御肌の刑事で、スティーヴン・モイヤーズは、最近何かの理由で休職していたような状況で、
それでも職場復帰を希望して今、ここにやってきた、といった感じです。
と同時に、ラダ刑事はこの事件の責任者で、メディアでも話題になっている事件なので、要所で記者会見を開いて捜査状況を発信していきます。
今現在は、その証拠集めをしている時期であり、事件の被害者や生き残った人物がいるのか?などはまだ明らかにしていない状況です。
タイトルでは(全滅)となってしまっていますが、、、。
という二人の刑事が、いよいよ証拠映像から、犯人の手がかりを探っていきます。
ここから、
POV撮影された証拠映像を見ている二人の刑事と観客の視点が重なります。
例えるなら、最近の日本のバラエティ番組で、VTRを見ながら感想を言っていくような出演者と観客の無線が重なる状況ですね。
で、POV撮影をしていた映画製作者として売り出していきたい女性と、親友の女性とその彼氏の、ラスベガスへの旅行の映像が始まります。
その映像に登場する人物は既に大部分がその後の事件の被害者になる事が分かっているので、一体何が起こったのか?という興味と、
大規模な殺人の可能性の高い事件の犯人の手がかりも映っている可能性のある映像ですので、通常のPOV映像よりも寄り興味を引く映像となっています。
さらに、POV映像が流れっぱなしではなく、あくまでその映像を同時進行で刑事たちが見ている、という設定ですので、
映像が流れている合間で、映像を止めて、手がかりを少しづつ集めていく現実世界の物語も進んでいきますので、展開に飽きる事がありません。
というより目が離せない状態になります。
そうする事で、他のPOV作品にありがちな前半から中盤にかけての登場人物の普段の会話のやり取りの映像などに飽きる事なく、
物語はちゃんと展開して進んでいく、というPOV作品の弱点を補いつつしっかりと飽きのこない娯楽作品としてまとまっています。
色んな謎が少しづつ解明されていく、という心地よさと、その証拠映像を見ている間も、カメラはぐるぐると登場人物の周りをまわりながら、
かなりアクティブな感じで演出されていますので、ずっとアクション作品をみているような感覚も味わえます。
で、POVの中では、色んな登場人物が謎の殺人鬼の犠牲になっていく、という展開になっていきます。
物凄い威力を持ったバーナーで殺人を繰り返す殺人鬼は、正体不明ですので、いったいどんな人物か?というところにも興味が映っていきます。
考えてみると、POVの中の登場人物は、結構怪しい者も多く、誰が犯人でもおかしくないぐらいになっていきます。
そこから先は、楽しみがなくなってしまいますので、割愛しますが、結構ハッタリ感満載(良い意味でです)のラストとなっています。
個人的には良いラストだとは思いますが、このラストに関しては、ちょっと意見が分かれるところかもしれません。
続編もありそうな終わり方なのですが、本作以降、同監督の新作が公開されていないのが、ちょっと寂しいですね、、。
このハッタリ感、他の監督ではあまり味わえないタイプの内容なので、もっと独自路線を掘り下げていって欲しいところですが、むずかしいのでしょうか。
という事で、同じような内容のPOV作品が多数製作される中、本作は少し前の作品になりますが、予想外に楽しめる作品となっていますので、
POV好きでまだ未鑑賞の方や、謎好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
ラストは薄々気づきながらも、そう来るか、となりますよ。
作品情報
2013年製作 アメリカ製作 POVサスペンス
監督 オラントゥンデ・オスンサンミ
出演 ラダ・ミッチェル、スティーヴン・モイヤー、トーレイ・デビート、ケイトリン・ステイシー、ノーラン・ジュラード・ファンク
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