【元店長推薦!】正体不明THEMゼム (Ils/THEM)77分

投稿者: | 2024年6月27日

おすすめ度 ★★★★★★★☆☆☆

実際にルーマニアで起こった実話を基に、シンプルな構成で追い詰められていく夫婦の恐怖を、緊迫感満載で描いたフランス製サスペンスホラー!!

作品紹介

2008年1月26日公開

今回ご紹介する作品は、実話を基にしたサスペンスホラー作品です。

それでは、まずはあらすじから、

ブカレストのフランス人学校に勤務しているクレモンティーヌは、夫リュカと共にブカレスト郊外にある森の中の一軒家で暮らしていたが、

ある晩、庭に何者かの存在を確認した事をきっかけに、2人は地獄のような恐怖の一夜を経験することになるのだった!?

監督は、本作大ヒット後、ハリウッドに招かれ製作した、ジェシカ・アルバの香港映画リメイク版の(アイズ)や、

フランスで製作された(アローン)等のダヴィド・モローと、

同じく、(アイズ)と(ブラインドマン)等を監督しているザヴィエ・パリュのコンビ監督で、シンプルな設定ながらも、

緊迫感を極限まで煽る素晴らしい演出で、主人公達を追い込んでいきます。

主人公となる女性教師役で、(ブラッディマロリー)や(やがて復讐という名の雨)等のオリヴィア・ボナミーが登場し、

可憐な魅力を放ちつつ、謎の襲撃者と決死の覚悟で対峙していきます。

本作のオリヴィア・ボナミー
オリヴィア・ボナミー

で、その恋人役で、(女神よ、銃を撃て)や(リベンジャー)等のミカエル・コーエンが登場し、幸せな一夜から一転、地獄の一夜を経験していきます。

本作のミカエル・コーエン
ミカエル・コーエン

そんなスタッフ・キャストで製作された本作の物語は、雨の降りしきる夜、ルーマニアのブカレスト郊外の森林地帯の道を、

車を走らせながら車内で母親と娘が口喧嘩しているシーンから始まります。

で、喧嘩がエスカレートしてしまったタイミングで、ハンドル操作を誤った母親が、道端の木に車を激突させてしまい、

2人とも無傷ながらも、車の調子を見るために母親が車外に出てみると、、、、、、

母親の姿が突然見当たらなくなり、、、、、

続いて、娘も、、、、、

、、、、、という不安感を煽るシーンから始まります。

その森林部には、何かがいる!?

で、そこから、車で暫く行った地区にあるフランス人学校で教師の職に就いているクレモンティーヌ(オリヴィア・ボナミー)は、

ここ最近、森林部にある大きな屋敷に、作家の夫リュカ(ミカエル・コーエン)と引っ越してきたようで、まだまだ屋敷も改装中で、

バタバタとしている毎日を過ごしていますが、その日も勤務を終えて、屋敷へと帰宅します。

で、愛する夫と団らんの時を過ごし、夜も更けてきた、という事で、就寝します、、、、、、

、、、、が、、、、

、、、、どうも、クレモンティーヌ(以下クレモン)には、第六感が働くのか、何かの視線を感じるようで、

異様に窓が気になってしまい眠れません。

毎晩のように庭に迷い込んでくる野良犬にも、先ほど餌を与えて帰っていったのを目撃したので、他には自分達夫婦しかいないその大きな屋敷で、

他人の視線を感じる事は絶対に無いはずなので、リュカを起こして様子を一緒に見に行ってもらうように懇願します。

で、寝ぼけ眼のリュカですが、なんとか起き上がり、その様子を見てみると、、、、、

、、、、クレモンの車の位置がおかしい!!

という事で、車の様子を見ようと近づいてみると、突然ヘッドライトが点灯し、車が動き出し、森の奥の方へと走り去ってしまいます。

この森には、何かがいる!?

必死で屋敷に戻り、全ての鍵をかけ、様子を伺う二人に、屋敷の中でも物音が、、、、、、!!

というのが、大体の大筋となっています。

上映時間は77分、メインの見せ場のほとんどは、暗闇を逃げ回るだけ、という非常にシンプルな構成の作品で、

普通で考えると、そんな構成の作品は、スカスカの見所の無い作品だと思われがちですが、本作は、後半のリアルな緊迫感をしっかりと描くために、

思わせぶりなドラマ的な見せ場をあえて排除してシンプルな構成になっています。

ですので、襲ってくる襲撃者の正体を、前半で伏線のように提示したり、怪しい登場人物を描いてミスリードを誘ったり、等の

種まきなどは一切せずに、幸せな夫婦が、地獄のような目に合うその数時間に焦点を当てて恐怖感を極限まで盛り上げていきます。

それというのも、恐らく、本作で描かれている事件は実際に起きた事件を基にしている事で、邦題では正体不明と煽られていますが、

既に実際の事件では犯人が捕まっていて正体は判明していますので、後半まで、正体を明かす描写を引っ張りつつも、

最終的には、有耶無耶にせず正体を明らかにしていく必要がありますので、その判明している犯人の、異常性(不気味さ)を、いかにして描いていくか?

という部分に全てが注がれているような演出となっています。

ですので、ここでは正体は割愛させて頂きますが、物凄く不気味ながらも、ハリウッド映画のような分かり易い映画的な不気味さではなく、

もしかすると、実際の事件でも、その犯人は、このような雰囲気で、2人の夫婦を襲ったのかもれない、というリアルなゾクっとする不気味さが、作品全体を覆っています。

とにかく、緊迫感の煽り方が秀逸で、どこまでが、実際の事件を再現しているのか分かりませんが、

例えば、引っ越してきたばかりで屋敷を改装中なので、天井からシートが垂れさがっているために、広い部屋ながらも、

遠くまで見渡すことが出来ずに、本当の意味で一寸先は闇状態になっていたり、

広い屋敷ですが、
視界は悪いです

体格的に活躍できそうな夫が、様子を見に行った際に、真っ先に怪我をして、女性よりも戦闘能力が落ちてしまったり、という感じで、

そうとは気づかないうちに、どんどんと危機的な状況に追い込まれていってしまう、という名シチュエーションの連続となっています。

動けなくなる夫

ただ、実際の事件を基にしている作品ですので、犯人の正体と夫婦が辿る結末は最初から決まってしまっていますので、

そこに突飛などんでん返し等がないのは少し残念ではありますが、

最後まで鑑賞すると、他の作品(特にハリウッド映画)では経験できないタイプのゾクっとしたエンディングを観る事ができる貴重な作品となっていますので、

サスペンスホラー好きの方等、機会がありましたら、是非ご鑑賞してみてください。

個人的には、初見時は、ガラガラの映画館の暗闇で鑑賞しましたが、帰宅時ずっと背筋がゾクゾクしっぱなしだったのを記憶しています、、、。

感覚的には(REC)や(ブレアウィッチプロジェクト)等の良作POV作品を鑑賞した時と同じような感覚になる作品です。

作品情報

2006年製作 フランス・ルーマニア製作 サスペンスホラー

監督・脚本 ダヴィド・モロー、ザヴィエ・パリュ

出演 オリヴィア・ボナミー、ミカエル・コーエン、カメリア・マキシム、アドリアーナ・モカ

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