おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
孫悟空の大活躍を描く武侠アクション最新作、、、、ではなく、孫悟空に力を与えた猿の化身の神様が力を失って人間界に降りてくる、既視感満載の武侠ファンタジー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、孫悟空が主演の西遊記ものではなく、孫悟空に力を与えた仙人の物語です。
それでは、まずはあらすじから、
石から4匹の猿が生まれたが、中でも人一倍暴れ者である霊明石猴は天帝の神獣を殺した事で、三眼戦神に追われる身となってしまう。
人間界に降りた霊明石猴は、逃げ延びた村で、かつてある約束を交わした少女と再会を果たすが、霊明石猴ににはその覚えがなかった。
そんな時、ある邪悪な意思が動き出し、村に大災害をもたらす計略が実行されようとしていた!?
まずきなりですが、(神・孫悟空)という邦題ですが、本作は孫悟空が主役の物語ではありません。
孫悟空の生まれ変わりでもなく、その後の孫悟空でもなく、別人(別神)です。
ずっとその後の孫悟空と思って鑑賞していたのですが、ラスト近くで子供時代の孫悟空が登場してしまいまいますので、
全くの別人(別神)です。
ですので、本作は孫悟空の物語ではなく、孫悟空に力を与えた仙人(神様)である霊明石猴を主人公にした物語となっています。
とはいえ、猿の化身でありながら神、という設定のようですので、ほとんど孫悟空と言っても特に問題はないような役柄となっています。
正直、そこまで同じイメージなら、何故孫悟空ではないのか全く謎です。
権利関係とかあるのでしょうか、、、。
で、その主人公である霊明石猴ですが、原題に【混世四猴】とあるように、冒頭で石から四匹の猿の化身(神)が生まれます。
その中の一匹(神様の単位が分からないので猿側に寄って匹としてます)が、主人公である霊明石猴で、
人一倍暴れ者だったため、天帝の神獣を殺してしまいます。
で、結局追われる身となった霊明石猴は、人間界に落ちてしまい、霊力を失い、普通の男になってしまいます。
他の3匹に関しては一切語られませんので、【人間界に落ちた4匹の猿】の物語というより、【人間界に落ちた4番目の猿】の物語という感じでしょうか。
で、霊明石猴を討伐し、戦神の称号を得たい三眼戦神によって追われる身となった霊明石猴は、逃げてきた村で、ある女性と出会います。
この少女が、かつて霊明石猴が、日照り続きの村に雨を降らせる約束をした少女、芭海星がある程度大人になった姿で、
神様である霊明石猴と、雨を降らせる約束を交わし、その事を村人に告げるも、約束は果たされる事はなかったために、
村八分にされ、そのまま人を信じない性格のまま成長し、詐欺師となってしまうも、心のどこかでは霊明石猴を慕い続けている、
という中国武侠作品によくある健気なヒロインキャラクターとなっています。
幼い少女の言う事を全面的に信じて、約束が実行されなかった事で村八分にする村人もなんですし、それを理由に詐欺師になってしまう、という少女もなんですが、、、。
という事で、物語展開は、この幼少期の出来事によって詐欺師となってしまったヒロインと、昔のことはあんまり覚えていない(霊力が無くなっているだけで記憶はそのままなので、覚えていないだけ、、)霊明石猴との覚えている、覚えていない、というシーソーゲームがメイン展開になっていきます。
ですので、いつものようにアクションはあまり無く、荒めのCG満載のラブロマンスが中心にある作品となっています。
そんな孫悟空物語そっくりの主人公、霊明石猴(結構親し気に接している人たちも主人公を霊明石猴とフルネームで何度も連呼しますので違和感は満載です、、)を演じるのは、
香港出身で、どちらかというと俳優よりも歌手としての知名度の高いパコー・チャウ(チャウ・パッホウ)です。
歌手活動がメインですので、日本で紹介されている作品の関連作では、(ダブルサスペクト疑惑の潜入捜査官)の続編である(使徒行者2)ぐらいしかありませんが、
中華圏では絶大な人気を誇るアーティストで、本作でも、途中まさかのギター弾き語り的なシーンまで登場してタイアップをキメていきます。
で、その相手役となるヒロイン、芭海星を演じるのは、子役時代から活躍し、テレビドラマ(宮廷女官 若曦)や、
(エターナル・ラブ~醉玲瓏)、(太子狂想曲ラプソディ)等、多くの作品に出演してきたチャイ・ウェイです。
チャイ・ウェイは中国では若いころのブリジット・リンに似ていると話題になっているようで、頻繁に比較されているようです。
個人的には、角度によっては似てなくもない、というぐらいの感じですが、、。
で、本作には、パコー・チャウの他にもう一人香港からレジェンドスターが出演しています。
90年代のチャウ・シンチー作品には必ずと言っても良いぐらいに、どこかのシーンにちょこっと出演し、笑いを攫っていっていたキングダム・ユンです。
最近ではベニー・チャン主演の(王朝の陰謀 恐怖の人体実験と黒死病)(詳しくはこちら)にも出演していましたが、
そちらは笑いのない、まじめな医師の役柄でしたので、本作のような人情味のある詐欺師役、というまさに香港映画時代に演じていた役柄のような、
持ち味にピッタリなキャラクターですので、いよいよ本領発揮という感じで、作品を盛り上げていきます。
というように本作は物語自体は、孫悟空が主人公ではないとはいえ、ほとんどいつもの西遊記ものと変わらない内容となっていますが、
キャストに関しては話題のキャストが揃った作品となっていますので、武侠作品好きの方や、中国作品好きの方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、最近の作品に共通して感じるのは、CGの精度を高めるつもりがないのなら、
そこまでCG全開にせずに、もっとCG度を減らして、アクションを増やせば中華圏にしかできない、多くの人が楽しめる作品が増えると思うのですが、どうでしょうか。
作品情報
2021年製作 中国製作 武侠アクション
監督 ウェイジー・リー
出演 パコー・チャウ、キングダム・ユン、チャイ・ウェイ、ウィル・チャン
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