おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
お馴染みの一行が、妹の命を長らえさせるために人々の魂を奪う妖怪とバトルを繰り広げるいつもの展開、いつもの内容な武侠ファンタジー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、お馴染みの設定、お馴染みの展開の西遊記ファンタジー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
お馴染みの孫悟空、猪八戒、沙悟浄と三蔵法師の一行は、相変わらず暴力で解決しようとする孫悟空と徹底して非暴力を訴える三蔵法師との間で諍いになっていた。
そんな時、人々の魂を奪う妖怪に三蔵法師が捉えられる事件が発生し、悟空はその力を試されることになるが、
それでも三蔵法師は非暴力を訴えるのだった!?
いつもの西遊記アクション作品です。
もう、ここまで連続すると武侠ファンタジーというジャンルというより西遊記ファンタジーという一つのジャンルと言っても良いぐらいにいつもの西遊記ものです。
ざっとした大筋は、暴れん坊の孫悟空が、いつものように暴力過多ぎみで妖怪を蹴散らし、非暴力主義(当然ですが)の三蔵法師と揉めて一行を飛び出し、
ヒロインと出会い、なんだかんだとヒロインの犠牲によって強大な力に目覚め、悪党を蹴散らし、師匠とも和解し、
天竺への旅に戻る、という過去作のどれかの作品で観たことのあるような既視感満載の内容となっています。
最近の流行りでは孫悟空が記憶を失って後半取り戻す(もしくは力が覚醒する)、という展開も多くありましたが、今回記憶を無くすのはヒロインの方で、
記憶を失いつつもその健気さで、主人公に影響を及ぼして、結局孫悟空の力が覚醒し、強敵をやっつける、という流れになっていきます。
で、最近の西遊記ジャンル作品にありがちな設定をちょっと振り返ってみると、、
〇正義のために妖怪を退治している孫悟空と非暴力をひたすら訴える三蔵法師との間に揉め事がある
〇主要メンバーの物語上の役割分担が孫悟空8、三蔵法師1、猪八戒0.8、沙悟浄0.2(か、それ以下)
〇ヒロインは天真爛漫で後半悲劇的な展開になる
〇主演俳優推しが過ぎる(主演俳優のキャラクターに依存しすぎるので、主演のイメージ=作品全体のイメージになっている)
〇登場人物の誰かが記憶喪失か、生まれ変わりなのにまだ未覚醒の状態(ラストで覚醒)
〇CG過多(レベルはペラい)
〇武術アクションはほとんど無し
〇少ないアクションも吊られワイヤーマペットアクションとくるくる回転アクションメインで、カット割とスローとCG過多でなんとなく終わるイメージ
〇イケメンの敵が登場する(主人公側はイケメンではないが、たまに猪八戒が奇をてらって美男子の時がある)
〇内容的には基本的に破天荒なはずなのに、娯楽映画として楽しみにくい
〇上映時間は短い
という感じで、大体ほとんどの作品が大なり小なり、この設定に当てはまっているかと思われます。
というより、西遊記ものに限らず、最近の武侠作品に共通している設定といっても過言ではないかもしれません。
もう、正直西遊記ものに関しては、どの作品を鑑賞しても観終わった感想は、内容がほとんど同じなのでほとんど同じで、
演じている俳優が違う、ぐらいしか違いはありません。
そんな既視感満載の本作の主演を演じているのは、台湾出身の歌手で、テレビドラマを中心に俳優としても活躍しているハン・ティンチェン(ハンク・チェン)です。
なかなかインパクトのある容姿で、終始出ずっぱり、さらに普通の状態の前半と、力を付けてからの後半とでちょっとした違うキャラクターを演じていますので、
ある意味ハン・ティンチェン推し(過ぎる)な物語展開の作品となっています。
で、天真爛漫なヒロインに(蛇王島キングスネークアイランド)(詳しくはこちら)では、とんでもない展開を見せる絶対に感情移入できないようなキャラクターを演じていたシャオ・ユンが、
本作では180度違う明るいキャラクターを演じて作品の世界観を盛り上げています。
ようやく持ち味が発揮できている作品が日本でも紹介された、という感じでしょうか。
本作では明るい前半と記憶が抜け落ちている後半と少しづつ悲劇的な展開にもなっていきますので、嫌な後味しか残さなかった(蛇王島)よりもずっと良い印象を残しています。
そんなキャスト面ではしっかり目の本作ですが、流石に相次ぐ西遊記もののリリースに、
そろそろ邦題もネタも尽きてきたのか、(シン・ゴジラ)にあやかって頭にシンを突けるタイトルも被ってきている、
という供給過多気味で、正直過去作の邦題だけを見て作品内容を思い出そうと思っても、一切思い出せません。
セガールの(沈黙)シリーズ現象という感じでしょうか。
今の日本でのDVDリリース状況は、中国で配信用に製作されている作品が多く、鑑賞できる機会が増える事自体は良い事だとは思われますが、
実際の内容は正直、劇場で公開されるような作品の内容には遠く及ばないような作品も少なくありません。
もしかするとそういった配信専用の(恐らく安めの)作品ばかりが日本に入ってきて、
本来日本に紹介されるべき劇場公開の作品が逆に紹介される機会を失っているのだとしたら、それはそれで良くない流れかと思われます。
同じ内容過ぎて全く印象に残らない配信専用作品10本がリリースされるよりも、しっかりした内容で深く心に残る劇場用映画1本がリリースされる方がよっぽど良いのではないでしょうか。
セガール作品はどの作品もそれなりには違いがあって、その違いを楽しめる部分は(一応)あるのですが、
最近の中国作品は、単純に楽しめない作品も少なくありませんので、このままの調子が続くといつか流石に同じ内容過ぎる事に気付いた中国映画界が、
ピタッと製作を止めてしまう日が来るのではないでしょうか。
そんな危機感を感じつつ、また新作がリリースされれば観てしまうのですが、、、。
という事で、いつもと同じ、いつもの西遊記となっていますので、ここまできたら西遊記鑑賞コンプリートを目指している方などご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
2021年製作 中国製作 武侠ファンタジー
監督 チェン・ファンシアン
出演 ハン・ティンチェン、シャオ・ユン、ヤン・イー、チャオ・シャオクン
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