おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
人気者ベニー・チャンの今度の主演作は、まさかの(王朝の陰謀)!!さらに鼠パニック風味も加えて王朝とは無関係の田舎町の陰謀に立ち向かいます!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、絶え間なく続く、(王朝の陰謀)シリーズのうちの1作です。
それでは、まずはあらすじから、
并州の法曹、ディーは、鼠の大量発生によって町中に広まった黒死病の発生源を探るため、長年地下牢に収監されている囚人と共に鼠を追跡する。
しかし、黒死病の蔓延は早く、それによって町は出入りを禁じられ、逃げ場を失った民衆たちは命がけで脱出を計るのだった。
失われる命と蔓延する黒死病の被害の中、ディーは町で行われてきた、ある陰謀を知ることになる!?
(南拳宗師ライズ・オブ・フィスト)(詳しくはこちら)ではカンフーの達人、
(孫悟空伝)(詳しくはこちら)では悟空のライバルの神兵、
(ザ・デーモンハンター)(詳しくはこちら)では道教の神様、
(レジェンド・オブ・ゴッド)(詳しくはこちら)では神様、
と様々なキャラクターを演じてきた人気者、ベニー・チャン主演最新リリース作(製作年度はカンフーの達人役と神兵役よりも古いので最新作ではありません)です。
今回はまさかの(王朝の陰謀)シリーズに参戦、ということで相変わらず毎回演じるキャストが変わる自由な作品の主役ディー・レンジェを演じています。
ただ、おそらく、本作は(王朝の陰謀)シリーズのエピソード1的な物語を意識しているようで、いつものように都で武則天から難事件解決の指令を受けて捜査に当たる、
という流れではなく、田舎町の政府の役人として勤務し、難事件を解決する、という物語になっていて、本作の事件解決の功績が認められたことで、
長安に転勤していく、という他の作品で描かれる世界観に繋がる展開になっていきます。
要するに田舎町の物語なので完全に(王朝の陰謀)、では無くなってしまっているのですが、そこは(ライズ・オブ・シードラゴン)以外は(王朝の陰謀)という邦題を引きずってしまっている邦題の宿命、という感じでしょうか。
ただ、(王朝の陰謀)ではないのに(王朝の陰謀)と付いている邦題はありがちなので良いのですが、サブタイトルで本筋に大いに関係するネタバレを堂々としてしまっているのは、
流石に作品の楽しみを削いでしまっているので、頂けないのではないでしょうか。
明かして良いのは黒死病と鼠パニック、ウィルスパニックまでで、その要素で興味を引くようなサブタイトルは十分付けれたのではないでしょうか。
という事でエピソード1的な物語ではありますが、それぞれに特につながりのないシリーズですので、お馴染みのキャラクターとの出会い、とか、
あの設定の始まりは実は、、、のようなお楽しみは特にないので、エピソード1展開は特に物語には活かされません。
という事で、エピソード1設定は置いておいて、普通に田舎町を舞台にした判事ディー(判事ではまだないような気もしますが)の今回の捜査は、まさかの鼠パニックもの、という事で、疫病を有した鼠が大量に発生し、
それが原因で黒死病が蔓延していく、という(王朝の陰謀)+鼠パニック+ウィルスパニック+べにー=薄めの火曜サスペンス劇場、という感じの作品になっています。
色々と内容を盛り込んでいますが、予算の都合かべにーの都合か、かなりこじんまりとした雰囲気で、
セットのメイン通りを神妙な面持ちで行ったり来たりしながら、たまに揉める、という感じの箱庭サスペンスという感じでしょうか。
さらに後半には一応の事件の黒幕なども判明したりしますが、なんとも後味の悪い展開ですので、暗い物語が、さらにどんよりとした雰囲気になってしまいます。
後半で、地下迷宮のような牢獄が舞台となり、鼠の発生源を探る、というツイ・ハーク版の(王朝の陰謀)シリーズのような冒険アドベンチャーっぽい展開になりますが、
割とあっさりと外に出てしまいますので、盛り上がりそうで、盛り上がらないという状態がずっと続きます。
ただ、そんな本作ですが、べにー以外にも意外としっかりとしたキャストが登場します。
まずはヒロイン役で(ムーラン最後の戦い)(詳しくはこちら)で主役のムーラン役を演じていたチャン・トンが出演しています。
絵にかいたようなヒロインキャラですが、黒死病の治療薬を開発しようとする医師の娘としてムーランほどではないですが、強い意思を感じさせるキャラクターを好演しています。
そして、べにーに続いて香港からの参加で、90年代から(ファイトバックスクール)や、(食神)等のチャウ・シンチー作品、
近年でも(カンフーリーグ)(詳しくはこちら)や、アーロン・クォック版の(西遊記女人国の戦い)等、
ずっと一線で活躍し続けている香港映画界を代表する名コメディエンヌ、キングダム・ユン(キン・タン・イェン)が黒死病の治療薬開発に奔走する女医役で登場し、
物語の世界観を深めています。
いつもは、あっという間のゲスト出演的な登場も多かったのですが、本作では宣伝ポスターにもしっかりと描かれるぐらいに物語上必要不可欠なキャラクターと大活躍ですので、
今後の大活躍にも期待したいですね。
ただ、まじめな役柄なので、かつてのような元気なお姉さん的な雰囲気はほとんど感じられないのがちょっと残念ですが、、。
というように、キャスト面は豪華な本作ですが、勿論、べにーが主演ですので、アクションとしての見せ場はほとんどなく、
多少いざこざがありますが、ばたばたしているうちにあっという間に終わってしまいます。
中国版シャーロックホームズと言われるぐらいの作品なので、ミステリーに寄るというのは分かりますが、
本作の場合、鼠パニックとウィルスパニックを加えてしまった事で、ミステリーを深めていく余地も無くなってしまっていますので、
結局、全ての要素を描き切る事なく、根本的な問題は解決せずになんとなく終わる、というかなんとなく解決できた事になっている、
という消化不良感の残る作品となっています。
豪華なキャストもそれぞれの持ち味がしっかりと出ているような気もしませんでしたので、このキャストが揃うなら、
もう少し抑揚のある物語展開が見てみたかったところです。
という事で、いつもの(王朝の陰謀)シリーズにアニマルパニック要素を加えたちょっとした変化球の作品となっていますので、
武侠作品好きの方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、本作のべにーは、ほとんどのシーンで同じパターンの表情ですね、、、。
あと、衣装がやっぱり過去作となんとなく共通点がありますね、、どうでも良い事ですが、、白好きかな?
作品情報
2020年製作 中国製作 武侠サスペンス
監督・脚本 ズー・ジアン
出演 ベニー・チャン、チャン・トン、ユエ・チョンダン、ジャン・フー、ゴン・シャオジュン
その他の王朝の陰謀シリーズ
突如現れたドラゴンの正体を探る(王朝の陰謀 判事ディーと天空のドラゴン)はこちら
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