【中国映画】孫悟空VS猪八戒 (大天蓬THE PIG KING)101分

投稿者: | 2021年9月14日

お薦め度 ★★★★★☆☆☆☆☆

孫悟空が主役ではなく、ライバルキャラクターとして登場する、切なすぎる猪八戒の誕生秘話を描いた西遊記の外伝的ファンタジーアクション!!

作品紹介

2021年3月19日公開

今回ご紹介するのは、西遊記に登場するキャラクター猪八戒を主人公にした外伝的作品です。

それでは、まずはあらすじから、

天界の暴れん坊孫悟空を制するために名乗りを上げた天蓬(後の猪八戒)は、激闘の末、一時は退けるが、決着を着けるために人間界にまで追っていく。

そこで、妖怪ハンターの女性と知り合い、孫悟空が潜んでいると言われる五指山を目指すが、予想外の敵の猛攻撃を受けるのだった!?

やたらとイケメン時代の天蓬(後の猪八戒)役のイン・ハオミン
本作の孫悟空は完全にマスクマン
妖怪ハンターにはまるでみえないヒロインのワン・イージャー

やたらと連発される西遊記ものの、まさかの猪八戒を主人公にした外伝的な物語です。

ですので、本作に登場する孫悟空は、あくまでライバル的な存在ですので、脇役として登場します。

なかなかの意外な設定ですが、本作はその意外な猪八戒物語の中でも、豚の妖怪の姿になる前の、天界の仙神の一人天蓬元帥時代をメインにして描かれた物語となっています。

ですので、本作の大半は、イケメンの仙神が主人公で、どのような経緯を経て豚の妖怪の姿になって三蔵法師の弟子になったか、という事が描かれる、

いわば猪八戒物語エピソード0,といった感じの作品となっています。

で、内容ですが、基本的にはコメディチックな軽妙なやり取りのある武侠ファンタジーとなっています。

天界で暴れまくっている孫悟空を捉えるために名乗りを上げたイケメン天蓬元帥が、激闘を繰り広げ、決着を着けるために舞台を人間界に映し、悟空が潜んでいるとされる五指山を目指します。

近年の西遊記ものに頻繁に登場する蜘蛛の妖怪も登場!

で、人間界に降りて、五指山の場所が分からないので、砂漠で出会った妖怪ハンターの女性、宝児に道案内を頼みます。

天蓬に惹かれてしまった宝児は、五指山の場所も分からないのに、一緒にいたい一心で嘘をつきながら旅を共にします。

旅を続けるうちに宝児天蓬への想いはつのり、モーレツにアタックを繰り返します。

『人を好きになるってどういうことか分かる?』

『それは、その人が貧しいときも、病めるときも、苦しいときも、ずっと一緒にいたいって思う事なのよ』

『ずっとこの人を守りたい、と思う気持ちの事よ』

でも、五指山への道を知っていると嘘をつかれていた天蓬はキレて、言います。

『はっきり言うと君に親切にしていたのは、五指山への行き道を知りたかったからで、愛ではない。』

『私が愛するのは仙女だけで、君のような人間を愛する事はない。』

『君のような者を愛するのは豚ぐらいのものだ!』

結構酷い事言ってますが、豚、という重要なワードも入る意味のあるシーンです。

妖怪ハンター宝児とその仲間たち

で、なんだかんだと妖怪退治をしながら、結局五指山に到着、孫悟空とのバトル開始となりますが、天界で一戦交えた時は、互角の実力だったものの、

人間界での二戦目は何故か惨敗、結果、天界から追われて、人間の姿に変えられてしまいます。

バトル2戦目は惨敗

で、人間の、しかも世捨て人にまで身を落とした天蓬は、落ちている肉まんを口にするような日々を送っていますが、

そんな状態のある日に、ある妖怪ハンターが五指山に住む妖怪を捉えるために2年間戦い続けている、という噂を耳にします。

で、まさかと思った天蓬が、五指山に向かうと、、、

というのが中盤までの流れとなっています。

ここまでの展開では、イケメン青年として冷静な天蓬と無邪気なぶりっ子ヒロイン宝児の対比とそれに振り回される宝児の仲間たちのスッコケ珍道中、

といった感じで、ドタバタギャグと安めのVFXにいつものようにまるで強そうに見えないアクションが、ちょくちょく挿入されるという展開がメインとなっています。

前半はヒロインのぶりっ子コメディ
CGも割と安めです。龍の前に立っている、というより龍のの前に立っているようにしか見えません、、。

前半は、そのほとんどが宝児のぶりっ子演技に依存するような流れで、正直そのあまりの個性に、

自分が今観ている作品が何の作品かも忘れてしまいそうになるぐらいにヒロインコメディ展開の一点張りとなります。

で、中盤、天蓬がいよいよ人間になってしまい、かつての力も無くなってしまった状態から物語は急展開していきます。

以前に悟空と戦った時は互角の腕前だったのに、何故二回戦はボロ負けしてしまったのか?

2戦目の敗因は、、

答えは割と簡単でしたが、一回戦目で使用していた神器を二回戦では使用していなかったからだ、という事実に行き当たります。

でも、その神器は一回戦の戦闘中に地上のどこかに落としてしまって、今は手元にない、という事になります。

では、その神器は今どこに、、、?

という事で、自身が仙神の身分に戻るには、悟空を倒さないといけない。そして、悟空を倒すには、その神器を探し出さなければいけない、という流れになります。

しかし、ここからが、本作の見せ場で、ここから先、意外な事実と予想外に切なすぎる号泣展開へとなだれ込みます。

天蓬元帥登場!でも神器を無くしてしまって思うように力が発揮できない

※ここからは、物語展開の重要な秘密に触れていますので、鑑賞を楽しみにされている方は注意してください※

天上界の1日は、地上の1年にあたる、という事で、天蓬自身は天界で20日前に孫悟空との戦いを繰り広げ、その戦闘時に神器を人間界に落としてしまっているので、

その神器が人間界に落ちてきたのは20年前の出来事という事になります。

で、その神器は、悟空を倒すほど大変な仙力を持っているため、人間界に落ちれば、それだけで生命を持って何か妖怪に姿を変えているかもしれない、という事が分かります。

自由気ままな悟空

これは、さらなるバトルを予感させる展開です。

天界に戻るために必要な悟空の退治、に必要な神器、を得るために姿を変えている妖怪と戦わなければならない、というRPGのような展開になっていきます。

で、情報によると、20年前に上空から何かが落ちてきた村がある、という事でその村に向かいますが、その村がまさかの偶然で宝児の故郷、という事で故郷に帰郷します。

その小さな村では、宝児は皆に愛されて育ったようで、道行く人皆が笑顔で挨拶してくれます。

宝児の仲間たちもその村出身ですので、村人皆が家族のようです。

で、村長に一番の目的である20年前の出来事を訪ねますが、やたらと話を逸らされます。

しまいには嘘までつかれてしまいます。

どうも20年前に、何かが落ちてきたという事実はあるようですけれども、皆その事実に触れたがらない。

怪しいですね。

村人が洗脳されて何か悪だくみでもしているようです。

でも、悪人には見えない、どういう事でしょうか、、。

大変歓迎を受ける一行

※ここから先は、本当に物語の核心に触れてしまっていますのでご注意下さい※

嘘の情報を信じて宝児は洞窟に向かっているので、留守の間に天蓬が村長に尋ねます。

この村に神器が落ちてきた事実は分かっているのに、何故嘘をつくのか?

言い寄られた村長は、ついにその重い口を開きます。

村長曰く、

この村に20年前に光に包まれた何かが落ちてきたのは事実。

もしかしたらそれが神器だったのかもしれない。

でも私たち村人がその場で見たものは、、、

光に包まれた大変可愛い赤ちゃんだった。

我々にとっては、それは希望の光で、その子を宝児と名付け、村で大切に育てようと決めたのだ。

あの娘を危険に晒す事を避けるためにその事実は伏せていたのだ。

『人を好きになるってどういうことか分かる?』

『それは、その人が貧しいときも、病めるときも、苦しいときも、ずっと一緒にいたいって思う事なのよ』

『ずっとこの人を守りたい、と思う気持ちの事よ』

この時、悟空との争いを利用して、実は陰で天蓬追放を目論んでいた天界の邪悪な神将が、この騒動を利用して天蓬打倒にやってきます。

しかし、今の天蓬には撃退する力はありません。

もし、全ての仙力が戻ってくるような強大な力を持った神器があれば別ですが、、。

しかし、神器が本来の姿に戻れば、もう他の姿に変えることはできません。

愛する人も失ってしまう、でもこのままでは天蓬は邪悪神将に殺されてしまう、、。

そこで、宝児の身体が光に包まれます、、。

と同時に天蓬の悲しみは頂点に達し、地獄のような絶叫と共に、その整った容姿は、変形し、豚の妖怪のような姿に変わってしまいます。

『私が愛するのは仙女だけで君のような人間を愛する事はない。』

『君のような者を愛するのは豚ぐらいのものだ!』

かつての力を取り戻した天蓬元帥に並みの神将がかなうはずもなく、物凄い仙力で撃破します。

ですが、とどめをさす直前、菩薩様が現れ、殺傷してはいけない、天界に留まりたければ、大罪を犯した者でも許す心が必要だと言われます。

果たして天蓬は、その愛するものを奪った神将を許して天界に留まるのか?それとも、、、

妖怪のように姿が変わってしまった天蓬元帥

場面は変わって、数年後、もしくは数十年後、とある村で、その村を妖怪などの外敵から守ってくれている豚の姿をした妖怪がいました。

そこへある日、一人のお坊さんと猿の姿をした弟子の妖怪が現れました。

豚の妖怪にとっては、ずっと待っていたその日が訪れました。

『菩薩様より、いつか、あなた様が、私の元に現れたら、一緒にお供するように仰せつかっています』

『一緒にお供する事を、お許し下さい』

お坊さんは言います。

『分かりました。そなたを私の弟子として迎え入れましょう』

『そなたは、本日より私の弟子、猪八戒と名乗りなさい』

そして、三蔵法師一行に猪八戒が加わり天竺を目指した旅が始まります

その腕に光り輝く神器を携えて、、。

という事で、前半のぶりっ子コメディ展開で、少々疲れてしまいますが、後半の物語展開は、エピソード0的な物語の中では非常に良くできた物語となっています。

最近の中国武侠作品の中で、この前半脱力系、後半号泣という流れの作品が多く、他の作品では(ナイト・オブ・シャドー魔法拳)(詳しくはこちら)や、(チャイニーズゴーストストーリー千年魔界大戦)(詳しくはこちら)など、

気を抜いて鑑賞していたら後半思いの他、涙腺が緩んでいたという事も少なくありません。

個人的には、だったら前半からそういうつもりで鑑賞したいですし、せっかく後半感情が高まるのに、前半のやっつけ的な展開が勿体ないとも思えてしまうのですが、

どうも、そういう流行がありそうなのでしょうがないですね。

という事で、前半と後半で別の作品のようになってしまう作品ですが、有名な物語の外伝、しかも外伝のエピソード0的な変化球ですが、

物語自体は感情移入のできるしっかりした内容になっていますので、西遊記ものに少し飽きてしまった方でも楽しめる作品となっています。

機会がありましたら是非ご鑑賞ください。

作品情報

2020年製作 中国製作 ファンタジーアクション

監督 ダイ・イーリン アクション監督 チャン・ボー

出演 イン・ハオミン、チャン・ユィシェン、ワン・イージャー

旅のヒントをくれるのも妖怪
龍とのバトルは、ちょっとCGがバレバレ過ぎですね、、。

その他の武侠ファンタジー作品

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