おすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆
中国で有名な民話(白蛇伝)を最新のCGと武術アクションでしっかりと描いた切ない良い余韻の残る武侠ファンタジー!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、今まで何度も語り継がれてきた中国の有名な民話(白蛇伝)の再映画化作品です。
それでは、まずはあらすじから、
霊蛇山に棲む白蛇は、900年の修行を積み人間の姿を手に入れ、さらに神仙になるために人間界へと降りてくる。
そこで白蛇は書生の青年、許先と出会い、ふたりは瞬く間に恋に落ちる。
しかし、街では妖蛇による殺人事件が起き、容疑は白蛇にも向けられ、捕妖司たちに追われる身となってしまう。
中国に古くから伝わる民話である(白蛇伝)の映像化作品です。
物語自体は妖力を持った蛇の妖怪がその色香で人間の男性を誑かして襲い掛かる、という怪談めいた物語が始まりですが、
時が経つにつれて、その時代に合った物語へと変貌していき、いつのまにか蛇の化身の妖怪が人間の男性と恋に落ちる悲恋話へと変わっていったようです。
日本では東宝初の総天然色の特撮映画として香港のショウブラザーズ社と共同で製作された(白夫人の妖恋)と、
邦画アニメ映画として初の総天然色映画(白蛇伝)が、大ヒットしていますので、そちらによって(白蛇伝)=蛇の化身と人間の男性の悲恋話、
というイメージが定着しているのではないでしょうか。
その後は、(五福星)のハンサム役、チャールズ・チンと(ポリスストーリー)のブリジット・リン共演の(新白蛇伝)や、
ジェット・リー主演、(レジェンド・オブ・ホワイトウィッチ)(詳しくはこちら)のクリスタル・ホワン共演の(白蛇伝説)、
脇役として登場する青蛇を主人公にしたツイ・ハーク監督、ジョイ・ウォン主演の(青蛇転生)、
近年中国とアメリカで共同制作され、日本でも劇場公開された長編アニメ(白蛇:縁起)等、
長い間親しまれている物語となっています。
その物語を現代のVFXと武侠アクションで蘇らせたのが本作となります。
ストーリー的には今まで語られてきたように(チャイニーズゴーストストーリー)とほぼ同じような展開の物語ですが、
本作は最近連発される、イケメン俳優とぶりっ子ヒロインがワイヤーで操られながらくるくる回っている作品とは趣の違った作品となっています。
大きな違いは、やはりアクションです。
開幕早々に展開される百足妖怪との超絶バトルで、いきなり心を鷲掴みされてしまいます。
カット割りが速すぎて目が追いつかないぐらいの高速バトル(他作品で頻繁に見かけるようにカット割りで誤魔化しているわけではありません)と、
そこで登場する捕妖司(妖怪ハンター、道士のような人たち)たちと百足妖怪のあまりに個性的な面々の魅力によって作品世界に一挙に引き込まれていきます。
ただ、少し残念なのは、この個性的な面々はあくまでゲスト出演で、以降本題に入ってからは一切登場しないのが非常に悔やまれます。
もっとこの登場人物たちの活躍が観たかったですね、、。
その導入から捕妖司と妖怪たちの物語に本格的に入っていくのですが、世界観はばっちりで、秀作リメイク(チャイニーズゴーストストーリー)(詳しくはこちら)や、
こちらも秀作リメイク(バトル・オブ・ダンジア魔獣大戦)(詳しくはこちら)のように世界観がしっかり作られながらも、
アクションもVFXも物語展開もしっかり引き込まれるように製作されている秀作となっています。
物語に登場するキャラクターも、(チャイニーズゴーストストーリー)を強く意識しているのか、そちらに登場したイン道士のような非常に妖力が強く、
妖怪を憎んでいるけれども人情(妖情?)に熱い師匠捕妖司も登場し、
主人公も書生で武術はできないけれども、人一倍優しいというキャラクターも(チャイニーズゴーストストーリー)でレスリー・チャンが演じた二ン・ツァイサンを彷彿とさせますし、
白蛇のキャラクターもジョイ・ウォンが演じたスー・シンに強く影響を受けているように見受けられます。
女性側の白蛇が基本的に強い役柄なので、ひ弱な存在である男性側が、まさかのぶりっ子男子というキャラクター付けが、
本当に必要かどうかはさておき、後半はこの二人の悲恋物語は非常に切なく盛り上がりを見せていきます。
とってつけたような男女のお涙頂戴シーンを無理矢理入れてくる最近の中国武侠作品とは違い、凄く自然に切ない感情が沸き起こるしっかりとした演出となっています。
悲恋物語で有名な作品ですので、本作でも切ない終わり方にはなるのですが、あからさまなお涙頂戴な展開ではなく、
明るい希望を残した良い余韻の残るラストとなっています。
しっかりとした世界観のある作品のラストシーンとしては理想的な終わり方となっています、、、
が、、、、
一つだけどうしても受け入れがたい、非常に残念な部分がありました。
これは、最近の中国作品に時々あることなのですが、散々頑張って作品世界を作り上げて良い余韻で終幕を迎えた作品の、
最後のスタッフロールで、メイキング映像が流れてしまう、という事です。
ついさっきまで、作品世界に合った衣装を着て悲恋話を演じていたキャストが、物凄く現代の衣装(撮影中なのでジャージとかTシャツ)を着て、
楽しそうにおどけながら撮影している映像を見てしまうと、余韻も何も全て吹き飛んでしまいます。
そういう映像はDVDの特典映像とか、他の方法で見せてもらいたいところです。
アクションコメディジャンルがメインのジャッキー・チェン作品のような楽しい作品でしたら、付加価値として楽しめますが、
本作のような世界観を大事にする悲恋話(しかも武侠作品のような時代もの)でそれをやってしまうと、
本編の良い雰囲気を台無しにしてしまうと思うのですが、どうでしょうか。
という事で、エンドロールはさておき、本編は良い世界観のしっかりした作品になっていますので、武侠作品好きの方や、香港映画好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
ただ、武術シーン的には、正直オープニングがMAXだったような、、、。
作品情報
2021年製作 中国製作 武侠ファンタジー
監督・脚本 リウ・チュン
出演 フー・ホア、ウェン・イーファン、ユー・リー、ダニン・ウー
その他の中国武侠ファンタジー作品
ツイ・ハーク監督の名作アクションを最新の技術とリスペクトでリメイクした秀作ファンタジー(バトル・オブ・ダンジア魔獣大戦)はこちら
↓ランキングに参加しています。宜しければ下記をクリックお願い致します↓