【中国映画】刺客(青面修羅SONG OF THE ASSASSINS)118分

投稿者: | 2023年1月15日

おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆

人気小説を(三国志)のダニエル・リー監督が映像化した香港スタッフ・キャスト多数参加の期待作ならがも、娯楽度が高くテンポの良いアクションと、ゆっくり過ぎるドラマ(会話中心)がかみ合わない、激走と停滞を繰り返す武侠VFXアクション作!!

作品紹介

2022年11月11日公開

今回ご紹介するのは、人気小説をダニエル・リーが映像化した武侠アクション作品です。

それでは、まずはあらすじから、

暗殺を請け負う集団、離恨谷に所属する刺客(青の修羅)ユアンは、覇権を握ることができる宝のありかが記された地図の覇権争いで殺された一族の復讐を果たすため、

谷の掟を破ってしまった事で、逆に谷の刺客に狙われる立場となってしまうが、それは谷全体を巻き込む大きな陰謀の発端だった!?

アンディ・ラウ主演版の(三国志)や、ドニー・イェン主演の(処刑剣)、ジャッキー・チェン主演(ドラゴンブレイド)、

ジェット・リー主演の(ブラックマスク黒侠)、レオン・ライ主演の(項羽と劉邦)と

ビッグスターの時代物や現代物アクションを多数監督してきた香港出身監督ダニエル・リーが監督した武侠アクション作品です。

中国で人気の小説(刺局)の映像化で、原作は全6巻出版されていて、日本翻訳版は出版されていません。

ですので、大筋を凝縮しているのか、一部分にスポットを当てて描いているのかは、確認できませんが、

本編中に主人公達の親世代の過去の回想シーン等が多数登場しますので、恐らく、数十年間に渡る大きな流れの物語を、重要な登場人物に的を絞って凝縮していったのではないでしょうか。

映画本編中、親世代の詳細は人気の小説で説明されているので割愛します、的な演出が数度登場しますので、小説未読で鑑賞すると、なんとなく説明不足感の残る作品となっています。

とは言え、説明不足感は、近年の中国作品ではほとんどの作品で共通していますが、、、。

で、そんな人気小説の原作の映像化である本作の物語は、恐らく結構な部分を端折っているようで、

多くのキャラクターが、原作で既にお馴染み、的に人となりを説明せずに本題に入っていきますので、なかなか物語に張り込むまでに時間がかかり、

結局は宝の地図の争奪戦、という極めて娯楽要素の強い、分かり易そうな物語を、わざわざ気難しい歴史ドラマのような回りくどい表現でゆっくりゆっくりと描いていきます。

このドラマとアクションが絶妙にアンバランスで、アクションシーンは、アクション系の登場人物が新しく出てくるたびに、

まるで仮面ライダーや戦隊ヒーローものようにイメージ映像を交えた幼少世代が喜びそうな紹介映像が流れ、

さらに登場する各キャラクターも、VFX表現をフルに使った変形必殺武器を持っていて、

その武器をカッコ良く(幼稚に、とも言えそうですが、、)使用する映像が流れ、武術アクションとCG映像を交えたアクションシーンが描かれる、

という他の武侠作品とは一線を画するような表現が採用されています。

恐らく、この表現が一番賛否の湧かれる部分ではないでしょうか。

カッコ良いと言えば、カッコ良いですが、世代を跨いだ復讐物語という暗い世界観で描かれる登場人物としては、あまりに突飛な設定とも言えそうです。

主人公の必殺アーム
装着すると、CGで武器が作動している内部が描かれます『カチン!カチャン!ウィィィィン!』
ビシッ!(背景はイメージ映像)
こんなのも出ます

それに対してドラマシーンは、基本的には会話中心で、ずっと話すだけのシーンの切り替わりに相手を見つめて目線をずらす、

とか、そらしていた目線をゆっくり相手に合わせ、合わせられた相手も、ゆっくり目線を合わせて、お互いしばらく目線を合わせてから、また話し始める、

という、あまりに独特のゆっくりしたテンポの会話と、会話のない目線と表情、雰囲気だけのシーンが繰り返されます。

ジッと溜めて、相手を見る、、、だけのシーンが多すぎる!

この特撮ヒーローのようなアップテンポのアクションと眠りに入る直前のようなまったり感の漂うドラマの温度差が激しく、

しかも118分と中国作品にしては意外に長尺で繰り返されるために、数回目のアクションシーンが終了した後の休憩シーン 会話ドラマシーンぐらいで、急激な睡魔に襲われる人も多いのではないでしょうか。

物語を散々端折るぐらいなら、多数存在するゆっくりゆっくり溜めて、表情と目線をキメる、というだけのシーンをもっと減らしてもよさそうですが、、、。

少なくとも20分ぐらいは上映時間が短縮できそうです。

特に主人公とヒロインが出会うシーンにその溜めとキメ演出が顕著で、長い時間をかけた割には、結局雰囲気だけで終わってしまいます。

主人公『あれ?楽器の音色が聞こえる、、、』(という雰囲気、台詞無し)
音色を奏でるヒロイン(台詞無し)
ヒロインをずっと見つめる主人公(台詞無し)
音色を奏でるヒロイン(台詞無し)
若干憂いを帯びた表情で、ヒロインを見る主人公(台詞無し)
憂いを帯びながら、少し体制を変える主人公(台詞無し)
ちょっと飽きてきたのか、立ち去ろうとする主人公(台詞無し)
ヒロイン『この雪は、、、、』(少しずつ目線を合わせて)
ヒロイン『止むのかしら』(目線、合いました)
(台詞無し、目線を合わせ始めますので暫くお待ちください)
ビシ!(目線が合いました)
立ち上がり始め、その位置で目線を合わせ始めるヒロイン(暫く待ちください)
ビシ!(目線が合いました)
溜め中(台詞無し、もうすぐ話します)
主人公『どこかで、、、会った?』
ヒロイン『、、、、、』
質問の返答に困る主人公(台詞無し)
周りの人の『龍の舞が始まるぞっ!』という声が聞こえます
目線をそらすヒロイン(台詞無し)
龍の舞に少し気を取られる主人公
でも、やっぱりミステリアスなヒロインの事も気がかりな主人公(台詞無し)
もう一度、振り返る主人公(台詞無し)
もう、いません。
主人公『、、、、、』

いや、長い!!!

溜めが!!!

一応、この出会いのシーンは、後ほどもう一度回想シーンでサラッと登場しますが、それにしても雰囲気重視過ぎて、

会話と目線と表情のシーンになる度に、感情移入度合いがどんどんと下がっていってしまいます。

一応、後半では原作ものらしく、ドラマチックなどんでん返しもありますが、正直、そんなドラマよりももっとアクションを見せて欲しいという思いの方が強くなってしまいます。

香港出身で、娯楽要素の強い歴史アクションを多数製作しているダニエル・リーでも今の中国で映画を製作すると、こうなってしまうのか、という感じですが、

本作にはスタッフだけではなく、出演者にも香港出身のキャストが結構参加しています。

まずは目線と表情をキメまくる主人公をツイ・ハーク版の(王朝の陰謀)シリーズ(ライズ・オブ・シードラゴン)や(王朝の陰謀闇の四天王と黄金のドラゴン)、

そしてダニエル・リー監督の(ドラゴンブレイド)や、(西遊記)シリーズ等に出演しているウィリアム・フォンが主演を演じ、

アイドル映画ばりに色んな角度からキメ表情を披露しています。

ウィリアム・フォン
ウィリアム・フォン

そして、同じ門派のライバル剣士役には、(中華道士)(詳しくはこちら)等のカンフースター、チョイ・シウキョン

チョイ・シウキョン
少しですが、アクションあります

高官の一人に(リプレイスメントキラー)や(ポリスストーリー3)、(男たちの挽歌)等のケネス・ツァン

ケネス・ツァン

同じく高官の一人に(導火線フラッシュポイント)等のレイ・ロイ

レイ・ロイ

さらに同じく高官の一人に(新宿インシデント)や(プロジェクトグーテンブルク)(詳しくはこちら)等のガオ・ジエ

ガオ・シエ

そして、出番は少な目ながらもしっかりとしたアクションシーンを演じている(妖怪道士)(詳しくはこちら)等のユエン・チュンヤン

ユエン・チュンヤン
少しですが、アクションあります

という感じで、香港映画の一時代を築いてきた伝説の香港レジェンドが多数参加している作品となっています。

そこへ、ラスボス役で、(レッドクリフ)シリーズや(孫文の義士団)等で香港映画でも活躍するフー・ジュンが参加し、

ヒロイン役で、(萌妃の寵愛絵巻)や、ホラー作品(闺蜜心窍)等が人気のジン・チェンが影のあるヒロインを好演し、物語に彩りを加えています。

ジン・チェン
闺蜜心窍

という感じで、香港映画のスタッフ・キャストが大勢参加した香港映画に最も近い中国映画となっていて、

少々アクションとドラマのテンポの違いが過ぎますが、アクションシーンは十分楽しめる要素が多い作品ですので、

香港映画好き、武侠映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

因みに、映画紹介・レビューサイトにて本作のヒロインが、「グレートウォール」のジン・ティエン(景甜)と写真付きで紹介されていますが、

それは誤りで、正しくはジン・チェン(金晨)です。

全くの別人です、、、、。

ジン・チェン
ジン・ティエン「グレートウォールより」

作品情報

2022年製作 中国製作 武侠アクション

監督 ダニエル・リー

出演 ウィリアム・フォン、フー・ジュン、ジン・チェン、ワン・チンシャン、ケネス・ツァン、ユエン・チュンヤン、チョイ・シウキョン

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