おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
ジェット・リー、チウ・マンチェク、エディ・ポンと早々たる面々が演じてきた実在の英雄物語を、年齢をぐっと引き下げて学園ドラマに置き換える、というドラマ寄りのアクション少な目の時代もの作品!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ)シリーズの番外編的な作品です。
それでは、まずはあらすじから、
あまりの喧嘩や揉め事の多さに、息子の将来を悲嘆した父ウォン・ケイインによって強制的に英語を学ぶ学園に入学させられたウォン・フェイホンは、
成績優秀者は広州で開かれる試験を受けに行く事ができる、という条件の下に、必死で勉学に励むことになる。
しかし、広州には、西洋排除を企む朝廷保守派の陰謀があることを知る事になるのだった!?
(ワンス・アポン・ア・タイム・イン・チャイナ)シリーズのヤング編ともいうべき、年齢層を下げたアクションドラマです。
ヤングウォン・フェイホン物語 学園篇、という感じでしょうか。
それ自体は良いと思うのですが、そこにツイ・ハーク版以降の人物設定や名場面を無理矢理落とし込んでいるので、
学生でありながら一番弟子のリャン・クワンは既に存在して身の回りの世話をしていますし、
恋人となる十三妹との出会いも本作で既に描かれてしまいます。
ですので、かなり未熟者(正義感だけは強い)として描かれているのに、ジェット・リー以降の風格の備わった人物設定だけは継承しているので、
偉そうにしているだけのただの未熟者、と映ってしまいます。
にも関わらず、英雄的な流れで物語自体は進んでしまいますので、色んな失敗から様々な事柄を学んで経験し、立派な人物として成長していく、という姿は描かれません。
ヤング編や、学園篇というのも新しい試みで面白い設定ですが、既に弟子を取って他人を指導しているような人物を主人公にした学園もので、
そうそう人間的な成長を描けるはずもありませんので、そういう事なら、リャン・クワンとの出会いも含めて、一から学園ものとして描いた方が良いと思われますが、
おそらく人気作品のあやかりから企画がスタートしている作品かとは思われますので、
人気の要となる同じような設定は残しつつ、出演者のみ若年層に人気のキャストに挿げ替えてみたら、結果的に本作のような風変わりな学園ものになった、という事なのではないでしょうか。
そんな主人公であるヤングウォン・フェイホンを演じるのは、ドラマや映画作品で人気急上昇中のウー・ジア、
そしてヒロインであり、後の作品では恋人関係に発展していく十三を演じるのは、こちらもドラマや映画作品で活躍の場を広げているヤン・シャオミ、
出演作の(巨兽来袭2)は現在で3作目まで製作され、日本でも同ジャンルのシリーズは人気ですので、今後の日本でのリリースも期待できそうです。
で、ライバル道場の姑息な師範代役で、脇役として引っ張りだこ、というより出演していない作品の方が少ないのでは?とも思えるフー・トンフェン、
と若年層を意識した新世代のウォン・フェイホン作品となっています。
実際の内容ですが、ヤング、ウォン・フェイホン物語ですので、まだまだ未熟なウォン・フェイホンは、父親のウオン・ケイインにどやしつけられる毎日で、
あまりの揉め事の多さに、勉学を学ぶことを約束させられ、強制的に学校に入学させられてしまいます。
で、この学校が英語を中心に教えている学校のようで、いつもの(ワンチャイ)シリーズのように、へたくそ過ぎる英語を不器用に学んでいきます。
この学校で出会うのがヒロインの十三で、ほかにもいじめっ子グループや、いじめられっ子、厳しい先生と、学園ものの一通りのキャラクターが登場します。
で、その学園内に潜んでいる西洋排除を企む朝廷保守派の陰謀に巻き込まれていく、という流れになっていきます。
とはいえ、基本は英語の試験で5位以内に入れば、広州で行われる選抜試験を受ける権利が得られる、という学園奮闘記がメインとなっていて、
そこに陰謀エピソードといじめられっ子をやっつける喧嘩アクションが挿入される、という感じですので、
基本はアクションよりも学園ドラマ重視となっています。
ですので、はっきり言って、ウォン・フェイホン映画を観ている、という感覚はほとんど感じられません。
未熟だけならまだしも、試験で上位に選ばれたいがために、夜中に学校に忍び込んで問題用紙を盗む、という愚行に走る主人公に、
ウォン・フェイホンらしさを感じることはできません。
ですので、カンフー映画でもなく、ウォン・フェイホン映画でもなく、結局残るのは時代学園ドラマ、という感じでしょうか。
一応、カンフーアクションシーンもありますが、いつもの吊られワイヤーのくるくるアクション中心ですので、達人感もほぼ感じることはできません。
設定だけを真似ても、何一つオリジナルに通じるところはありませんが、一つだけ、少しだけ通じる(と無理矢理思えなくもない)部分があるのは、
最終的に、試験に合格した十三は海外で英語や文化を学ぶチャンスを得ることができますが、ウォン・フェイホンは中国に残って(宝芝林)を開業します。
いつのまに、医学を学んだんだ?という突っ込みは置いておいて、その開業のタイミングと十三の海外行きが重なるので、
フェイホンに想いを寄せる十三は、海外行きを諦めて、残って(宝芝林)を手伝う、と言い出しますが、フェイホンは、十三の才能を理解していて、将来のために西洋行を進めます。
で、二人は離ればなれになる、という状況で終幕となりますので、そのままの流れで、ツイ・ハーク版の再会シーンへと繋がる、ととらえる事ができるようにもなっています。
年齢が全然合いませんし、設定も全然違うと言えば違うので、別物ではありますが、無理矢理そう解釈できなくもない、という感じでしょうか。
という事で、カンフーシーンも少なく、ウォン・フェイホン感も薄い作品ですが、イケメン主人公が学園で大暴れするドラマ、と考えて鑑賞するとそれなりに楽しめる作品ではありますので、
中国ドラマ好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、ウォン・フェイホンが主人公なら、なんでもかんでも(ワン・チャイ)という邦題は、(沈黙)シリーズに通じる物がありますね、、。
作品情報
2019年製作 中国製作 時代劇アクション
監督 ジャン・ジェ
出演 ウー・イジャ、ヤン・シャオミ、チァン・ジゥオ、チェン・ジージェ
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