【中国映画】レジェンド・オブ・クロー九陰白骨爪(射雕英雄传之九阴白骨爪THE LEGEND OF THE CONDOR HEROES :THE CADAVEROUS CLAWS )101分

おすすめ度　★☆☆☆☆☆☆☆☆☆

金傭の人気小説（射雕英雄伝）に登場するキャラクターにスポットを当てたスピンオフながらも、ほとんど主演のルアン・ジュウのアイドル映画と化す、奔放過ぎる主人公が思いのままに生きた一生を描いた武侠ファンタジー！！

作品紹介

日本劇場未公開

今回ご紹介するのは、金傭原作の人気小説（射鵰英雄伝）の人気キャラクターにスポットを当てたスピンオフ作品です。

それでは、まずはあらすじから、

中国、宗朝の時代、街で悪さを働いていた梅若華は、食べ物を盗もうとして追われているところを武芸の達人黄薬師に拾われ、弟子入りする。

そのまま一門が武芸を学ぶ桃花島で暮らす事になり、修練を積む毎日が続く。

ある日、武芸の秘伝奥義【九陰真経】の存在を知り、どうしてもその奥義を習得したい梅若華だったが、師匠への想いも募るのだった。

金傭兵の人気小説（射鵰英雄伝）の登場人物にスポットを当てた外伝的ストーリーです。

（射鵰英雄伝）と言えば、日本で有名な映画作品では、ウォン・カーワイの（楽園の瑕）や、ついでに製作されたのに大ヒットした（大英雄）等が、

恐らく一番有名で、物語的にも、（射鵰英雄伝）の物語を悪役キャラクター側から描いた物語という事で、

本作との共通項も多く、登場人物も同じキャラクターが登場したりしますので、そちらを鑑賞済みですと寄り本作を楽しめるようになっています。

（大英雄）の方は、完全なコメディなので、ちょっと毛色は変わりますが、、。

今現在では、どちらかというとテレビシリーズの方が有名で、華流ドラマがお好きな方にとっては、割と親しみのある物語となっているのではないでしょうか。

個人的には（射鵰英雄伝）といえば真っ先に思い出すのは、イケメンドラマでも、独自の世界観が濃すぎて、内容が良く分からないウォン・カーワイ作品でも、

その場にいたメンバーで8日間で撮影してしまった（大英雄）でもなく、

ショウブラザース社製作、チャン・チェ監督、アレクサンダー・フーシュン主演の三部作が真っ先に思い浮かぶのですが、

ショウブラザース作品が連続で日本でリリースされた際に、そのタイトルから漏れてしまたのが悔やまれます。

日本語字幕付きでしっかりと鑑賞してみたいものです。

そんな長年に渡って親しまれてきた人気小説の最新版は、意表を突いて悪役の一人のキャラクターにスポットを当てて、

その知られざる裏ストーリーを描いていく、というなかなか興味を惹かれる作品となっています。

本編では情け容赦なく敵の頭蓋骨を砕く鬼女として登場した梅超風の知られざる秘話！という事で、物語は、

梅超風の少女時代から始まります。

登場早々にまさかの宿なし設定が衝撃ですが、荒れた衣装で街で盗みを働いていたところを後の師匠である黄薬師に拾われ、

そのまま弟子に取ることになります。

で、自分たちの流派が根城にしている桃花島に連れ帰り、そこで他の弟子たちをと共に武芸を教える日々が始まります。

ただ、梅超風、武芸の素質があったのか、影の努力かは分かりませんが、やたらと武芸を習得するスピードが速く、

あっという間に兄弟子たちを追い越してしまいます。

時間の経過がほとんど描かれないので、さっきまで道端で暮らしていた人物が、あっという間に武術の名門の一番の使い手と化していきます。

さらに、やたらと貪欲で、兄弟子たちをあっという間に追い抜くだけでは満足できずに、一門の秘儀とされる【九陰真経】なる必殺技を習得したくてしょうがない、

といった感じで常に何かを求める日々が描かれていきます。

そんな奥義習得に挑戦できるレベルまで武芸が上達しているのかも描かれないので良く分かりませんが、表現的には既に達人レベルに強いようです。

この辺は主人公の強さを描く事よりも、周りの弱さをメインで描く、というセガール作品の、、、

で、そんな訓練の日々と並行してイケメン師匠への叶わぬ恋が描かれていきます。

イケメン師匠も、かなり思わせぶりなので、どうしようもないですが、そんな日々を送りながら、梅超風に密かに（というかバレバレ過ぎですが）想いを寄せ、師匠と妹弟子の関係にハラハラしている

兄弟子の姿も同時に描かれていきます。

この辺りまできて、分かりますが、本作は要するに主役を演じる売り出し中の新人ルアン・ジュウを入り出すためのアイドル映画のような意味合いが濃い作品ではないかと思われます。

有名原作に登場するキャラクターを掘り下げるという世界観よりも、売り出し中の新人が、人気のキャラクターを演じているという事の方をメインとして製作されたのではないでしょうか。

それぐらいに主人公が奔放で、全ての世界が主人公を中心に、主人公を引き立たせるために回っているような物語展開となっています。

拾ってもらった恩義を感じることなく、やたらと貪欲に奥義を求め、（何故そんなんなに強さを求めるようになったのか？も描かれません）、

周りの人の気遣いも顧みず、師匠への想いもあからさまにアピールし、自分を想ってくれる兄弟子には、ほとんど無礼な態度で返す、

という展開がずっと続き、しまいにはあまりの奥義欲しさに、兄弟子をそそのかして奥義書を盗み出す、というやりたい放題が続きます。

で、散々やりたい放題やった後には自身の兄弟子は酷い目に合い、自身も視力を失うというような事態になっているのに、

反省や成長といった精神面での変化は一切描かれず、敵の勢力と相対するときには、口調が変化して悪態つきまくりの完全な悪役キャラに様変わりする、

という最初から最後まで、感情移入お断りな主人公となっています。

これが、もっと愛深きゆえに悪の道に落ちてしまった、とか感情移入できる裏のストーリーがあれば、物語にも入っていけるのですが、

愛が深いのではなく、業が深すぎるので、自身を含めた周りの人々が自分のせいで不幸になっているという事に最後まで気づきません。

そういう主人公ですので、主人公に巻き起こる全ての出来事が他人事にしか感じられないのですが、

これがルアン・ジュウのアイドル映画だと考えると、主演のアイドルが奔放に思いのままに活躍する展開も見れてしまうと思いますので、

そういう目線での鑑賞をお勧めします。

そうなってくると冒頭の汚れた格好での登場も、師匠や兄弟子たちが、やたらとチヤホヤしてくれる少女漫画のような展開も、

厳しい訓練をせずにいきなり達人になっていて、周りの人がばったばったと倒れてくれるアクションも全て受け入れられるのではないでしょうか。

ただ、ファンを獲得したいのであれば、もっと演じているキャラクターに愛着も持ってもらえるような役柄を演じた方が良いと思いますが、、。

カンフー映画好きの男性目線で観てしまうと、最後まで鑑賞するのに何らかの攻略法が必要な作品ですが、

普段から恋愛要素メインの華流ドラマ等を鑑賞して、そういったジャンルに慣れ親しんでいる方にとっては、割と普通の世界観として受け入れられる作品なのかもしれません。

個人的には、やたらとタイトルが硬派な感じなので、てっきりレディドラゴンの大バトルが観れる作品だと勝手に勘違いしていましたので、

思っていた内容とはかなり違うと感じてしまいました、、、。

という感じでおそらく、観る人の好みによって結構見方が変わる作品となっていますので、原作好きの方や、華流作品好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。

あと、特に物語と関係ありませんが、飛翔シーンは何故か他の作品よりも高い位置をワイヤーで吊られます。

大型のクレーンを確保できたのでしょうか、、、。

作品情報

2021年製作　中国製作　武侠ファンタジー

監督　フー・ドン

出演　ルアン・ジュウ、イェン・イークワン、ホアン・シーイェン、ハー・チャンシー

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