おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
キン・フー監督(残酷ドラゴン血斗龍門の宿)の数度目に渡るリメイク作は、宿の雰囲気は意外に再現できているこれどもやっぱりアクションは薄味な武侠作品!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、もう何度リメイクされたかも分からないぐらいにリメイクされている巨匠キン・フー監督作(龍門客楼)の再映像化作品です。
それでは、まずはあらすじから、
砂漠を彷徨うヘイアンは、ある日盗賊団である羅刹門と出会ってしまい、仲間を人質に取られ、砂漠で暮らす民の憧れの地、龍門鎮の入り口を探し、
龍門鎮乗っ取りのために協力を強要されてしまう。
仲間を人質にとられたヘイアンは仕方なく龍門鎮に向かうが、そこである女性剣士と運命的な出会いと遂げる!?
1967年に製作され、日本でも(残酷ドラゴン血斗竜門の宿)の邦題で劇場公開もされた台湾・香港合作の巨匠キン・フー監督の武侠映画(龍門客楼)のリメイク作品です。
このオリジナル版は、その後(少林寺への道)などのジョセフ・クオ作品に多く出演することになるシャンカン・リンフォン主演で、
美貌と華麗な立ち振る舞いで、女性ヒーローとして大活躍するアクションとなっていて、後の作品に多大な影響を及ぼす傑作となっていました。
で、その多数存在するリメイクの方ですが、一番有名なのはツイ・ハークが製作と脚本に携わり、レイモンド・リーが監督し、レオン・カーファイやブリジット・リン、マギー・チャン、
そして人気が上昇中だったころのドニー・イェンがラスボス役で登場する1992年度版ではないでしょうか。
こちらは日本でも(ドラゴンイン)の邦題で劇場公開され、あまりに有名なキャストが出演しているにも関わらずいまだに未DVD化という不遇な扱いになっている作品で、
内容も傑作といって良いぐらいの出来で、砂漠の荒野で延々と命のやり取りを行う江湖のアウトローたちが非常にカッコ良く描かれていました。
で、その後ツイ・ハーク自身の手によってジェット・リー主演で(ドラゴンイン)のその後を描いた(ドラゴンゲート空飛ぶ剣と幻の秘宝)も日本で公開されました。
こちらは、3D作品なので内容よりも武器が飛びまくるのが売り、とい感じの作品でしたが、娯楽優先のツイ・ハーク監督らしい面白みのあるリメイクとなっていました。
で、そんな流れがあっての、本作の登場ですが、今までの偉大なリメイク群はどれも、オリジナルをリスペクトしつつ、
その時代に合った武侠アクション作にアップグレードされていて、毎回楽しめる作品に作り替えられていました。
という事で、残念ながら今の流れは元気だった香港映画界がメインではなく、香港映画とは全く趣の違う中国側だけで有名な作品をリメイクされる事も多く、
本作もそんな流れの中で製作された作品ですので、他の中国作品同様に、アクションに覇気のない、カット割りと編集でなんとなく時間が過ぎていくタイプのアクションとなっています。
オリジナルや今までのリメイク作品にあった、砂漠という荒れ果てた世界で、江湖のアウトサイダーたち、戦いのプロのギリギリと滾るような命の駆け引きが魅力だった世界観は、
残念ながらそれほど感じられない作品となっています。
ただ、舞台となる龍門客楼の雰囲気だけは割と再現できていますので、なんとなく雰囲気だけはリメイク感が伝わってきます。
本作の主人公は武術は素人で、羅刹門という悪党集団に捕らわれている仲間たちを救うために、龍門客楼に潜り込んで、
隙を見て羅刹門に合図を送り、龍門客楼乗っ取りに協力する、という条件を課されます。
で、龍門客楼で暮らすうちに、そこで暮らす人々との間に情が芽生え、羅刹門との間で板挟みとなる、というのがメインの物語となていきます。
そうなってくると主人公が武術ができない状態なので、戦闘に参加できない、という事になりますが、これがまさかの展開で、
そこにたまたま剣術の達人がいて、その人物と主人公が仲良くなり、
なんと数日で剣の達人にまで鍛え上げる、という(マトリックス)のネオのような倍速習得ぶりで、
いきなりメインの戦闘員に格上げになります。
一番臆病で何もできなかった人物が数日後には一番強くなっている、という荒業です。
で、そうなってくると羅刹門に捕まっている仲間を自分で助ければ良いだけの話だと思いますが、そうならないのが最近の中国映画で、
後半、必ず悲劇的な男女のドラマに無理矢理持っていきます。
で、結局一番弱かった主人公がラスボス戦まで挑むことになるのですが、このラスボスが、何故、そういうキャラクターにしたのか理解できないぐらいに小声で話します。
ずっと小声。
小声過ぎて不快、という経験を初めてしました。
勿論字幕がでるので何を言っているのかはわかりますが、ずっと斜め45度下を向きながら小声で話す若くてぴちぴちした白髪のやせ形ラスボス。
そんな小声も数日で強くなりすぎている主人公にはかなわず、あっという間に勝負はついてしまいます。
しかも、あっと驚く出生の秘密なども明かされ、悲劇は続きます、、、。
という事で、名作のリメイクではありますが、過度な期待をせずに鑑賞すればそれなりの雰囲気は出ていますので楽しめるのではないでしょうか。
あと、ヒロインのお母さん役が、非常に凛々しくてカッコ良いのですが、全然活躍しないのが非常に勿体ないです、、。
是非他の作品でも活躍してもらいたいです。
作品情報
2021年製作 中国製作 武侠アクション
監督 イン・チンサー
出演 チョン・チーモン、チェン・スーイー、パン・ヤンフェイ
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有名すぎる原作(白髪魔女伝)の数え切らない回数のリメイクの1本(白髪魔女記)はこちら
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