おすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆
エリック・ツァンが、珍しく生粋の悪党キャラクターを、アンディ・オンがワケアリな幹部を演じ、かつて香港映画黄金期に外国人枠で活躍したマーク・ホートンの娘、シャーリーン・ホートンとの激突が熱い、格闘シーン多めのノワールアクション!!


作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、アンディ・オンとエリック・ツァンが共演したクライムアクション作品です。
原題でも分かるように、2024年に配信公開されて大ヒットした(黒白潜行)という作品の、同キャストによるシリーズ第二弾ですが、
特に物語の世界観を継承している内容ではありませんので、本作からでも鑑賞できるようになっています。

それでは、まずはあらすじから、
ライカ国の犯罪組織のボス、ソン・バンは、非道な方法で勢力を伸ばし、ついには政界進出を目論んでいた。
忠実な部下として抜擢されたジェン・ジャーと新しい構成員スー・ワンは、組織の大きな取引を控えていたが、
その情報を得ていた警察隊による大規模な捜索を受けるのだった!!

監督・脚本は、(羔羊游戏)や(木偶惊魂)等のホワン・イーで、黒社会ものに捻りを加えたストーリーを演出しています。


主人公となる犯罪組織の幹部ジェン・ジャー役で、(ライドオン)(詳しくはこちら)や(ブラインドウォー)(詳しくはこちら)等の
アンディ・オンが登場し、素晴らしいアクションを披露しています。



で、その犯罪組織のボス、ソン・バン役で、(インファナルアフェア)や(モンスターハント)シリーズ(詳しくはこちら)等の
エリック・ツァンが登場し、珍しく極悪の限りを尽くしていきます。



で、主人公の舎弟となる若い構成員、スー・ワン役で、アイドルグループ飛輪海の元メンバーで、ブルース・ウィリスも出演している(エアストライク)や
ドラマシリーズ(イタズラなKiss)等のワン・ドンチェンが登場し、身体能力の高さを披露しています。



で、主人公の奥さんパナ役で、(パープルバタフライ)や(SEX&禅)等のラン・シンイェンが登場し、主人公達に寄り添っていきます。



で、主人公達が接触する狂気のDJ役で、かつて香港映画の外国人枠で活躍していたマーク・ホートンの娘であり、
カンフー映画の大家ラウ・カーリョンに師事し、さらにMMAのファイターとしても活躍し、映像作品ではドラマシリーズ(隐形战队)や(飞虎之壮志英雄)等に出演している
シャーリーン・ホートンが登場し、素晴らしいアクションを披露しています。





そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、架空の国ライカで、勢力を伸ばしていた犯罪組織のボス、ソン・バン(エリック・ツァン)が、
その地域(多分ライカの主要都市部だと思われます)の長を含む、有力者が集まる会合で、対抗意識の強いライバルを、物凄く極端で強引な方法で蹴散らし、
全ての権力を手中に収める、という外道な方法でのし上がっていくシーンから始まります。


さらに、その会合の余興として開催された、龍の彫刻を奪い合う儀式に格闘スキルを活かして参加し、組織の中で頭角を現し始めていた
構成員ジェン・ジャー(アンディ・オン)を気に入ったソン・バンは、腹心の部下として抜擢し、
そこからさらに権力を伸ばすために殺人、強盗、ドラッグの取引等、あらゆる方法を使って勢力を拡大して行きます。



そして、それから10年の月日が経過し、いよいよ本格的に政界へ進出するための行動を開始したソン・バンは、
ジェン・ジャーに命じて、腕力の強い若手構成員スー・ワン(ワン・ドンチェン)をスカウトして、
ソン・バンのライバル組織のボス(同じように政界進出を企てている別の黒社会のボス)のスキャンダルを利用した信用失墜作戦を決行します。


そかし、作戦は成功したものの、ジェン・ジャーは、ライバル組織の構成員と争いとなって、市街の路地裏でスー・ワンと共に追い詰められて格闘となっていきます。


しかし、この時、ある出来事がきっかけで、狂気的な一面を見せたスー・ワンに何かを見出したジェン・ジャーは、次第に関係性を深めていく事になります。


その後も、2人でコンビを組んで、組織の取引をこなして行く二人ですが、ついに外国人ブローカーとの大掛かりな取引を迎えた時、
二人の運命は、大きな変化を迎えて行く、、、、、、、、!!
という流れが、大体の大筋となっています。

香港映画界のレジェンド、エリック・ツァンとアンディ・オンを主演に迎え、そこに台湾アイドルグループ出身のワン・ドンチェンを
物語の重要な鍵を握るキャラクターとしてキャスティングした犯罪アクション作品です。

架空の国ライカ(撮影場所はタイ)を舞台にしていますが、内容的にはかつて香港映画で人気を博したノワールアクションものの王道ストーリー、といった感じで、
アクション自体は、(男たちの挽歌)のようなガンアクションがメインではなく、格闘アクションがメインですので、
どちらかとういうと、(血戦 FATAL MOVE)や(帝戦 BAD BLOOD)のようなデニス・ロー監督作品に近い内容となっています。


ただ、まず意外なのは、犯罪組織のボスを演じるエリック・ツァンのキャラクターです。
これまで若手時代は(大福星)以降の福星シリーズのような調子ノリキャラクターで人気を博し、ベテラン期に入ってからは、

(インファナルアフェア)シリーズのような犯罪ドラマでも、割と感情移入できるような人間味を有したキャラクターを演じ続けていましたが、
本作のボス役に関しては、生粋の極悪人役で、しかも、声を他の声優が吹き替えていますので、これまでのエリック・ツァンのイメージを覆すようなキャラクター像になっています。

しかも、普通の犯罪アクションのボス役よりも登場シーンが多いため、結果的にその極悪ぶりをエスカレートさせていくようなシーンの連続ですので、
その後、どのような仕打ちを受けても取り返しがつかないぐらいに極悪街道を一直線に突き進んで行くキャラクターとなっています。

正直、個人的にはエリック・ツァンの良さは一切出ていないと感じてしまいますが、こういうキャラクターを演じる事で新境地を開拓していく、という意図があるのかもしれません。

それに対して、アンディ・オンの方は、同じ系列の香港映画を見慣れている方でしたら、どういう存在なのか、という事が登場して早々にピンとくる分かり易いキャラクターで、
そこに関しては特に意外性はなく、そのまますんなりと予想通りの展開となっていきます。

さらに、コンビを組むことになるワケアリなワン・ドンチェンも、大体の予想はつく背景を持っていますが、
本作は、後半、この若手コンビが、大変化球とも言える大きな展開を迎えて行く事になります。

詳細については割愛させて頂きますが、かなり予想外な展開で、暴投ぎみの変化球ですので、はっきり言って予想はつくはずがないレベルの捻り方となっています。
果たして、そこまでこねくり回す意味はあるのか?は、観る人によって変わるかもしれません。
超個人的には、そうなってしまうと感情移入も何もできない、、、、と感じてしまいましたが、、。


あと、本作、中盤の取引シーンで、取引相手のリーダー役で、1980年代から1990年代の香港映画黄金期に、
外国人枠で活躍したマーク・ホートンの娘、シャーリーン・ホートンが、かなり特徴的な容姿で登場し、完全に見せ場を攫って行くシーンが存在ます。


初登場時は、容姿とイッちゃってるキャラクター演技から、味変的な意味合いで登場するキャラクターかと思ってしまいますが、
いざ、レコードを両手に持って、それを武器として戦い始めると、トンデモナイ身体能力で、実は動けまくる戦闘女子だとハッキリとわかるという、
実はエリック・ツァン以上に意外性のあるキャスティングだという事が分かります。


もう、動き出すとアイドル出身で身体能力の高いワン・ドンチェンよりも動けてしまうので、完全に見せ場を攫ってしまい、
さらに途中参加のアンディ・オンとの2対1の戦いでやっと対等になるぐらいの大活躍ぶりで、
飛行機の羽の上で戦うという特殊な舞台も重なって、本作随一の名勝負といっても良いぐらいの素晴らしいアクションシーンとなっています。


登場するなり見せ場を攫ってしまうシャーリーン・ホートン、登場シーンがこのシーンのみなのが非常に残念ですが、
確実に今後の香港・中国系のアクション作品での活躍が期待できそうです。

という事で、ストーリー展開とエリック・ツァンの新境地はさておき、アンディ・オンやシャーリーン・ホートンの素晴らしいアクションは堪能できる作品となっていますので、
香港映画好きの方や、格闘アクション好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。



作品情報
2025年製作 中国製作 クライムアクション
監督・脚本 ホワン・イー アクション監督 ルオ・ジエ
出演 アンディ・オン、エリック・ツァン、ワン・ドンチェン、ラン・シンイェン、ユエン・フーワー、シャーリーン・ホートン


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