おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
天下統一を目指す皇太子が、天下統一に必要な地図のありかを知る記憶喪失の男との友情に悩む、一応実話を基にした武侠ファンタジー作品!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、身分を隠した皇太子が記憶を失った男との友情に悩む、武侠ファンタジー作品です。
それでは、まずはあらすじから、
945年の五代十国時代、ビン国は南唐の陰謀によって滅亡してしまい、ビン王の側近だったロウは、争いの最中に負傷し、それが原因で記憶喪失になってしまう。
天下統一に必要な地獄の業火の在処を知っているのはロウだけであるため、それを求める者たちが、なんとかその在処を聞き出そうと計略を練り始める、、、!?
西暦945年の五代十国時代の中国を舞台に、実話を基にかなり自由な発想で製作された武侠ファンタジー作品です。
五代十国時代を題材とした作品があまり存在しないので、馴染みは薄いですが、唐の滅亡から北宋が統治するまでの間に、
群雄割拠した十国が覇権を争った時期で、北宋が天下統一するまでは、混沌としていたようです。
そんな中でその十国に数えられるビン国と南唐の争いを軸に本作は語られています。
とはいえ、そういう多くの勢力が覇権を争っていた時期の物語という事だけの話で、基本は歴史ものではなく、
あくまでその時代に起きた事件から着想を得て、自由な発想で武侠ファンタジーへと発展させたおとぎ話ですので、
歴史もののような堅苦しさは冒頭のみとなっています。
ただ、この急にファンタジーになる雰囲気に付いていけない、という方もいるかもしれませんが、、、
という事で、物語はビン国の国王が敵国の謀略によって暗殺され、その腹心の部下である主人公が、暗殺者と激闘を繰り広げるも、
あえなく破れ、その際の負傷によって記憶を無くしてしまいます。
この記憶を無くした主人公は、天下統一に必要とされる地獄の業火(良く分かりませんが、恐らく凄くパワーを持っているもので天下統一を目論む者がこぞって欲しがる物のようです)のありかが記されている地図をどこかに隠している、
という事で、敵側の勢力が、記憶を失った主人公(名前が分からないので無名と名付けられます)を知り合いの女将に預けて、
様子を見てなんとか地図のありかを聞き出そうとする、という展開に入っていきます。
要するに本作はここからが本題で、冒頭の殺伐とした歴史劇とはがらりと雰囲気が変わってしまいます。
もう、別の作品ぐらいにコメディ調で、例によってぶりっ子な女将と、そこで働く3人の男のラブコメが始まってしまいます。
そのあまりの違いに、観ている側が戸惑っているうちに、色々な刺客が登場したりしますが、
そんな中にはまるで(白髪魔女伝)の魔女のような出で立ちの(missデンジャラス)(詳しくはこちら)のシュー・トントンも交じっています。
シュー・トントンは実は刺客というより別な目的もあるのですが、、、。
今回のシュー・トントンは残念ながらデンジャラスのようなカッコ良いバリバリの格闘アクションというよりも、
いつもの中国製武侠作品風の他力本願ワイヤー吊られアクションですので、それほど見せ場が多いという事はなく、
どちらかというとスペシャルゲスト的に登場シーンはそれほど多くはないけれども、良い所はさらっていく、
という役目でのキャスティングではないかと思われます。
キャスティングでいうと、メインで登場する3人の男うちの一人、麻十を演じるサミュエル・チャンは、一応香港でも活躍するスターで、
ショーン・ユー主演の(ブラッディ・レイン)や多くのテレビ映画、最近では(王朝の陰謀判事ディーと天空の塔)(詳しくはこちら)などで主演して大活躍しています。
ですが、日本版、中国版のポスターではサミュエル・チャンが主演のような感じで真ん中で剣を持って構えていますが、
実際の主演は、後ろで目立たないように剣を構えている髭面のヤン・ジュンユーの方で、こちらが記憶を無くす無名を演じてます。
ヤン・ジュンユーはファン・ビンビン主演の(楊貴妃レディ・オブ・ザ・ダイナスティ)にも出演していたようですが、ちょっと記憶に残っていません、、。
で、そんな男たちのドタバタな日々を送りつつ、刺客に狙われていくのですが、その中の一人に女将が誘拐されてしまいます。
で、3人の男たちが、救出に向かうのですが、ここからが一応見せ場になっていて、色んな個性的な刺客と戦っていきます。
その中には、二人一組で戦う独特の技が魅力的な剣士、そして元ビン国の裏切り者兵士、等一癖も二癖もあるキャラクターが登場します。
その中でも一番際立っているのは、突然世界観を壊すかのように登場する人狼です。
この出自の良く分からないオオカミモンスターが登場する事で、物語は一挙にファンタジー色を増していきます。
しかも、遠くから接近してくるときは、荒いCGで、接近すると手作り感満載の着ぐるみモンスターに変わってしまい、
主人公と素手でのバトル展開へと突入していきます。
さらにこのバトル、中盤とクライマックスで2回戦対決となっていますので、割と十分なぐらいバトルシーンが堪能できます。
このシーンを観るに至っては、冒頭のハードな国同士の覇権争いと同じ映画とは到底思えないようなバトルで、
いくらいつものカット割りの連続とワイヤーで飛びまくりアクションを駆使しても誤魔化し切れないぐらいの世界観となっています。
正直、別にモンスターが登場しなくても、普通の人と戦えば良いのでは、、、
と思ってしまうと、ラブコメ展開以降の物語自体を全部否定してしまう事になってしまいますので、そこはぐっとこらえて、
この荒唐無稽としか言いようのない世界観
に浸るしかありません。
で、そんなモンスターとのバトルも終え、いよいよクライマックスでは、お待ちかねのシュー・トントンも登場し、
主人公とのちょっとしたバトルも繰り広げられます。
そのバトルの果てには、中国武侠作品お約束のしんみりとした男女の物語へと発展し、いつものように切ないラストで終幕となります。
ですが、本作、切ない終幕ではありますが、ラストの主人公の笑顔を観ると、なんとなくスッと気分の良い感じで暗転となりますので、
決して、観ていて暗い雰囲気になるような終わり方になっていないところが、他の作品とは違う魅力となっています。
という事で、実話から着想を得ている物語ですが、基本的にはかなり荒唐無稽な世界観のおとぎ話となっていますので、
武侠作品好きの方や、中国作品好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
アクションは、吊られワイヤーアクションメインではありますが、他の作品よりは結構動いているように見えましたよ。
作品情報
2020年製作 中国製作 武侠ファンタジー
監督 チャン・レイ
出演 サミュエル・チャン、ヤン・ジュンユー、シュー・トントン
その他の武侠ファンタジー作品
繰り返される(西遊記)の映像化の番外編(孫悟空伝MONKEY KING)はこちら
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