おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆
監督自身が実際に所属していた超能力研究所での経験を基に描かれる、地球外生命体の影響を受けた父親の影響で、生まれながらにして超人的な力を手に入れた少年が、地球の命運をかけて決死の戦いを挑む、本国大ヒットのSFバトルアクション!!


作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、ルー・チューアン監督、ワン・ジュンカイ主演によるSFバトルアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
未知の生物や奇怪な事件に対応するために設立された749局は、鉱山で発見された謎の生物を施設で研究していたが、
その貪欲すぎる生命力は、他者を取り込み急成長を遂げていっていた。
それから18年後、ついに人類の脅威となるまでに成長したその生物を駆逐するため、749局は、生まれながらにして特殊な能力を持つ青年マー・シャンを連れ戻すのだった。

監督は、(ドラゴンクロニクル妖魔塔の伝説)や(南京!南京!)等のルー・チューアンで、製作陣にハリウッドスタッフを迎えた入魂のSFバトルを演出しています。


主人公となる少年、マー・シャン役で、(ザ・グレート・ウォール)や(ナミヤ雑貨店の奇蹟 再生)等の
ワン・ジュンカイが登場し、自らの境遇に戸惑いながらも、問題に対処していきます。



で、研究所の同窓生のヒロイン、ホア役で、(芳華 Youth)や、アーロン・クォック共演の(六月的秘密)等のミャオ・ミャオが登場し、主人公をサポートしていきます。



で、749局の局長チアオ役で、(SHADOW / 影武者)や(降魔传)等のチェン・カイが登場し、主人公を追い詰めていきます。



で、主人公の育ての親となる元研究所員カオ役で、(空海 KU-KAI 美しき王妃の謎)や(ラストシャンハイ)等の
シン・バイチンが老けメイクで登場し、主人公に寄り添っていきます。



で、その奥さん役で、(唐人街探偵 東京MISSION)(詳しくはこちら)や(エアストライク)等のチョン・ニンチャンが登場し、主人公を守っていきます。



そんなスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、特異な事件や謎の生物等を研究している政府の特別機関【749局】の発足と、
これまでに対処してきた事件の解説、中でも鉱山の地下で謎の生物を発見し、その生物の影響で大勢の作業員が犠牲となり、
18年経過後未だに、その生物の成長を止められず、ついに人類の危機を脅かすレベルの脅威にまで発展している状況から始まります。


この鉱山事件の唯一の生き残りである作業員(謎の生物に襲われた模様)は、その後、息を引き取ることになりますが、息子マー・シャン(ワン・ジュンカイ)は無事に生まれていて、
背中に謎の突起物が見受けられたことから、児童超能力研究所へと預けられ、他の特殊な能力を持つ児童たちと暮らすことになります。

しかし、その後、施設内のいじめや、普通の子として生活したいという本人の強い意思に従ってマー・シャンは施設から離れることになります。
で、それから数年後、晴れて自由を手に入れたマー・シャンは、車椅子生活の科学者カオ(シン・バイチン)叔父と、
喧嘩っ早いその奥さんである叔母(チョン・ニンチャン)と共に暮らしていますが、そんな平和なある日、
再び研究施設にマー・シャンを呼び戻すためにエージェントと、かつての同窓生たちに襲われるシーンから物語は本題へと突入していきます。



かつての同窓生による、その追跡劇は、追う目的に加えて、その後のマー・シャンの身体能力の成長も調べる目的があったようで、
様々な場所で運動能力を確認して行きますが、結局最終的には施設へと連れ戻される事になってしまいます。


そして、新任の局長チアオ(チェン・カイ)は、20年前の鉱山事件で発見した謎の生物【ゼロ】が、その後も成長し続けて、
タンパク質だけではなく、金属も消化してしまうその貪欲な生命力は、今では人類と脅威となっていて、このままではやがて人類を滅ぼすことになってしまう事、
そのゼロを倒す鍵を握っているのが、父親からの不思議な力を持って生まれたマー・シャンのみで、
かつて研究所で垣間見せた超人的な力を解放させれば、ゼロの力を封じ込めることができる事を説明し、マー・シャンを説得します。


その後マー・シャンは、強引に力を覚醒させようと、施設の研究員に無理やり訓練をさせられますが、やはりどうしても普通の子として生活したいマー・シャンは、
隙を突いて研究施設を脱出し、叔父と叔母のもとへと帰っていきます。


しかし、それは全て局長の策略のひとつで、ある出来事がきっかけでマー・シャンは完全に心の扉を閉ざしてしまいます。

信じていた者に裏切られ、すべてに背を向けたマー・シャンですが、元同窓生の女性ホア(ミャオ・ミャオ)が放ったある一言によって、
ついに、マー・シャンは、自らの運命を受け入れ、大切な人々のために、邪悪な存在に立ち向かう事になる!!!!
、、、、、、、、という流れが、大体の大筋となっています。

(ドラゴンクロニクル)等、多少ファンタジックな要素を持ったアドベンチャー大作を得意とする、ルー・チューアン監督によるSFバトルアクション作品で、
エンディングに流れるメイキングで確認できますが、製作開始の2016年から8年がかりで製作された超大作となっています。

その間コロナも挟んでいますので、そういう理由での中断もあったと思われますが、メイキング映像を見ると、
実際に大掛かりなロケと手間をかけたCG合成を併用しているようですので、変な話ですが、メイキングの捕捉によって大作感が増しています。

というのも、本作CG映像が非常に多く、しかも配信作品のセガサターンのようなCGではなく、比較的に自然で違和感のない丁寧なCGで表現されていて、
そこに街中でのワイヤーワークのような大掛かりなロケ映像が加わりますので、てっきり高所での撮影なんかは、全てセット撮影とCGとの合成映像なのだと思っていたのですが、
メイキング映像で、実際に高所で命綱を身体に括り付けて撮影されていたことに驚きです。

超人的な能力を持っている少年少女たち、という役柄なので、平気そうにしていますが、それは全て役者魂と、
素晴らしいスタッフの努力と技術のたまものであることに映画の素晴らしさの神髄を見せられます。
こういうシリアスなジャンルの映画本編と、言わば地続きのエンドロールで、メイキングという本編の種明かし映像を速攻で流してしまうのは、ちょっとどうかとは思いますが、、。

そういったシーンが目白押しなので、娯楽度は満載なのですが、本作の大きな魅力の一つであるこのCGが、
本作の場合かなり多投されますので、中盤あたりまでは、この急速に発展した中国映画界のCG効果を、見て欲しくてしょうがない気持ちが前面に出過ぎてしまっていて、
凄いCGを見せる事がメインなあまりに、詳細なドラマを結構すっ飛ばしてしまいますので、割と長い間、
主人公が、何から、どういう理由で逃げて、何故そんなに脅威を感じているのか、という作品世界に入り込むのに最低限必要な部分がさっぱり理解できません。

加えて、叔父と叔母との出会いや思い出、過去の迫害等の大事なシーンもフラッシュバックのような断片的な説明だけなので、
とにかく運動神経の良い男の子が、理由が良く分からないままに、大人に追われて逃げ回っている印象だけが残ってしまいます。

局長はとにかくイヤミ担当、主人公はとにかく逃げる担当、研究所員はとにかく追う悪役担当、同窓生は元いじめっこで今はとにかく追う悪役担当、
といった感じで、背景もあまり描かれないままにそれぞれの役割を機械的に担当している、といった感じで中盤あたりまで進んでしまいます。

しかし、捕まる、逃げるの展開もそろそろ限界に近付いた中盤あたりで、いよいよ主人公が運命を受け入れて、脅威に立ち向かっていく展開あたりから物語は動き始めます。
ベタな展開ではあるのですが、自身がすべき事に立ち向かっていく、という主人公の成長と共に、いじめっ子だった同窓生は、頼れる仲間へと成長し、
イヤミ担当だった局長も、自ら戦いの最前線へと向かって行くという、全キャラクターが一挙に成長する、大変熱いドラマ展開へと突入して行く事になります。


その後は、また大CG祭りとなっていきますが、後半に関しては、そのシーンを盛り上げるドラマを伴っていますので、
前半とは違ってしっかりと感情移入して鑑賞できるようになっています。

もし、CG祭りをもう少し抑えて、この熱いドラマが前半から描かれていれば、もっと傑作になったと思われるだけに、非常に残念な作品となっています。
中国本国では、かなり記録的な大ヒットとなってようですが、日本では他の配信作品と同じような扱いでのサクっとDVDスルーが悔やまれます、、、。

という事で、原題の(749局)を(エリア749)という、エイリアンものなら(エリア51)や(第9地区)のような地区のイメージだろう、
という安易な発想の下につけられたと思われる邦題が残念ですが、予想外に大作娯楽作品となっていますので、
マーベル作品ファンの方や、(エヴァンゲリオン)、(進撃の巨人)等の世界観が好きな方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。




作品情報
2024年製作 中国映画 SFアクション
監督・脚本 ルー・チューアン 撮影 デヴィッド・タッタール 美術 コリン・ギブソン
出演 ワン・ジュンカイ、ミャオ・ミャオ、チェン・カイ、シン・バイチン、リー・チェン、チョン・ニンチャン


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