おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
シネマシティ社が総力を結集し、特殊メイクにトム・サビーにを迎えたアラン・タムとオリビア・チェン主演の特撮ラブコメディ!!
作品紹介
1986年11月22日公開
今回ご紹介する作品は、特殊メイク王トム・サビー二が参加したアラン・タム主演作品です。
それでは、まずはあらすじから、
人気女優アイリンは、同じく俳優のチンとの結婚を控えていた。
しかし、チンの恋敵であるマフィアのボス、トンは、その結婚を認めず、殺し屋を雇ってチンの命を奪ってしまい、
その隙をついて自身がアイリンに求婚するのだった。
その後、トンとアイリンの結婚式が執り行われるが、そこで不慮の事故が起きてしまい、トンも命を落としてしまう。
その隙をついてオリビアに恋心を抱いていた牧師のカンが求婚。
しかし、トンとチン、二人のゴーストが現れて、それに驚いたカンも命を落としてしまうのだった。
そして、ゴーストとなった3人は、連続で夫を亡くしてしまった不幸なアイリンに幸せになってもらうため、理想の男性探しを始めるのだった!?
カール・マッカやディーン・セキ、レイモンド・ウォン等シネマシティの中心メンバーが製作したアラン・タム主演のゴーストラブコメディ作品です。
アラン・タムを始めとしてキャストも豪華で、相棒役には(大福星)以降の福星シリーズや(インファナルアフェア)のサム兄貴でお馴染みのエリック・ツァン、
ヒロインにはミス香港出身で、本作のアラン・タムと共演した(活劇!盗聴大作戦)やサモ・ハンのオールスター映画(上海エクスプレス)、マイケル・ホイ主演の(ミスターココナッツ)等、
ビッグスター主演作品のヒロイン役で人気を博したオリビア・チェン。
さらに、主人公に絡むゴースト役で、ショウブラザース社の看板俳優を経て、ムーン・リー主演の(天使行動)(詳しくはこちら)や、
(逆噴射おもしろ家族)(詳しくはこちら)、(ワンス・アポン・ア・タイム・インチャイナ天地大乱)等
長きに渡って多くの香港映画で活躍しているデビッド・チャン、
同じくジャッキー・チェン主演の(神拳ヤングボディガード)や、(トラフィックコップス)等の多くの作品で活躍し続けているウォン・チン、
さらにシネマシティ設立の立役者であり、近年でも製作者として(イップマン)シリーズ(詳しくはこちら)等、精力的に名作香港映画を世に送り出し続けているレイモンド・ウォン、
ついでにゲストとして古くから、カンフー映画のおとぼけコメディリリーフとして活躍しているハン・クォチョイや本作の監督でもあるラウ・カーウィンも少しだけ登場する、豪華なキャストの作品となっています。
さらに、本作はキャストだけでも豪華ではありますが、スタッフ側にまさかのハリウッドで活躍するトム・サビー二を特殊メイクとして招く事で、作品の魅力を数倍上げる事に成功しています。
恐らく、このトム・サビー二の特殊メイク目当てで本作を鑑賞する人も多いのではないでしょうか。
さらに、本作は特殊効果を日本の東宝映像が担当していますので、1982年当時での最新の特撮映像も見る事ができる、という一粒で何度でも美味しい作品となっています。
ただ、、、。
本作確かに特撮シーンがそれなりにあって、後半は特殊メイクのオンパレードになりますが、基本的にはアラン・タムとオリビア・チェンのラブコメディです。
ですので、その多くの人がお目当てにしている特殊メイクモンスター総登場シーンに行き着くまでのラブコメ展開をどれだけ楽しめるかで、
本作自体の評価が変わってくる作品となっています。
そんな物語は、冒頭、デビッド・チャンとオリビア・チェンが結婚しようとするシーンから始まります。
で、オリビア・チェンに一目惚れしていた黒社会のボスであるウォン・チンが邪魔に入るのですが、これがピタゴラスイッチ的な不幸の連鎖で、
デビッド・チャンがあっという間に命を落としてしまい、続くウォン・チンも、結婚式中に飛んで来た鳥が口に入って窒息する、
という物凄い死因で命を落としてしまい、さらに続く牧師であるレイモンド・ウォンも、先に亡くなった二人のゴーストを見てビックリして死ぬ、
というこれまた、とんでもない理由で命を落としてしまう事になります。
で、そんな3人のゴーストですが、これがいがみ合ったり、恨みで人を呪い殺したり、という恐ろしい事を企むゴーストではなく、
結婚する度に夫を亡くしてしまう、愛するオリビア・チェンに幸せになってもらい、自分達の遺影も忘れずに飾ってもらいたい、
という善意に溢れたゴーストとなっていて、この設定によって他のゴーストコメディとはちょっと違った感触の人情コメディ作品となっています。
中盤までですが、、。
他のゴーストコメディですと、大概は人間には見えないゴーストが、人間に対して意地悪とする事で生まれる笑いがメインですが、
本作の場合は、人の好いアランをなんとかオリビア・チェンと結びつけてハッピーウェディングに持ち込みたい、
という善意によって、二人が戸惑いながらも、少しづつ関係が深くなっていく、というハートウォーミングな展開へと流れていく事になります。
ですので、香港映画特有の意地悪な笑い(良い意味でです)ではないので、消化不良が起きそうですが、そこの役割を相棒役のエリック・ツァンが一手に担う事で、
いつもの香港らしさもしっかりと演出していきます。
要するに、エリック・ツァンが二人が深い関係になるための邪魔者として扱われて、ゴーストのいたずら(一応、二人の恋を成就させるためなので善行ですが)をもろに受ける事になるのですが、
実際エリックは、オリビア・チェンに言い寄ったりして邪魔をするわけでもなくアラン・タムをどこまでもサポートしているだけなので、
ただただ損な役回り、という感じですが、当時のエリック・ツァンは、(福星)シリーズ等のようなドタバタ明るいいじめられっ子、
という感じの役柄を多く演じていましたので、本作でもそのお得意系列のキャラクターを好演し、作品を盛り上げています。
で、そんな感じで、ハートウォーミングな恋のゴーストキューピッド展開を経て、いよいよ本格的にアランも愛の告白をするのか!?
という所で、本作は急展開を迎えていきます。
霊界からやって来た生まれ変わりを待つ三流霊(っぽいので多分そんな感じです)であるハン・クォチョイが現れて、
このままオリビアと結ばれても呪いによって死を迎える事になるので、呪いを解いて二人が幸せになるためには、
幽霊島に行って、そこに安置されている鬼王の口の中にある珠を手に入れなければならない、
という、
物語の冒頭ぐらいで教えておいて欲しい、ワクワクするような冒険に旅立つ目的
を、上映開始から55分でやっと教えてもらえます。
あと、38分しかありませんが、、、。
で、とりあえずアランが先に幽霊島に旅立ち、エリックは、3人のゴーストに脅されて、アランの手助けをするために3本の傘に自分達を入れて(霊幻道士にも出てきた設定です)、船に乗って旅立ちます。
ただ、この船旅中、ちょっとしたドタバタがあって、この3人が入っている傘を海に落としてしまいます。
で、手ぶらのまま幽霊島についたエリックは、どうしようもないので、単身アランがいると思われる島の中心を目指す、
という事で、アランとエリックの肝試し冒険展開へと突入していきます。
恐らく、トム・サビーが目的の人にとってはここからが本題で、年に一度の死者のパーティに出くわしてしまたアランとエリックが、
魔界の住人相手にドタバタを繰り広げるですが、これがさらに特撮シーンにいくまでのパーティシーンに結構な時間が割かれいますので、
色々とやっている内に結局終幕9分前になってやっとお目当ての特撮シーンに辿り着く、という散々ジラした割にはあっけないクライマックスとなっています。
ただ、特撮自体は非常に楽しく、見栄えのするモンスターばかりですので、そのラストの9分間に関しては非常に内容の濃い9分となっています。
ほとんどのキャラクターがワンシーンのみで、そんなに活躍する事無く画面から消えてしまいますので、
顔見世の連続という感じなのが残念ですが、作品の一番の魅力と言っても良いぐらいに素晴らしく味のある特殊効果となっています。
もし、この特撮シーンがバランス良く作品全体に散りばめられて、その特撮がしっかりと物語に絡んでいれば、
数倍面白い作品になったと思われますが、前半で散々活躍していた3ゴーストは結局クライマックスの冒険に旅立ったのに、
海に落ちて、最後の最後に拾われる、という見掛け倒しですし、後半の冒険パートに入るや否や、オリビア・チェンは一切登場しなくなる、
という、結局前半に色々あったドラマは島を境にほとんど関係無くなってしまう(最後のワンシーンはありますが)、という一貫性の無さが、
恐らくトム・サビー二目的の方にとっては、
特殊メイクを見るために80分ぐらい関係のないラブコメを見させられている、
と感じるかもしれません。
恐らく、トム・サビー二のスケジュールに3ゴーストキャストとオリビア・チェンが合わせられなかった、というような状況だったのではないでしょうか。
それとも、島に行くまでを先に撮影しておいて、トムサビー二パートを後で追加撮影した、と考えると、本編と島パートの遊離が納得、、、
はできませんが、そいういう臨機応変ぶりを感じさせる所は香港映画っぽい所ですね。
一応、最後の最後にアランとオリビア・チェンは結ばれた、というシーンがオマケのように挿入されますが、
トム・サビー二の特撮パーティで気持ちをリセットしてしまった後のオマケ映像(本来は本筋ですが、、)のようなシーンですので、
ハッピーエンド💛というよりも、『あ、そういえば、、、』と、思う出す役目にしかなっていないのが、また残念です。
という事で、豪華キャストで楽しい人情ストーリー、そして素晴らしい特撮と見所盛沢山で、一貫性の無さを勢いで乗り切った、香港映画らしい特撮ラブコメディとなていますので、
香港映画好きの方や、特撮好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
因みに、本作で印象的に流れるアラン・タムの主題歌は、香港アカデミー賞で主題歌賞にノミネートされました。
なんとその日本語版シングルレコードが日本でも発売され(当時購入し、今でも歌詞を口ずさめますが、レコード自体は行方不明です、、アラアラタイへンダ、、)、日本での劇場公開も(スペクターX)と同時上映で公開される、
という結構力の入った規模で公開されましたが、本作はその後日本ではVHSしか発売されていない、という不遇な作品となっています。
作品情報
1982年製作 香港製作 特撮ラブコメディ
監督 ラウ・カーウィン 製作 カール・マッカ、ディーン・セキ 製作総指揮 レイモンド・ウォン 脚本 エリック・ツァン 特殊メイク トム・サビー二
出演 アラン・タム、エリック・ツァン、オリビア・チェン、デビッド・チャン、レイモンド・ウォン、ウォン・チン、ハン・クォッチョイ、ラウ・カーウィン
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