おすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆
主演のシベール・フーとムーン・リーが爆破シーンの事故で火だるまとなりながら、その事故シーンを本編でそのまま使用する、という衝撃映像がラストに登場する激烈レディースアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、主演女優二人が撮影中の事故で火だるまとなったシーンをそのまま使用するという、ある意味驚愕のアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
フー警部率いる警察特捜隊は、国際的な密売組織を壊滅させるために取引現場であるテーマパークで張り込みを行っていた。
そして、組織を一網打尽にするために作戦行動に移るが、寸前で組織のボスを取り逃がしてしまう。
この出来事以降、闇組織内で内紛が触発し、周りの人間も巻き込んだ派閥争いによる地獄のような戦いが開始されるのだった!?
爆破シーンの事故で主演女優二人が火だるまになる、というとんでもない映像をそのまま本編で使用する、
という今(当時もですが)考えるとトンデモない商魂全開で公開されたある意味、いわくつきのレディースアクション作品です。
監督は(キラーエンジェル)(詳しくはこちら)等のリュー・チェンクーという事で、作品自体も非常に低予算且つ、
勢い重視のアクションのつるべ打ち作品(別な見方をするとアクション重視、ストーリーは無視)で、とにかく派手な銃火器アクションや、肉弾アクションをできるだけ多く描いていく事を最重要と
しているような作品ですので、素人目に見ても、安全性を最軽視しているようなデススタントが続出する作品となっています。
ですので、そりゃ事故が起きても不思議ではない、と思うようなアクションシーンが矢継ぎ早に登場します。
物語は、基本的にはシンプルな警察特捜隊と国際的密売組織の戦いを描いた内容で、常にバトルアクションがメインで展開されていきます。
その警察と闇組織の戦いに、やたらと参戦してくる女戦士も交えて三つ巴の戦いに発展していきます。
正直、ストーリーはついでに考えたような淡白な展開ですので、当時流行りのノワール系のいつもの展開なのですが、
本作はメインのアクション面もさることながら、キャスト面も意外に豪華で、当時人気の高かったキャストが集結しています。
まずは主人公となる女性警部役で、(香港活劇エクスプレス大福星)や(レディスクワッド)シリーズ、
そして(リーサルパンサー)シリーズ、とアクション女優としての活躍の多かったシベール・フー、
そして、謎の女戦士としてやたらと争い事に参加してきて、最終的に主役の一人となる(霊幻道士)や(チャンピオン鷹)等のお人形さんのようなアイドル時代から、
(天使行動)(詳しくはこちら)シリーズでアクション派に方向転換したレディドラゴン、ムーン・リー、
警察側の上司として何故か、まるで敵のようなキャラクター像が終始違和感のある(愛と復讐の挽歌)シリーズや、近年では(ランアウェイ香港脱出)(詳しくはこちら)等で
元気に大活躍を見せているアレックス・マン、
闇組織でのし上がり、次期ボスの座を狙っている分かりやすい悪役を憎たらしく(誉め言葉です)演じている、まだまだ悪役専門だった時期の(ザ・ミッション非情の街)等のフランシス・ン、
そして、その宿敵であるフランシス・ンに復讐しようと警察と共闘することになる一匹狼に(ゴッドギャンブラー3)や(導火線フラッシュポイント)等のレイ・ロイ、
フランシス・ンに立ち向かう闇組織員に(ドラゴンロード)や(燃えよじじいドラゴン)等のチャーリー・チャン、
あまり目立たないものの、フランシス・ンの部下として肉弾アクションパートで大活躍しているロー・ワイコン等、
人気のアクション派のキャストが多数集結しています。
ただ、アクション自体は豊富で目を引くシーンが多いですが、事故が起きてしまうほどに荒々しいというか、
雑な粗さも目立ちますので、割とスタントが多用されるようなアクションシーンも豊富となっています。
それも明らかにスタントと分かってしまうようなつながりのアクションが多いので、この粗さで何故ラストの爆破シーンのような危険なシーンでスタントマンではなく、
キャスト自身が演じる事になったのかは疑問です。
当時の風潮、という感じでしょうか。
その衝撃的なシーンには以下のような字幕が添えられています。(日本独自の字幕ではなくオリジナルの本編に表示される字幕です)
主演女優ムーンリーとシベールフーは映画芸術の真実性を高める為、自ら危険なスタントに挑戦し
重症を負った。
彼女達の勇気とプロ精神に心から敬意を表したい。
さらに、映画本編はそこで急遽終了し、そのまま当時の新聞記事が写し出される、というまさかの、ある意味驚愕のエンディングとなっています。
ジャッキー・チェンの(サンダーアーム龍兄虎弟)でも同じく大事故が起きてしまい、ジャッキーが救急者で運ばれるシーン等もエンディングのスタッフロール時に流れましたが、
そちらは本編は完全に終了してしまってからの楽しいNG集の中で、こんな事故もありました、というあくまでメイキング的な要素で収録されていますが、
本作の場合は、本編をそこで切り上げてしまって、そのまま新聞記事に移行してしまい、そのままエンドロールが流れてしまいますので、
主人公達が無事だったのかどうかも、全くわかりません。
言い換えると、最終的に本編そっちのけで、事故自体をメインにしてしまっています。
事故によって、撮影続行できなくなったとしても、ほぼラスト近くまで撮影は終了しているので、ナレーションなり風景映像なりで、
とりあえず完結させる事はできたはずですが、それを放置してしまって事故をメインに扱ってしまう、という、ある意味香港映画界の理不尽なまでの商売主義に圧倒されてしまいます。
ただ、さらに圧倒されるのは、火だるまになる程の大やけどを負ったにもかかわらず、シベール・フーとムーン・リー両名ともに数か月後には現場に復帰して他のアクション作品を撮影している、
というタフぶりが、当時の香港映画界の勢いというか、ラフさというか、商売優先というか、良いも悪いも色々あった時代を感じさせる作品となっています。
流石に今の時代では、ここまでの出来事を含んだ上に普通に公開されてしまう作品は、もう生まれないのではないでしょうか。
という事で、衝撃のラストシーンが存在する映画という事でそちらばかりが有名になっている作品ですが、
アクション自体は豊富で、バトルアクションをずっと楽しみたいといった方も楽しめる作品となっていますので、
ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1990年製作 香港製作 ノワールアクション
監督 リュー・チェンクー
出演 シベール・フー、ムーン・リー、アレックス・マン、フランシス・ン、レイ・ロイ、チャーリー・チャン、ロー・ワイコン
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