おすすめ度 ★★☆☆☆☆☆☆☆☆
ジョン・リュウとカサノバ・ウォンが豪華共演する、インディーズ感丸出しの気の抜けたゆるゆるアクション作!!しかも、まさかの監督・製作・脚本・主演がジョン・リュウで役名もジョン・リュウ!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、ジョン・リュウが監督・製作・脚本・主演とこなしたアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
米ソの緊張状態が続く中、KGBのコンバットチームによる新しい武術の開発に対抗するため、CIAはアメリカで随一の武術の達人であるジョン・リュウ(ジョン・リュウ)を
特殊部隊の武術顧問として雇い、肉体的、精神的に強靭な兵士に育成を進めていた。
しかし、CIAの横暴なやり方に嫌気がさしたジョン・リュウは、組織から離脱を決意するが、内部事情を知り過ぎたジョン・リュウをCIA上層部は抹殺しようとしていた!?
(南拳北腿)や(霊冥道士1キョンシーキッド、実はFIGHTING ACE)等、残念ながら、日本ではまともに紹介されてこなかったハイキッカー、ジョン・リュウが、
まさかの監督・製作・脚本・主演(しかも一人二役)、しかも自身の製作会社ジョン・リュウフィルムで製作した、
ジョン・リュウの一つの到達点ともいえるアクション作品です。
他の監督作品には、フィリップ・コーと共演したカンフーアクション(DRAGON BLOOD )や、全編パリロケの現代アクション(ZEN KWUN DO in PARIS)等があり、
そのどれもが監督・製作・脚本・主演とマルチなワンマンぶりを発揮しています。
そして、そのワンマンシリーズの集大成として1984年に製作を進めていた(NEWYORK NINJA)は、撮影がほぼ終了していたものの、
製作会社の倒産によってフィルム自体が失われ、そのまま公開される事無く存在自体が無くなる事となってしまいました。
が、まさかまさかの事ですが、近年になって映画のフィルムを補修・管理する Vinegar Syndrome社によって、
失われていたフィルムが発掘され、そこに補修を加えて公開、ブルーレイも発売される、というまさかの復活が実現しました。
しかも、音声が失われていたようなので、新しく、台詞を収録(しかも、声優にドン(ザ・ドラゴン)ウィルソンやシンシア・ラスロックを起用)し、
しっかりとした完成版として製作(新規撮影は無いようです)しリリースされています。
という事で、この(NEWYORK NINJA)もジョン・リュウ監督・製作・脚本・主演のワンマン映画なので、
ジョン・リュウのワンマンシリーズは4本、製作公開された事になります。
ただ、海外のデータベースですと製作が2021年となっていて、まるでジョン・リュウ自身が2021年に39年ぶりのワンマンシリーズ最新作を製作したように見えますが、
実際には1984年のまだまだ若々しいジョン・リュウが登場する作品となっています。
アメリカでは二枚組のブルーレイまで発売されているようですので、日本でも、、、、、
、、、絶対無理ですね、、。
そんな、ジョン・リュウのワンマンぶりが炸裂する本作ですが、これが、またザ・ワンマンとしか言いようのない(セガールとはちょっと違うタイプのワンマン)内容となっています。
基本の物語としては至ってシンプルで、米ソの緊張状態が続く中、新しい武術を開発して戦闘用に訓練しているKGBに対抗する目的で、
武術に秀でた武術の達人ジョン・リュウ(役名もジョン・リュウ、、、)が、CIAに特殊部隊に武術を指導するコーチとして招集され、
その特殊部隊員に武術を指導しながらも、CIAの自分勝手なやり方に嫌気がさし(何故、そんなに嫌なのかは良くわかりません)、
離脱しようとするも、今度はそんなCIAが、内部事情を知り過ぎたジョン・リュウ抹殺のためにエージェントを差し向ける、
というエージェントもの、スパイものの定番の展開で、かつての仲間に命を狙われる、というストーリーになっていきます。
言ってしまうと、それが全て、という感じで、80分という短い上映時間でずっと戦いが繰り広げられていきます。
最初から最後までツッコミどころや違和感満載の作品で、あまりの違和感ぶりに、最終的に違和感自体に慣れてしまって、違和感を違和感と感じなくなるぐらいに違和感の塊のような作品となっています。
人間は環境に慣れる生き物ですね。
そんな違和感満載の作品、勿論、その原因は、ほぼワンマンによるものかと思われますが、その暴走とも言えるワンマンぶりの筆頭とも言えるのは、
まずはセガール作品同様に、主人公であるジョン・リュウ(役名もジョン・リュウ)が、
そのお世辞にもイケメンとは言い難い外見にも関わらず、問答無用に女子にモテまくって、しかもそのモテシーンを何度も何度も掘り下げる、
というストーリー上、特に必要でも無さそうな部分に時間を費やしてしまいますので、物語のテンポが何度も何度も削がれてしまいます。
80分の作品で、女子とのベッドシーンや、女子に迫られているシーン、等のモテシーンに登場する女子人数合計4人(もしかすると、事情を知っていそうな人がもう一人いるので5人?)、
ジョン・リュウが、です。
1作品だけで見るとセガール作品の意味もなくモテるシーンを遥かに凌駕しています。
80分という短い時間に3人の女子(しかもお互いに面識が無い別のシチュエーションで登場します)とのモテシーンは、
出会いから、お互いの想いを確かめあって、恋に発展してデートを重ねてベッドイン、という通常の段階を踏まずに、
出会いからベッドインまで5分ぐらい、というより、元々出会っていて既に親密な関係になっているのに、中盤以降、何の説明もなくなんとなく女子が新登場しますので、
二股(もしかすると描かれていないだけで、物凄く時間が経過しているのかもしれませんが、、)も関係なく、
とにかくモテモテシーンが挿入され、全員漏れなく事件に巻き込まれていきます。
要するに、ずっと一人で行動して逃避行しているクセに、悪党からか弱き女子を守りながら戦うという状況を作りたかったのだと思われますが、
その都度、巻き込まれて犠牲になる女子が気の毒になってきます。
あと、途中いきなり姪(台詞の発音はジョン・リュウをアンクルと呼んでいたので姪だと思われますが、
字幕では娘となっていました。本来は重要な相違ですが、本作においては、、、どっちでも良いです)が登場して、
守りながら悪漢と戦う、というシーンもありますので、一応モテている女子とカウントするなら5人の女子にモテている、というそれだけで凄い設定の主人公となっています。
そんなジョン・リュウが撮りたいように撮ったと思われる本作のキャストが、恐らく友達だった、という事もあるとは思われますが、
意外に豪華なキャスティングが実現しています。
まずは、冒頭、なんてことないシーンで、一瞬ですが、(狼/男たちの挽歌 最終章)、(ユンピョウin妖刀秘伝)(詳しくはこちら)等のダニー・リーが登場し、
ちょっとしたアクションを披露していきます。
で、メインの展開に入っていくと、武術を指導する特殊部隊員役で、まさかの(燃えよデブゴン10友情拳)(詳しくはこちら)等のハイキッカー、カサノバ・ウォンが出演し、
素晴らしいハイキックで、ジョン・リュウとのアクションを何度も披露しています。
本作でのカサノバ・ウォンは、時々見せるクレイジー系の役柄で、普段は冷静な若者という感じですが、
上層部による暗示、というより洗脳(この精神的に暗示をかけて兵士を強化するという術が本作の重要な要素、一応)によって、ジョン・リュウを倒すべき敵と認識した状態でのバトルが、
なかなか苛烈な名勝負を生み出しています。
で、そんなカサノバ・ウォンの上司であり、客員的にチームの指導に参加しているジョン・リュウと常に意見が対立している特殊部隊員の隊長役で、
他のジョン・リュウ監督作品にも出演している、ヨーロッパの空手チャンピオンで、フランスのムエタイ界のパイオニアとしても有名な武道家ロジャー・パッシーが登場し、
ジョン・リュウと激闘を演じています。
このロジャー・パッシーとの激闘も、なかなかの名勝負となっていて、カサノバ・ウォン同様に本物ののアクションで、ジョン・リュウを追い詰めます。
で、アクションは3人も動けるスターが出演していますので、見所満載ではありますが、本作には一つのパターンの英題(KUNG FU EMANUELLE カンフーエマニュエル)が示す通り、
ジョン・リュウがモテすぎるあまりに、セクシー路線も不必要に攻め込む危ういシーンも存在します。
それは、特殊部隊の女性隊員が登場するシーンで、やたらと薄着でのアクションはご愛敬としても、その暗示(洗脳)戦法の証明として、
森の中で、ジョン・リュウが精神統一し、雑念を配して、型をキメる、というシーンで、その精神統一をかき乱す目的で、
極度の暗示(洗脳)を懸けられたクレイジーカサノバの打撃攻撃と、暗示(洗脳)を懸けられたカンフーエマニュエルによるエロティック誘惑攻撃、
というエロと暴力の二段攻撃(VHSジャケットのシーン)!!
という誰かがやりそうでやらなかった戦闘シーンをワンマンがゆえに惜しげもなくやってしまう、という、なかなか奇天烈なシーンが存在まします。
ただ、このシーン、ジャケットにもなっているぐらいなので、
その攻撃に耐えているジョン・リュウのなんとも言えない、打撃による痛みと、精神的な欲望を抑えようとしている表情が、なんとも言えず、
そのシュールなコントのような雰囲気が、何とも言えない笑い 情緒を生み出しています。
下手すると本作の裏ベストシーンとも言えるかもしれません。
一応、時代的な表現として、空手着はずっと着たままでしたが、一応意味合い的には、一旦全裸になっていた、という意味ではないでしょうか。
因みに、その後のジョン・リュウの台詞は、
ジョン『良い経験になったよ。』
何か、がフッきれたようですね、、、。
因みに、このカンフーエマニュエル役の人は、スイスのプレイメイトとして有名なヨランダ・エッガーという人で、当然このシーンまでが出番で、その後本編にはほとんど登場しません。
という事で、違和感満載で、ワンマン展開満載、主要キャスト以外は棒読みばかりで、真剣味も何も無い作品で、
まるで見ず知らずの他人のホームビデオを見ているような感覚に陥る作品ではありますが、
アクションスターの超絶アクションと、奇妙なセクシーアクションシーンが特徴となっている、ある意味貴重な作品とは言えますので、
香港映画好きの方や、変わった映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはかがでしょうか。
変わってますよ!
あと、ジョン・リュウこの頃(Zen Kwun Do禅観道)というブルース・リーの(Jeet Kune Doジークンドー)にあやかったような武道を推していたようで、
一応、そのZen Kwun Do禅観道をフィーチャーしたような作品となっているようです。
それと、一つのパターンの英題で、タイトルに(ninja)と入っていますが、忍者的な要素は途中で、ジョン・リュウが手裏剣を二回ぐらい投げる程度で、
忍者自体は全く登場しません。
作品情報
1981年製作 香港・スペイン製作 アクション
監督・製作・脚本 ジョン・リュウ
出演 ジョン・リュウ、カサノバ・ウォン、ダニー・リー、ヨランダ・エッガー、ロジャー・パッシー
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