おすすめ度 ★★★★★☆☆☆☆☆
(天使行動)等でアクション女優に転身した美しきレディドラゴン、ムーン・リー主演、リュー・チャーフィー共演の女性特捜チーム(3人だけ)が活躍するバトルアクション作品!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、アクション女優ムーン・リーが主演し、リュー・チャーフィーが相手役を務めたノワール系のアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
アジアを牛耳る闇組織の幹部であるチェンは、組織を壊滅させる事ができる重要リストを持ってアメリカから帰国する。
その重要リストと犯罪の証人として証言台に立つ事を条件に、捜査当局と取引をする事になったチェンを、秘密特殊部隊ブルーエンジェルが護衛する事になるが、
組織は既にその事を察知し、刺客を送り込むのだった!?
(天使行動)のムーン・リー主演の女性捜査官が活躍するバトルアクション作品です。
ムーン・リーと言えば(チャンピオン鷹)や(霊幻道士)に出演していた時期は、完全にアイドル女優としての立ち位置でしたが、
その後(天使行動)(詳しくはこちら)や(天使行動2)(詳しくはこちら)、(天使行動3)でアクション開眼後は、
(群狼大戦)等の凄まじいアクションと可憐な外見との見栄えのギャップが人気となり、
瞬く間にアクション女優としての確固たる地位を築いていきました。
本作は、そんなレディドラゴン、ムーン・リーの覚醒絶頂期の作品ですので、アクションは勿論全開で、相手役のリュー・チャーフィーとのちょっとしたロマンスまでありつつ、
衣装もコロコロと変わり、挙句の果てに、ナイトクラブで歌手として歌とダンスを、まるまる一曲披露してしまう、
という、アイドル映画並みの露出度の作品となっています。
と言っても、もてはやされるようなアイドル映画ではなく、かなりハードなアクション全開のアイドル映画ですが、、、。
で、本作、原題の(殺手天使)から想像できますが、もろに(天使行動)の影響を受けて製作されている作品となっています。
物語は、3人の女性エージェント(ブルーエンジェルズ)が、香港マフィアを壊滅に追い込める事ができるリストを所持する重要参考人を保護する、という任務に就くところから始まります。
その特殊機関のリーダー的なキャラクターがムーン・リーで、黒社会組織が経営するナイトクラブに歌手として潜入していきます。
で、そのナイトクラブの用心棒兼殺し屋役で登場するのが、リュー・チャーフィーで、結構非道な殺しを重ねて、
経営者の一言で、用済みになったホステスを東南アジアに売り飛ばしてしまう、という役柄的には、かなりの外道ぶりなのですが、
そこは演じているのがリュー・チャーフィーですので、いつもの少林英雄的な涼しい表情で仕事をこなしています。
で、このリュー・チャーフィー、何故かムーン・リーにだけは面接に現れた時から非常に優しく、車で送ってくれたり、ピンチの時には加勢してくれたりします。
さらに何故か財布にムーン・リーの写真を大事そうに入れている、という過去の知り合いのような意味深な態度とアイテムを所持していますが、
この設定の秘密は、まさかの最後の最後まで明かされない、という、大事な設定を忘れてしまったのか、急遽路線変更したような、ある意味香港映画らしい設定となっています。
後半、この写真をムーン・リー本人が見る事になりますが、この前知り合ったばかりの人が、自分の写真を所持している事に対しては、何のリアクションもありませんでした。
というよりリアクションしそうなところで終幕となってしまいます、、、。
この状況、下手すると傑作サスペンスの予感さえして、気になってしょうがないのですが、描かれない、その写真の秘密が知りたいですね、、、。
というより、写真を所持している秘密もさることながら、新参者のナイトクラブの歌手を、それまで仲間としてやってきた仕事仲間全員を敵に回してまで、庇う理由は、
リュー・チャーフィーが演じているキャラクターにとっては、かなり重要な事柄ですので、流石にほのめかすぐらいは描いて欲しかったですね、、、。
で、その間、同時進行で、組織壊滅を可能にするリストを所持しているラウ・シュウクワンと、他のブルーエンジェルズメンバーが隠れ家で、香港映画らしい丁々発止を繰り広げるのですが、
途中参加の3人目のブルーエンジェルズ、ユエン・ホン演じるエイミーが、まさかの過去の持ち主で、このラウ・シュウクワンともう一人、闇組織の重要人物の二人組に、自分の息子を殺されている、
という偶然にも程がある事実が発覚し、慎重に進めていた闇組織の闇を暴く捜査は、怒りを爆発させたこのエイミーの暴走によって、
強引に闇組織のアジトに殴り込みをかける、という身もふたもないような展開に突入していきます。
ムーン・リーはナイトクラブに面接に行って、即興で歌と踊りの本気バージョンを披露し、合格をゲットし、
その後1曲まるまる披露までして、リュー・チャーフィーとの淡いロマンスまで展開していたのに、途中参加のメンバーによって、
急にクライマックスバトルに参加する事になります。
この辺の極端な展開も非常に香港映画らしいと言えばそうなのですが、ムーン・リーが出ずっぱりで活躍していたので、
そうせなら単独主演として最後まで物語を引っ張る展開の方がよかった気がするのですが、どうでしょうか。
ただ、そのブルーエンジェルズのメンバーとして、その後、お笑いのムードメーカー的なコメディエンヌとして大活躍していく事になるキングダム・ユンが登場して、
若かりし日の、まだそんなにお笑い開眼する前の姿でエージェントを好演し、まさかのちょっとしたカンフーアクションまで披露しています。
最近でも(王朝の陰謀 恐怖の人体事件と黒死病)(詳しくはこちら)等で、大活躍中ですので、本作のような、まだイメージが固まる前の映像は貴重ではないでしょうか。
他の出演者は、黒社会のボス役で、(ドラゴンアームズ)や(秘法睡拳)(詳しくはこちら)等のカンフースター、リョン・カーヤン、
そのリョン・カーヤンの娘役で、ムーン・リーに夢中のリュー・チャーフィーに嫉妬しまくった上に超絶アクションでムーン・リーにバトルを仕掛けてくる役柄で、
大島由加里、西脇美智子と並んで人気を博した高城富士美が悪のレディドラゴンを爽快に演じています。
本作の後に製作された(秃鹰档案)では再びムーン・リーと共演し、その後ドニー・イェン主演の(ドラゴンバーニング)にも出演しています。
残念ながら出演作品が日本で紹介されていない作品ばかりですので、日本での知名度は低いですが、その確かなキレのあるアクションは、確実に本作の見せ場となっています。
その他のキャストでは、まだトレードマークの口髭を完備する前の若々しい姿で登場する、チャウ・シンチー映画の常連で、最近では(妖魔大戦争シークレットマジック)(詳しくはこちら)等でも活躍しているン・マンタ、
リョン・カーヤン率いる闇組織のライバルとして登場する悪役専門シン・フイオン、
そして、前半に少しだけですが、ムーン・リー達に捜査を指示する検事役で、本作の監督でもあるリュー・チェンクー等、
その後の香港映画界の重要キャストが意外な形で登場する作品となっています。
という感じで、ストーリー的には若干難があるものの、ムーン・リー主演アクション作品としては十分に楽しめる作品となっていますので、
ムーン・リーファンの方や、香港アクション好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それと余談ではありますが、本作は、リュー・チャーフィー主演と見せかけてほとんど登場しないトンデモ系物語の(ドラゴンアームズ)と同時撮影か連続撮影された作品のようで、
製作会社は同じで、武術指導は両作共に(龍拳)等にも出演しているチョイ・ファ、
監督も同じリュー・チェンクー(但しドラゴンアームズは本国のデータベースでは監督がユン・チウになっています)、
製作は同じジョセフ・クオ(これも権利を獲得しただけのような感じかもしれませんが)、
出演者も、リュー・チャーフィー、リョン・カーヤン、ラウ・シウクワン、キングダム・ユンとかなり重なっていたりします。
で、香港での公開も(ドラゴンアームズ)が1989年の4月7日から13日までの公開で、(キラーエンジェル)が14日から19日まで、
という感じで連続で公開されていて、
内容的には(キラーエンジェル)の完成度は高く、ムーン・リーをさらにアクション女優として売り出すためにリュー・チャーフィー以下実力派を揃えた、という印象があり、
逆に(ドラゴンアームズ)は前半で登場さえしていなかった3人組が、後半出ずっぱりの主演になる、というニコイチ映画のような継ぎはぎ感満載の作品ですので、
(キラーエンジェル)をメインで製作して、その余力で(ドラゴンアームズ)を急遽製作した、と考えると、(ドラゴンアームズ)の無茶苦茶ぶりが、なんとなく紐解けそうな気がしてきます。
勝手な邪推ではありますが、ウォン・カーワイ監督の(楽園の瑕)の撮影がなかなか進まないので、同じキャストで急遽撮影した別作品(大英雄)が大ヒットする当時の香港映画事情を考えると、
あながち見当外れでもないのかもしれません、、。
作品情報
1988年製作 香港製作 アクション
監督 リュー・チェンクー
出演 ムーン・リー、リュー・チャーフィー、リョン・カーヤン、高城富士美、ユエン・ホン、ン・マンタ、シン・フイオン、キングダム・ユン、リュー・チェンクー
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