おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
悪名高きフィルマーク社のニコイチ映画の代表作ながらも、奇天烈なヒーローキョンシーマンとキョンシーのバトルはそれなりに見物なキョンシーVSヒーローなアクション作品!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、別々の2本の作品を強引に1本に編集する事で有名なフィルマーク社の作品です。
それでは、まずはあらすじから、
暗黒街の影の帝王として君臨するメアリーは、過去に自身の裏切りによって投獄されている元夫の存在に脅威を感じていた。
元夫の出所の日がいよいよ迫ったとき、メアリーは元夫の復讐を恐れて、部下に命じて暗殺者を雇った。
その暗殺者はキョンシーを操る道士で、怪しい呪術によってキョンシーを狂暴化させて暗殺を狙っていたが、
そこへキョンシー退治の専門家、キョンシーマンが颯爽と現れ、悪道士に戦いを挑むのだった!?
既に公開済み作品の権利を格安で買い取り、激安で撮影した忍者アクションシーンなどをちょこっと加えて、
一つの別作品として販売してしまうという、ニコイチ商法で有名なフィルマーク社作品です。
今回は忍者がメインではなく(少しだけ忍者軍団も登場しますが)、当時のもう一つの流行(忍者がブームだったのかどうかは、ちょっと疑問ですが)であったキョンシー作品を融合させる、
というまたトンデモな内容の作品となっています。
で、権利を買い取った方の作品は、台湾製のノワールもので、レディクンフー、アンジェラ・マオや、レディニンジャ、ヤン・ホイサンなどが出演しているしっかりとしたアクション作品となっています。
その暗黒街の女ボスとかつての夫との戦い、という大人の雰囲気漂う物語に、まさかのキョンシーと少しのニンジャ要素、さらにヒーローアクションを加える、
という無茶苦茶な内容となっています。
一応、大筋(筋と言って良いかもまた疑問ですが)はこの争う二つの勢力のうち、女ボス側の手下に道士(呪いをかけられて操られている、というこれまた凄い設定ですが)がいて、
その道士が女ボスの元夫を殺害するために、キョンシー隊を悪用して刺客として送る、という流れになります。
ここまでならまだなんとなく分かりますが、ここに正義のヒーロー(多分)キョンシーマン(英語音声ではシャドーマンと発音していますので、キョンシーマンという名前はメーカーが命名したようです)が、
登場して物語をややこしくしていきます。
一応、主役ですが、、。
このキョンシーマンが元夫に雇われている、という設定ならまだ話は通じるのですが、どうもこのキョンシーマン、
特に誰かに雇われている等の何らかの理由があってキョンシーと戦っているのでは無さそう(説明がありませんので)で、
そこにキョンシーがいるから戦っている、という登場の仕方をします。
で、結構な時間をかけてバトルを展開していき、後半には邦題にあるようにムーンウォーク拳まで本当に披露します。
そかも、このキョンシーマン、人間の姿から銀色の洋服とヘルメットに着替えるのですが、この姿になっても特に特殊能力なども無いようで、
変身後もただただ殴り合いの格闘をするだけなので、結構ピンチになります。
ムーンウォーク拳も繰り出しますが、それは一瞬のことで、基本的にはロボットダンスです。
ですので、正しくはロボットダンス拳、もしくはロボット拳という感じなのですが、それでもそういうリズムに乗って敵キョンシーの攻撃をかわしている、
というだけですので、ほとんど攻撃には活かせていません。
ですので、やっぱり、手作り衣装で軽快に戦っているお兄さん、にしか見えない激安ヒーローとなっています。
というか、戦っているだけなのでヒーローでもないような、、、
中盤、この激安ヒーローが、子供キョンシー(と思ったら人間の子供が化けていた?)とその仲間たちのようなわんぱく達が登場して、
なんとなく忍者キョンシーから助けたような、ただ単に説教をしただけのようなヒーローものっぽい謎のシーンが存在しますが、
勿論、そんな子供たちはその場限りで、その後物語には一切関係ありませんので、もしかするとキョンシーマンのヒーロー像を見せるためにそのシーンを挿入したのかもしれません。
ただ、やっぱり唐突で前後の物語と整合性がありませんので、何のことやらさっぱり分からないシーンとなっています。
それを言い出すと、作品全体がさっぱり分からないのですが、、、。
で、なんだかんだとしているうちに操られていた敵の道士と、キョンシーマン側の正義の道士とのちょっとした呪術合戦の果てに新撮影パートは、なんとなく勝利しています。
そんな激安ヒーローとキョンシーが熱いバトルを展開しているうちに、本編の方では、まさかの女ボスがいつのまにか死んでいる、
という時短展開となり、最終的になんとなくの男泣き展開で終了する、というフィルマーク社作品のいつもの、ある意味安定の訳の分からない終幕を迎えます。
ただ、結構なフィルマーク社作品に共通して言えることですが、アクションに関しては非常にハイレベルで、
他のちゃんとした香港カンフー映画と同じぐらいにキレのあるアクションの連続となっていて、本作でもキョンシーマンに扮する(バカ拳)(詳しくはこちら)等のカンフースター、
スン・コクミンのキレのあるアクションが楽しめます。
キョンシーマンのヘルメットを被ってからもなんとなくチラ見えする顎のラインがスン・コクミンのような気がするのですが、
他の人でも十分成り立つ扮装ですので、実際どこまでスン・コクミンが演じているのかは判別できませんでした。
個人的にはスン・コクミンのアクションを堪能した、と思いたいですが、、。
という事で、継ぎはぎ映画ですので、物語を把握するのに観ている側の歩み寄りが物凄く必要な作品となっていますが、
激安ヒーローが繰り出す超絶アクション、というアンバランスさが、なんとなく癖になる作品ではありますので、
ご興味のある方は機会がありましたら、ご鑑賞ください。
作品情報
1988年製作 香港製作 キョンシーヒーローアクション
監督 ジョー・リビング・ストーン 製作 トーマス・タン
出演 スン・コクミン、スン・ユエ、アンジェラ・マオ、リッキー・チェン、マーク・ロン
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