おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
香港・日本合作大作の続編ながらも、日本側出演者は交代、ユン・ピョウは、前半と後半のみの登場とアクション色よりも、主役に昇格したグロリア・イップの大冒険を描いたアイドル映画!!
作品紹介
1990年2月3日公開
今回ご紹介する作品は、香港・日本合作映画(孔雀王)のシリーズ第二弾です。
それではまずはあらすじから、
地獄門の戦いを生き延びた魔界の少女阿修羅は、裏高野の高僧滋空の温情によって、人間界で7日間だけ、普通の人間の少女として生活できる許可を得た。
早速孔雀と吉祥果と共に魔界の友人餓鬼を訪ねた阿修羅だったが、阿修羅の魔力を狙う魔族の鬼妃の襲撃を受けて餓鬼が魔界に吸い込まれてしまう。
そして、餓鬼を救うため孔雀は魔界へと降り立つのだった!?
香港・日本合作特による特撮アクション(孔雀王)(詳しくはこちら)シリーズの第二弾です。
本作日本でVHS化された際には【香港公開版】と【日本公開版】がリリースされましたが、基本的には前作と同じように、
香港公開版は孔雀役をユン・ピョウが、阿部寛が吉祥果(ザクロの意味、魔除け)役を演じていて、日本版と主人公が入れ替わっています。
因みにユン・ピョウの一作目の役名コンチェは、孔雀の広東語読みをカタカナにしただけですので、実はユン・ピョウの役名は香港側から観ると全てのバージョンで変更は無かったりします。
日本側のみ主役が入れ替わっているような工夫がしてある、という感じでしょうか。
ただ、基本的には内容はほぼ同じで、冒頭で孔雀が裏高野から慈空に、阿修羅を探すように言われるシーンと、
中盤の阿修羅がビクトリアピークに遊びに行って倒れるシーン、
そして、ラストバトルで、三輪尼が傷つき、自分達の命のパワーのような光の珠を阿修羅に託して絶命するシーンの合計3か所、4分間のシーンが日本版のみにあって、
香港版では何故かカットされています。
無くても大筋には影響しないようなシーンではありますが、三輪尼のシーンは、阿修羅のラストバトル参加への原動力の一つになっていますので、残念な編集になっています。
という事で、役名が変更されて、広東語に吹き替えられている事と、エンディングで、日本版にはグロリア・イップが歌う主題歌が収録されている事以外はほぼ同じ内容となっています。
監督は前作に続き(妖獣大戦)(詳しくはこちら)や(力王)等の原作ものをグロと特撮で実写映画化しているラン・ナイチョイで、
本作もアイドル路線の割にグロと特撮、さらにどういうわけかちょっとしたセクシー路線も満載で、娯楽色の強い世界観を描いています。
で、もう一人、共同監督としてチョウ・シンチー主演の(ゴーストハッスル)(詳しくはこちら)や、リュー・チャーフィー主演の(醉拳立志伝)(詳しくはこちら)等のラウ・シーユーが参加し、
アイドル映画と特撮アクションのバランスを取っていきます。
で、前作の大ヒットを受けて主役に昇格した少女阿修羅を演じているのは、前作と同じく(ミスティー)(詳しくはこちら)や、
(チェイス・フロム・ビヨンド)(詳しくはこちら)等のグロリア・イップで、少女漫画の主人公のようなアイドルチックな主人公を好演しています。
で、前作と同じく阿修羅を守るチベット密教僧で、日本版ではコンチェ、香港版では孔雀役と入れ替わる役柄でユン・ピョウが登場し、華麗なアクションを披露しています。
恐らく、本作前作のヒットで、グロリア・イップのアイドル的な人気を狙って急遽製作されているようですので、
ユン・ピョウ完全主演作(タイムソルジャーズ愛は時空を越えて)等と撮影が重なったのか、かなり強引な手法で前半と後半のみの出演となっています。
で、前作の三上博史に変わって、日本版では孔雀役、香港版では吉祥果役と入れ替わる役柄を演じているのは阿部寛で、グロリア・イップのサポート役を好演しています。
その後も(東京攻略)や(空海 美しき王妃の謎)、(夕霧花園)と度々、中国や香港との合作作品に出演しています。
で、中盤、阿修羅と知り合い、仲の良いお姉さんのようになる役柄で、前年には(霊幻道士 完結編 最後の霊戦)、
本作と同年にはマイケル・ホイ主演の(ミスターココナッツ)等に出演していた時期のロレッタ・リーが登場し、
奔放なグロリア・イップを引っ張ていく、もう一人のヒロインを好演しています。
で、ロレッタ・リーの兄で、発明家でもある役柄で、チョウ・ユンファの(大丈夫日記)やトニー・レオン主演の(ワイルドブリット)等に出演しているローレンス・ラウが登場し、
実は天才科学者ながらも、ズッコケ要員的な位置で、物語を引っかき回していきます。
で、阿修羅の命(精気)を狙う魔界の鬼妃役で、フィリップ・コー主演の(滾滾紅唇)や、衛星放送で放映された(ちびっこキョンシー危機一髪)等に出演しているナイ・シュが登場し、
前作のポーリン・ウォンのようなモンスターに変身する魔族を演じています。
で、日本からのスペシャルゲストとして前作の緒方拳から師匠慈空役を引き継いだ勝新太郎と、新たに登場した尼僧、天輪尼役で、名取裕子が登場し、物語の世界観を深めています。
さらに日本から阿修羅を見守り、クライマックスバトルにも参加する戦う尼僧役で、橘ゆかり、荒井乃利子、
そして日本の(ファイブマン)や(カクレンジャー)等の戦隊もので活躍した咲田めぐみ(成嶋涼)の3名が、戦う尼僧、三輪尼として登場し、
何故か上手い具合に、衣類が破れながら戦う、スリーレディドラゴンを好演しています。
そんな香港・日本混合スタッフ・キャストが製作した本作は、前作の戦いを生き延びた阿修羅が、人間界で生を受けるために慈空師匠にお願いするシーンから始まります。
で、慈空は、普通の僧侶のはずですが、本作では、神様っぽい役割に大昇格されていて、阿修羅を人間界で普通の人間の様に暮らすゴーサインを出します。
しかし、この人間への転生(といっても何も変わりませんが)は7日間のみで、8日目には命を失ってしまう、
という究極の選択で、それでも、人間として暮らしたい阿修羅は、喜んで7日だけの命を謳歌するために人間界に繰り出していきます。
で、その人間界での生活を見守るために、孔雀(ザクロ)とコンチェが監視役で寄り添う、、、、と思いきや、
阿修羅は魔界で暮らしていた時のお友達、戯鬼をお供として呼び寄せようとしますが、
阿修羅の精気を吸ってパワーを増強し、人間界を支配しようと目論んでいる魔族鬼妃によって妨害され、戯鬼が魔界に攫われそうになります。
で、その戯鬼を救うために、ユン・ピョウ(孔雀、コンチェ)が魔界に乗り込んで、鬼妃と戦いを繰り広げ、
石のような状態にされた戯鬼を人間界になんとか戻しますが、、、、、、
自身は、鬼妃の術で氷の(ようなもの)中に固められてしまいます、、、。
で、その後、クライマックスバトルまで、ユン・ピョウは凍ったままで登場しなくなってしまいます。
本来は主役のはすですが、完全に物語から一時リタイヤです、、。
で、石にされて人間界に戻って来た戯鬼は、ネパールの道端に転がっていたところを、一人女子旅中のロレッタ・リーに拾われ、そのまま香港に持って帰られます。
で、戯鬼の気配を感じた阿修羅は、ロレッタ・リーを追いそのまま、香港へと到着する、という流れで、
メインであるグロリア・イップとロレッタ・リー、そしてロレッタの兄役のローレンス・ラウ、阿修羅の付き添いザクロ(孔雀)による、楽しい生活が始まるります。
ユン・ピョウ演じる主人公の事は、誰も気にせずに!!
で、人間として暮らす阿修羅グロリアと、案内役兼お姉さん的な役割のロレッタのハッピーな数日と、兄と戯鬼のズッコケ対決、
そして何か問題が起きた時の解決役としてザクロ(孔雀)が登場する、というほんわかムードのアイドル映画路線の物語が暫く続きます。
その間、なんとなくロレッタとザクロのほんのりロマンスも描かれ(ロレッタの誕生日に僧侶ザクロがハート型のケーキをプレゼントする、という師匠が苦笑いしそうな描写あり)、
阿修羅の監視役として実は見守っていた三輪尼も登場し、途中魔族の下っ端を蹴散らす、というちょっとしたアクションシーンで、
わざわざ来ている服がはだけて、セクシー尼僧レディドラゴン三人衆となったり、ロレッタとグロリアがプールでの遊泳にザクロを誘って、
しどろもどろで困っているところをプールに放り込んでみたり、と緊張感が結構長い間無くなってしまいます。
で、そろそろ、という感じで、いよいよ鬼妃が戯鬼を操って、寝ている阿修羅の精気を吸わせて、その精気を間接的に吸う、
という、そういう方法があったのなら、最初に使っていれば、もうとっくの昔に人間界を支配できていそうな方法で、阿修羅の精気を吸い取り始めます。
ただ、一度に多くは吸えないようで、吸い始めて2回目で早速バレます。
で、親友に裏切られた阿修羅は、大きな悲しみに暮れますが、それでも一生の親友のために自分の少ない力を使って戯鬼に掛けられた術を解いて、戯鬼を正気に戻します。
で、正気に戻った戯鬼は、魔界にユン・ピョウ(孔雀、コンチェ)が囚われたままになっている事を告げて、救出をお願いします。
今さらっ!!
で、主役の事をすかり忘れていた阿修羅は魔界に戻り、ザクロと三輪尼は、ロレッタ兄が発明した
時空転送装置を使って魔界へと乗り込んでいきます。
よくわからない装置ですが、、、
帰ってこれるんでしょうか、、、?魔界ですけど、、。
で、思い出してもらって、あっさり復活したユン・ピョウ(孔雀、コンチェ)とザクロ、そして阿修羅、
助っ人でついてきたセクシー三人衆とモンスター化した鬼妃とのバトルがクライマックスとなっていきます。
前作と比べると、ユン・ピョウの出番が前半と後半に集中しているので、格闘アクションは減ってしまいましたが、
後半の巨大なモンスターや着ぐるみ系のモンスター等、特撮に関しては前作と同様に存在していますいので、
本作ではほんわかアイドル路線と特撮の融合、といった感じで、阿修羅もハート型のビームのような術を使用したりしますので、
ホラー色も薄まり、より低年齢層に向けた内容となっている、、、、はずですが、何故かそこにセクシー路線を加えてしまう、
というのが、やはり香港で、この辺は恐らく時代性というよりも、文化の違いではないでしょうか。
三輪尼のキャスティングから判断すると、あきらかにグラビア等でも活動経験のある3人がキャスティングされているので、
セクシーさを強調できる意味でもキャスティングされていると思われます。
という事で、前作の正統続編ではありますが、残念ながらアイドル路線に変更した事で、前作と同じような面白味が薄まってしまっていますが、
アイドル特撮映画、として鑑賞すると、また違った楽しみ方ができる作品となっていますので、香港映画好きの方や、特撮映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1989年製作 香港・日本製作 特撮アクション
監督 ラン・ナイチョイ、ラウ・シーユー 製作 チャイ・ラン 武術指導 ユエン・ブン
出演 グロリア・イップ、阿部寛、ロレッタ・リー、ユン・ピョウ、ローレンス・ラウ、ナイ・シュ、勝新太郎、名取裕子、橘ゆかり、咲田めぐみ(成嶋涼)、荒井乃梨子
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