おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
偽ブルース・リーが登場するトンデモ映画ながらも、ウォン・チェンリー、ヤン・スエ、カサノバ・ウォン、ハロルド坂田と意外に豪華なキャスティングが楽しめる闘神には似ても似つかないブルース・リ監督・製作・脚本・武術指導・主演の超ワンマン映画!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、偽ブルース・リーことブルース・リが監督・製作・脚本・武術指導・主演とワンマンの限りを尽くすアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
マフィアの一員として働いていたブルースは、服役した事をきっかけに組織とは距離を置くようになった。
しかし、組織はそんなブルースを許すはずもなく、かつての相棒だったホァンを刺客として差し向けるのだった。
激闘の末、父親を殺されたブルースの怒りが爆発する!?
全然似ていないブルース・リーそっくりさん映画でお馴染みのブルース・リが自身の製作会社ドラゴンフィルムズ呂小龍(香港)影業公司で、
監督、製作、脚本、武術指導、主演とワンマンぶりを発揮したアクション作品です。
このドラゴンフィルムズでは、他にも同じくブルース・リが監督・主演し、フィルマーク社の忍者映画でお馴染み、リチャード・ハリスンと共演した(滅絶七七)や、
偽ブルースと偽ジャッキー、キムタイチュンが共演する偽者映画の極みである(雙輩)等を製作しています。
さらに、ブルース・リは偽物ブーム終了後も、1990年代には、(チャイニーズゴーストストーリー)的な古装片で、シベール・フーが主演する(狐仙)等を監督、出演しています。
さらに2018年には(大酔侠)のチャン・ペイペイ主演による(黎明之眼)等も監督、出演していますので、長きに渡って活躍しています。
そんな、ブルース・リが製作した本作は、物語的には、割とシンプルで、
ヨーロッパを舞台に、暗黒街の手先から足を洗った偽ブルースが、かつてのボスによる抹殺命令によって、
元相棒に命を狙われ、家族や恋人にも危害が及び、反撃を開始する、という感じのオーソドックスな物語となっています。
ただ、自身の製作会社での製作作品という事で、ワンマンぶりが物凄く、一応の大筋に沿って、物語は展開するものの、
とにかく理由も無く偽ブルースはモテまくり、さらに特に物語には関係なくセクシーシーンもやたらと挿入されまくる、
という感じで、セクシーシーンのあまりのしつこさに、途中何の映画を観ているのか分からなくなってしまうぐらいに横道にそれまくる流れとなっています。
しかも、中盤で展開する長めのセクシーシーン(まさかの連続6分半!)では、セクシーパターンが尽きたのか、
女性同士が演じているセクシーシーンで、途中からスッとゴツいヤン・スエが、そのシーンに何食わぬ顔で乱入し、
調子に乗っていたところを、いきなりハロルド坂田に首根っこを掴まれて
『女に手を出すな』
と怒られるという阿保みたいな トンデモシーンまで登場します。
さらに、偽ブルース本人が演じるアクションシーンの大半で、街中でも上半身裸になって筋肉を自慢しまくる、という俺様ぶりも発揮して、
やりたい放題で作品世界を、ある意味盛り上げていきます。
そんなトンデモ俺様ぶりが目立つ本作ですが、内容自体の低俗感とは裏腹に、
しっかりと予算の懸けられたカンフーアクション作品でも実現できないような豪華なキャスティングが実現しています。
まずは、冒頭は暗黒組織の相棒役で登場しながらも、偽者が出所し、犯罪組織から足を洗ってからは、180度立場が変わって、
偽者を追いかけて、命を付け狙う、という最大のライバルとなる強敵役をウォン・チェンリーが演じて作品を盛り上げています。
で、同じく、マフィア側の手先として、誘拐した娘たちを監禁して薬漬けにする、という悪逆の限りを尽くす悪党日本人役に、
(燃えよドラゴン)等で有名なボロ・ヤンことヤン・スエと、(007ゴールドフィンガー)で人気が沸騰した元プロレスラー、ハロルド坂田がコンビを組んで、
偽者とのアクションを盛り上げていきます。
そして、中盤で急に登場してお助けマン的にアクションを盛り上げていき、なんとなく離脱していく親友役に、
(燃えよデブゴン10友情拳)等のカサノバ・ウォンが扮し、全く深みのない役柄ならがも、豪快なアクションを披露してアクションの見せ場に彩を加えていきます。
さらに、後半に、こちらも何故か唐突に登場する先生役(何の先生か分かりませんし、船上生活を送っている以外には何も説明がないので、何者なのかは全く分かりませんが、
パチブルースの接し方で判断するに、それなりの仲間[と一方的にパチブルースが思っているだけのような描写も少しありますが、、]のようです)で、
(スネーキーモンキー蛇拳)や、(カンフーハッスル)(詳しくはこちら)等で有名なチウ・チーリンが登場し、
何故か、さらに唐突に登場する忍者軍団とバトルを展開したあげくに、トンデモない様子で退場していきます。
という感じで、アクション面では、凄まじいアクションスター達が結集していますので、非常に見栄えがして楽しめる作品となっています。
このアクションの(主にキャスティングの)豪華さによって、横道にそれまくる本筋のダレ具合が要所で引き締まり、
また、忍者などの荒唐無稽要素、さらに、香港や、ヨーロッパ各地での豪華なロケ撮影(でもゲリラ撮影、しかもローマコロッセオでもゲリラ!)によって、
無茶苦茶な内容なのに、不思議と飽きずに鑑賞し続ける事ができる娯楽作品となっています。
飽きるとすれば、途中繰り返される長めのセクシーシーンぐらいでしょうか。
そういうシーンはアクセントとして挿入されるから効果的なのであって、始まる度に数分間連続で見せられてしまうと、流石に飽きてしまいます。
ただ、途中からヤン・スエが登場するシーンは、意外性があって意外に楽しめますが、、、。
あと、もう一つあえて挙げるとするなら、ゲリラで撮影されたラストバトルのコロッセオのシーンで、ウォン・チェンリーとぱちもんが、
お互いの存在を認識して、相手の場所に向かい拳を交える、、、、、
までにかかる所要時間6分!!!
でも、その後のラストバトル全体の主要時間は7分間!!!
という極端な構成のラストバトルがなんとなく消化不良感を残してしまいます。
ゲリラ撮影なので、おそらく盗撮のようにコソコソとちょこちょこと歩きシーンを撮り足していって、色んな角度からお互いの場所に向かっているシーンを撮影したのだとは思いますが、
その満足感と本家の(ドラゴンへの道)でも成しえなかったコロッセオでの格闘シーンをカメラに収める事ができた自慢が重なり、
結果として、手間のかかるラストバトル自体が7分間に対して、そこに行きつくまでの徒歩シーンが6分間という、
クライマックスとしてはなんとも尻つぼみな激闘となっています。
という事で、物語的には特に面白みを感じる部分は少ないですが、アクションや、努力したとみられるロケーション撮影は十分楽しめる偽者映画となっていますので、
アクション映画好きの方や、変わった映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それと、本作パッケージや、本編のキャストにもチック・ノリス(CHICK・NORRIS)という嘘みたいなな名前の人がキャスティングされているようになっていますが、
どうもそんな人は存在せず、本作で登場する女刑事役のゴツい女優さん(コーリス・ランドール)の役名がチック・ノリス(しかも相棒はパチーノ警部)という名前のようで、
本来、コーリス・ランドールと表記しなければならないところを、間違ってチック・ノリスと表記してしまったようです。
いい加減ですね、、、
というか、チック・ノリスて、、、、。
作品情報
1982年製作 香港製作 カンフーアクション
監督・製作・脚本・武術指導 ブルース・リ 監督・脚本 ジョセフ・コン
出演 ブルース・リ、ウォン・チェンリー、ヤン・スエ、ハロルド坂田、カサノバ・ウォン、チウ・チーリン、コーリス・ランドール、ディック・ランドール
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