おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆
チャン・イーモウが主演、コン・リーが共演、監督と武術指導をチン・シュウトンが担当し、特殊効果をツイ・ハークが担当した(チャイニーズゴーストストーリー)のような切ないラブストーリーを軸にした時空を越えるアクションアドベンチャー!!
作品紹介
1991年6月1日公開
今回ご紹介するのは、チン・シュウトン監督がチャン・イーモウとコン・リーを主演に迎え製作した、時空を越えたラブアクションを展開するSFアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
命を救った事で秦の始皇帝の側近へと抜擢された蒙天放は、宮中の使女月児と許されぬ恋に落ち、兵馬俑として生き埋めにされてしまう。
しかし、刑が執行される直前、月児によって飲まされた不老長寿の薬によって永遠の生命が与えられるのだった。
時代が変わって1930年代、月児の生まれ変わりである女優チューが、飛行機事故がきっかけで、王の墓に不時着する。
しかし、その事故をきっかけに、蒙天放が3000年の眠りから復活し、チューを危機から救うのだった!?
(チャイニーズゴーストストーリー)シリーズの大ヒットで絶好調だった時期のチン・シュウトン監督が、
特技監修にツイ・ハークを招き、主演に巨匠監督チャン・イーモウとコン・リーコンビを招いて製作した時空を越えたラブファンタジー作品です。
さらに音楽も(チャイニーズゴーストストーリー)のジェームズ・ウォンが担当していますので、まさに(チャイニーズゴーストストーリー)再び、
という雰囲気に満ちた武侠ロマンとなっています。
さらに、劇中効果的に流れる印象的な主題歌《焚心以火》を、サリー・イップが歌い、第10回香港電影金像獎の主題歌賞にノミネートされました。
物語は、秦の時代、暴君として知られる始皇帝の命を救った事で、皇帝直属の部下へと出世した(本人はそんなに望んでいませんが)主人公、蒙天放が、
その職務中に知り合った宮中の女性、冬兒と許されぬ恋に落ちてしまい、二人は処刑される事になるが、
研究中の不老長寿の薬を飲んだ蒙天放は、生き埋めにされたまま1930年代に復活し、生まれ変わりの冬兒と思われる女優、朱莉莉と再び出会う、
という感じで、ラストでは1990年代までエピローグとして描かれますので、コン・リーは一人3役を演じ、
チャン・イーモウの方も、時代ごとにその時代に順応したようなキャラクターになっていますので、ほとんど3役を演じているような描かれ方の作品となっています。
そんな3つの時代の二人ですが、まずは秦の時代のチャン・イーモウは、温情に熱く、
職務には忠実で、皇帝には忠誠を尽くしているという実に皇帝の側近に相応しいキャラクターとして登場します。
そんなイーモウが、許されないと分かっていながらも、運命的に出会ってしまった宮中の女性コン・リーと恋に落ちてしまう、
という所から、二人の悲恋は始まります。
イーモウは、真面目な性格のため、その許されぬ恋という謀反に対して、一切逃げる事なく、堂々と死罪を受け入れます。
コン・リーの方も、お得意の幸薄系のヒロインとして、一切逃げる事なく、愛する人との死罪を受け入れます。
と、ここまでは良くある武侠悲恋物語なのですが、ここからが(チャイニーズゴーストストーリー)をヒットさせたチン・シュウトンの真骨頂で、
この二人が処刑される直前に、皇帝が研究を進めていた不老長寿の薬が人知れず完成する、という娯楽要素を加えていきます。
で、その薬を一人分、なんとかゲットしたコン・リーは、処刑直前に愛するイーモウに口移しで、その薬を服用させます。
で、コン・リーの方は、その後残念ながら火あぶりの刑に処せられ、イーモウの方は、薬を服用し、生きたまま粘土で固められ、
兵馬俑として、永遠に皇帝の墓を守る役目を与えられる、つまりは生き埋めにされてしまいます。
という悲恋物語が前半の40分ほどで語られ、そこから1930年代へと時間が経過します。
で、その時代では、コン・リーは、人気のスターであるユー・ロングァンになんとか気に入られたい、割と利己主義な売れない女優、
という前半の幸薄系とは180度違うキャラクターとして登場します。
話し方も服装も化粧も、まるで違うイメージで、元気な香港映画のズッコケヒロイン、といった感じで、
壮大な中国の風景と膨大な数のエキストラを使用した中国映画っぽいイメージの前半とごちゃごちゃと楽しいテンポの速いまさに香港映画な中盤以降と、
色んな意味で、対照的な描き分けがされています。
しかも、この時代で描かれるのは、悲恋というよりも、世紀を越えて蘇った兵士のカルチャーギャップコメディがメインで、
さらに真面目さゆえに巻き起こる騒動なども加味して、非常に娯楽要素の高い展開へと突入していきます。
そのコメディ展開に、ユーロン・グアン演じるスターが、実は盗掘団のボスだったという、娯楽要素を加えて、
分かりやすく悪党と正義の戦士の戦いへと突入していきます。
最終的には、チン・シュウトン作品で、しかも悪役が動けるユーロン・グアンですので、アクション対決へと雪崩れ込んでいくのですが、
やはり、チン・シュウトンが自ら武術指導を行っている作品、という事だけあって、チャン・イーモウが演じているのに、
しっかりと一流の武術家に見えるような素晴らしいアクションとなっています。
それぞれのアクションが短めなのは少し残念ではありますが、それでもバランス良く要所で、アクションが挿入されますので、
バトル要素でも見所の多い作品となっています。
終幕も、香港映画にありがちな、物語が終われば、ぶつ切りのようにパタッと終わる、という余韻も何も感じる事が出来ないような終わり方ではなく、
全ての物語が終わった後の1990年代(製作当時の現在)での、希望を感じさせるエピソードも、非常に後味が良く、
心に染み入るようなエンディングとなっています。
という事で、壮大な中国映画の様相もありながら、香港映画特有の娯楽要素を楽しみ、そしてじんわりと良い余韻の残る作品となっていますので、
香港映画好きの方や、アジア映画好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
因みに、好評だったようで、2011年に中国で、テレビドラマシリーズとしてリメイクされています。
作品情報
1989年製作 香港製作 SFアクション
監督・武術指導 チン・シュウトン 特殊効果 ツイ・ハーク 主題歌 サリー・イップ
出演 チャン・イーモウ、コン・リー、ユーロン・グアン、ウー・ティエンミン
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