おすすめ度 ★☆☆☆☆☆☆☆☆☆
お馴染みニコイチ映画で有名なフィルマーク社によるフィリップ・コー、チャーリー・チャン出演の旧作香港映画に、新規撮影の忍者パートを加えたニコイチ忍者アクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、フィルマーク社のニコイチ忍者作品です。
それでは、まずはあらすじから、
香港にある忍者養成所に希望を抱いて、若者たちが集まった。
しかし、その訓練は、あまりに非人道的で、命を軽視するような訓練だった。
現実を見た若者達は、深夜に養成所を脱出するが、多くの若者の命は忍者たちによって失われ、なんとか逃げ延びた者たちにも、
忍者組織が取り仕切る黒社会組織の追手が迫るのだった!?
1982年に香港で公開された(獸性地獄女)という物凄いタイトルの香港作品の権利を買い取り、その映像に新規撮影の忍者パートを加えて新たな1本の作品として公開された、
悪名高きフィルマーク社製作のニコイチ忍者アクション作品です。
オリジナルの方の内容は、(九龍の獅子)のような越境者の物語で、決死の覚悟で不法入国してきた若者の集団が、
その越境者を利用するビジネス等を行っている悪党に囲われて、結局強盗になってしまう者、なんとか逃げ延びてホステスになり、
そこで成りあがる者、そして脱落する者、といった感じで、それぞれのその後が、結構なアクションを交えながら描かれています。
で、逃げた者を捕らえようとする組織のボスと、越境者のリーダー格が激突する、という割としっかりとした内容の作品となっています。
物凄いタイトルですが、越境時に国境警備隊にどう猛な犬をけしかけられた主人公が、犬を見ただけで異常に怯えるようなトラウマを抱え、
最終的にフィリップ・コーに仲間の命を奪われた時点で、精神的なショックが重なって、自身もどう猛な犬のようになり、
フィリップ・コーに噛みついて肉を剥いでいって絶命させる、という凄まじい描写(といっても時代相応ですが)があり、そこでタイトルの意味が分かるようになっています。
ただ、この描写、フィルマークが改編するにあたって、グロいシーンを数カット減らす、というまさかの配慮がありますので、
改編バージョンは、結構マイルドになっています。
オリジナルの方の監督は、サイモン・リー主演のカンフー映画(猛男痴女)等を監督しているパトリック・コンで、
アクションとドラマをバランス良く融合させています。
で、オリジナルの方の主演は、チェン・カンタイ等も出演しているショウ・ブラザーズ作品(千門八将)や、
アレックス・マン主演の(鬼域)等のリリー・チャンで、後半にかけて獣性を目覚めさせていきます。
で、一緒に越境してくる男性役を演じているのは(ドラゴンカンフー水晶拳)(詳しくはこちら)や(プロジェクトD)(詳しくはこちら)等のカンフー作品でお馴染みの
スン・カムロイで、確かなアクションで、アクション面を盛り上げていきます。
で、越境者を利用する組織のボス役で、(激突!キング・オブ・カンフー)(詳しくはこちら)や、(ツーフィンガー鷹)(詳しくはこちら)等の高速カンフー、
フィリップ・コーが登場しユニークな一面も見せるボスを好演しています。
で、さらにその組織の構成員役で、(特撮・異星人大騒動)(詳しくはこちら)や(追龍)(詳しくはこちら)等のチャーリー・チャンが登場し、
闇組織感を醸し出し、アクションでも活躍しています。
さらに、女性越境者を助ける組織員役で、(迷拳三十六招)(詳しくはこちら)や、(醉馬拳クレージーホース)(詳しくはこちら)等のハン・クォチョイが登場し、
いつものように酷い目に合っていきます。
という豪華キャストで製作した越境ものを忍者作品に改変した監督は、ラリー・ハットン名義になっていますが、
これは、フィルマーク社お馴染みのゴッド・フリーホーの別名で、製作者も(ギャンブルキョンシー霊幻襲撃)(詳しくはこちら)や
リュー・チャーフィー作品(少林寺の復讐)(詳しくはこちら)等のトーマス・タン、というお馴染みのメンバーで改編作業を行っています。
で、新規撮影パートには、珍しくリチャード・ハリソン等の忍者パートだけ出ずっぱりのスターはほぼ登場せず、
ほぼ1シーンのみだけの白人キャストが少しだけ登場はしますが、基本的に素顔を晒さずに、迷彩忍者服に身を包んでいますので、なんとなくあいまいなキャスティングとなっています。
そのキャストも、恐ろしく魂が抜けた人のような演技をひろうしていますので、スタッフの知り合い等ではないでしょうか、、、。
で、そんなニコイチ映画としての物語は、越境者設定は完全に無視で、忍者養成所にやって来た若者達が希望に胸を膨らませて忍者の講習を受けるシーンから始まります。
で、いきなりの講習で連続バック転を強要され、出来ない者は、殴るけるの暴行を受ける、という無茶苦茶ぶりに、
速攻で脱出を決めた若者達は、夜中に施設を脱出し、その際に多くの仲間の命が奪われてしまいます。
で、忍者組織の部下であるフィリップ・コーは、チャーリー・チャンと共に逃げた若者達を追い詰めていく、
というのがニコイチバージョンの大筋となっています。
今回は、忍者スターも登場しないという事で、忍者シーンはありますが、ドラマを引っ張る部分はほとんど無く、
フィリプ・コーに命じた後は、それほど忍者は活躍せずに、オリジナルパートが終了すると同時に展開されるいつもの忍者クライマックスが、忍者シーンのほぼ唯一の見せ場となっています。
で、この忍者クライマックスも、主人公となるはずの正義忍者が存在しませんので、逃げる悪党忍者に対して、
そのシーンで初登場の謎の白忍者が、まるで今までずっと主人公だったかのように急に姿を現し、
『お前を2年間追っていた、死ね!!』
という最小限の説明で、激闘(メタボ迷彩忍者は、アクションもメタボなままなのでスタントマンがそのまま本編のメタボも演じている可能性が高いです)を演じます。
で、最終的に今出てきたばかりの人物が勝利して物語を締めくくって去って行き、いつもの赤バックに白文字の【THE END】で終幕となる、という、いつも以上に極端な内容となっています。
あと、中盤で、謎の偽ブルース・リーが2回も登場して悪党とそれなりの格闘シーンを演じる、という謎のニコイチシーンがあり、
オリジナル・ニコイチ両方に出演しているフィリップ・コーやスン・カムロイとも共演するシーンも無く、
さらに忍者とも共演シーンが無い、という本当に謎展開がありますが、このキャラクターが何者なのか、という説明も無いままに終了してしまいます。
何なのでしょうか、、、。
という事で、本作も、わざわざ忍者映画に改変しなくても、オリジナルの要素だけを英語に吹き替えれば海外でも受け入れられそうな作品を、
人気があるのか、無いのか良く分からない忍者映画に仕立てあげた作品となっていますので、変わった映画がお好きな方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
因みに、本作冒頭からいつものように、(キン肉マン)の無断流用BGMが流れまくりで、至る所にどこかの作品のBGMが流用されていますが、
BGMに関しては、1990年代ぐらいまで、香港映画界自体に、映画のために独自に音楽を作曲して、BGMを付けるという文化自体がありませんでしたので、
有名な香港映画でも結構な割合で他の作品のBGMを流用していたりしますが、流石に、フィルマーク社作品のように、
何度も何度も流しまくる、というのはやっぱりやり過ぎですね、、、。
作品情報
1986年製作 香港製作 忍者アクション
監督 ラリー・ハットン(ゴッド・フリーホー) 製作 トーマス・タン
出演 リリー・チャン、スン・カムロイ、フィリップ・コー、チャーリー・チャン、ハン・クォツチョイ、トニー・ゲーブル、ジュディ・ケイン、ロッド・ペン
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