おすすめ度 ★★★☆☆☆☆☆☆☆
(男たちの挽歌)のレイ・チーホンが(皇家戦士)のマイケル・ウォンと共演した、カンフー映画で有名なワン・ロンウェイ監督によるドラマチックな香港ノワール作品!!
作品紹介
1989年9月2日公開
今回ご紹介する作品は、(男たちの挽歌)でブレイク中だったレイ・チーホンが主演した香港ノワール作品です。
それでは、まずはあらすじから、
ラッキー、チートー、チックの3人は、チートーの従妹であるチャンの口利きで、台湾の黒社会との偽札取引を進めていた。
しかし、チャンの密告によって、取引は警察の襲撃を受けて、ラッキーは逮捕されてしまう。
そして数年の歳月が流れ、出所したラッキーは、チートーの下を訪れる。
時を同じくして、行方不明になっていたチックが車椅子に乗った姿で香港に帰ってくるが、チックが戻った理由は、チートーに復讐するためだった!?
監督・武術指導、そして刑事役でゲスト出演もこなしているのは、(続少林寺列伝)や、(少林寺武者房)、
(燃えよデブゴン!お助け拳)(詳しくはこちら)等の多くの名作カンフー映画の強敵役等で知られるワン・ロンウェイで、
監督としてはアンデイ・ラウ主演の(餓狼列伝)や、日本の村上麗奈主演の(香港異人娼婦館)等色んなジャンルの作品を演出しています。
主演は(皇家戦士)や(ファイヤードラゴン)、(香港スワット野獣たちの陰謀)、(香港捜査官クライムキーパー)等、
爽やかなイメージの時期(それを逆手にとった悪役もありますが)のマイケル・ウォンで、裏の世界に生きる若者を好演しています。
で、もう一人の主演であり、本作全体でも一番の魅力であるとも言える役柄を演じているのは、(男たちの挽歌)出演でブレイクした直後のレイ・チーホンで、
挽歌出演後の一作目である本作は、かなり(男たちの挽歌)を意識したような内容となっていますので、
レイ・チーホンありきで練られたような展開が目立つ作品となっています。
因みに、その後レイ・チーホンは、チョウ・ユンファと再び共演した(大丈夫日記)や、ジョニー・トー監督の(城市特警)、
ツイ・ハーク製作の(ガンメン)や(チャイニーズゴーストストーリー2)と、大活躍し、最近でも(追龍番外之十億探長)等多くの作品に出演しています。
で、2人組の兄貴分的な存在で、序盤で悲劇的な出来事に巻き込まれる裏社会の男役で、元警察官という異色の経歴を活かした監督作や脚本で活躍すると同時に、
俳優として(平安夜サイレントナイト)(詳しくはこちら)や、(五福星)、(七福星)等、助演を中心に多くの香港作品に出演しているフィリップ・チャンが登場し、
珍しく物語の一つの鍵とも言えるキャラクターを演じています。
で、そんな三人の運命を狂わせる役柄で、古くは(南拳北腿)(詳しくはこちら)や、(ブルース・リー物語)(詳しくはこちら)等のカンフー作品で活躍していたリチャード・チェンが登場し、
誰が見ても感情移入お断りな悪役を演じています。
で、前半に登場し、レイ・チーホンを悩ませる原因ともなる元恋人で、現マイケル・ウォンの奥さん役を演じているのは、
同年に(大丈夫日記)や(ガンメン)でもレイ・チーホンと共演する事になるン・ガーライで、それ以外でも(クレージー警部 替え玉作戦)(詳しくはこちら)や、
翌年以降も(ミッシングマン)(詳しくはこちら)や(リーサルパンサー2)(詳しくはこちら)等、多くの作品で活躍していく事になります。
で、さらにお金のためにリチャード・チェンと付き合っているけれども、中盤マイケル・ウォンと良い仲になる第二のヒロイン役で、
(悪漢探偵5最後のミッション)や、(レディスクワッド)、(タイガー・オン・ザ・ビート2)等アクション作品で活躍しているエレン・チャンが登場し、後半を盛り上げてきます。
で、後半からの登場ですが、主人公二人を少年時代から世話している人の良いおじさん役で、(片腕必殺剣)や(空飛ぶギロチン)等のショウブラザース社作品から、
(プロジェクトBB)や(カンフーシェフ)(チェイス・フロム・ビヨンド)(詳しくはこちら)等、長年に渡って多くの香港映画に出演してきたクー・フェンが登場し、作品の世界観を深めています。
で、さらに、こちらも後半からの登場ですが、フィリップ・チャンの息子役で、チョウ・ユンファ主演の(プリズン・オン・ファイヤー)や(男たちの挽歌2)、
ジェット・リー主演の(ハイリスク)等のアクション作品で活躍しているブルース・マンがアクションを披露しています。
その他にも(カジノレイダース)(詳しくはこちら)等への助演や、(野獣特捜隊)やジャッキー主演の(新ポリスストーリー)等、
監督としても有名なカーク・ウォンが、例によってどうしようもない悪徳警官を演じています。
そんな、スタッフ・キャストが結集した本作の物語は、若者二人(マイケル・ウォンとレイ・チーホン)と少し年上の兄貴分(フィリップ・チャン)が、
レイ・チーホンのいとこ(リチャード・チェン)のコネで台湾の黒社会と偽札の取引の準備をしているところから始まります。
で、このリチャード・チェンが曲者というか、完全な悪党で、その取引自体をワン・ロンウェイ演じる警察官に密告していて、
取引半ばで、警察隊に襲われる事になります。
で、この騒動で、マイケル・ウォンだけが逮捕されてしまい、フィリップ・チャンとレイ・チーホン、そして警察に密告したのに、
完全に無視されて銃撃されたリチャード・チェンとマイケル・ウォンの奥さんであるン・ガーライが、なんとか逃げ切る事ができます。
で、初登場から実に怪しげにン・ガーライを見つめていた(レイ・チーホンの元カノで現マイケルの奥さんという危うい状況でしたが)レイ・チーホンが、
マイケルがいなくなった事を好機と考えたのか、ほとばしる想いを勢いに任せてぶつけてしまう、という失態を、
まさかの逃げている船の上でやらかす、という【やっぱりな】的な展開で、決定的な亀裂が生じ、フィリップ・チャンに銃を向けられます。
で、一緒に乗船していたリチャード・チェンも銃を向け、、、という緊迫した状況で、
あえなくフィリップ・チャンは銃弾を受けて海へと落ちてしまい、ン・ガーライも、、、
という感じで、取引は最悪の状態で幕を下ろし、そこから数年の歳月が流れ、いよいよマイケルが出所して街に帰ってくる、という所から第二章に突入していきます。
ここまでもかなりハードな展開ですが、ここからもなかなかのハードさで、取引のおかげで会社を起業し、運送会社を順調に経営しているレイ・チーホンと従妹であるリチャード・チェン、
そして、前半は全く登場しなかったのに、急遽登場する少年時代にお世話になったサッカーのコーチであり、
現在は、経営に苦しむ食堂をなんとかやりくりしているクー・フェン、そして、お金のためにリチャード・チェンと付き合い、
会社でも従業員として働いてるエレン・チャンの登場、さらに背中を撃たれてしまった事で、半身不随になりながらも、
息子の手助けによって、レイ・チーホンに復讐するために香港に戻ってきたフィリップ親子、さらに、リチャード・チェンの相変わらずの悪党ぶりで、
警察内部の汚職警官として登場する相変わらず憎たらしいカーク・ウォンの登場という感じで、中盤以降もかなりドラマチックに濃い目の物語が展開していきます。
物語展開等は、やはり(男たちの挽歌)の影響はかなりあり、レイ・チーホンの危うい役柄も挽歌の影響をかなり受けてはいますが、
本作が挽歌と決定的に違う点は、中盤までレイ・チーホンが自身の短絡的な想いのせいで招いてしまった多くの過ちを、
後半あたりでは、後悔し、自身の命でしっかりと償う覚悟を決めて事に挑んでいる、という点で、前半は怪しい雰囲気満点の、
(男たちの挽歌)で演じたラスボス、シンのような黒い雰囲気に満ちていますが、後半は、全く毒気が抜け去り、
自身の命を懸けてでも、友人たちへ詫びたい、という善意に満ちたキャラクターへと変貌を遂げていく、
というある意味(男たちの挽歌)を意識しながらも、その流れを変えていく事で、本作独自の魅力を生み出しています。
そうなってくると、前半でいくらやらかしても、マイケル・ウォンたちに復讐されるような対象ではなくなってきますので、
あとは最初から最後まで一貫して悪党なリチャード・チェン(と、ついでにカーク・ウォン)へと矛先は向かうのですが、
このクライマックスのラストガンバトルが、流石にアクション映画で活躍してきたワン・ロンウェイ監督(アクション指導兼任)作品らしく、
主要なキャラクターが総出で活躍する壮絶な撃ち合いのはてに、レイ・チーホンもなかなかの男泣きの名演を見せてくれますので、
非常にアクションに、ドラマに、熱いエンディングシーンとなっています。
例によって、香港映画らしく、素晴らしいエンディングでも余韻の欠片も残さないようなズバッと切られてしまうラストではありますが、、、、。
という事で、(男たちの挽歌)程ではありませんが、なかなかドラマチックな男たちのドラマを描いた作品となっていますので、
香港映画好きの方や、香港ノワール好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1988年製作 香港製作 ノワールアクション
監督 ワン・ロンウェイ アクション指導 ワン・ロンウェイ
音楽 ジェームズ・ウォン、ロメオ・ディアズ
出演 マイケル・ウォン、レイ・チーホン、フィリップ・チャン、リチャード・チェン、エレン・チャン、ン・ガーライ、カーク・ウォン、クー・フェン、ブルース・マン
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