カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆
カール・マッカが監督、ラウ・カーウィン、ディーン・セキが主演し、サモ・ハン作品お馴染みのメンバーが結集して製作したコメディカンフー作品!!
作品紹介
1979年12月8日公開
今回ご紹介する作品は、マール・マッカが監督、ラウ・カーウィンが主演したカンフーアクション作品です。
それではまずはあらすじから、
赤ん坊の頃、森で夫婦に拾われたその名無しの子は、すくすくと善良な人間として育つはずだったが、
悪人に攫われたり等の不幸が重なり、青年になる頃には、立派な詐欺師として生計を立てていた。
そんな名無しの青年が、ある日街で一流の詐欺師に出会う事で、裏の世界での大冒険が始まるのだった!?
カール・マッカが監督し、ラウ・カーウィンとディーン・セキが主演した豪華キャストのコメディカンフーアクション作品です。
作品の出演者や雰囲気は、もろにサモ・ハンキンポー主演の(燃えよデブゴン正義への招待拳)(詳しくはこちら)や、
(燃えよデブゴン豚だカップル拳)、(燃えよデブゴンカエル拳対カニ拳)(詳しくはこちら)とそっくりですので、
サモ・ハンが出演していないことの方が違和感があるぐらいですが、サモ・ハン以外総出演ぐらいに豪華なキャストのカンフー作品となっています。
そのあまりに豪華なキャストは、主演の名無しのみなしごモウメン(無名)に(モンキーフィスト猿拳)(少林寺三十六房)(ドラゴン修行房)(詳しくはこちら)等、
あらゆるタイプのカンフースター出演作品に出演し、本作では武術指導も担当しているラウ・カーウィン、
その相棒的な師匠となるコソ泥役に、こちらも(スネーキーモンキー蛇拳)や(燃えよデブゴン10 友情拳)や(アラン・タムの特撮異星人大騒動)(詳しくはこちら)、
そしてイメチェン以降の(男たちの挽歌2)等、多くの香港映画で個性的な魅力を発揮しているディーン・セキ、
そして中盤第二の師匠として登場する殺し屋役で、サモ・ハン作品での大活躍だけではなく、近年になっても(イップマン)シリーズ(詳しくはこちら)等でも
大活躍中の髭のカンフースター、リョン・カーヤン、
主人公達が最終的に倒すべきラスボスとなる殺し屋役に(燃えよデブゴン正義への招待拳)とほとんど同じようなキャラクターで登場するチョン・ファ、
さらに、脇役の殺し屋役で(密宗威龍)(詳しくはこちら)や(霊幻道士)の道士サマ役でお馴染み、ラム・チェンインや、
(蛇猫鶴混形拳)(詳しくはこちら)や(ポリスストーリー)、(カンフースタントマン)(詳しくはこちら)等のマース、
主人公二人に殺し屋殺害を依頼する役柄で(悪漢探偵)シリーズ等への出演や、本作では監督も務めるカール・マッカ、
主人公がカンフー道場に立ち寄るシーンで見掛け倒しの師範を演じる(スネーキーモンキー蛇拳)や(カンフーハッスル)(詳しくはこちら)、
(ブルース・リの復讐)(詳しくはこちら)等のチウ・チーリンという感じで、カンフー作品でお馴染みのスターがこぞって登場します。
顔ぶれは馴染みのキャストではありますが、物語自体はコメディを基調としながらも意外にシリアスな面もあり、
カンフー作品飽和状態だった製作当時の1979年に、他の作品とは違った味付けを加えた作品としての意欲を感じる物語展開となっています。
まずは主人公は名無しの捨て子で、なんだかんだとしたたかに青年となったという感じで、一人で生きるために何でも貪欲にやってきた、という生い立ちになっています。
ですので、本作はコメディカンフー作品ではありますが、かたぎの世界の物語ではなく、裏社会でしのぎを削る男たちの生きざまを描いた作品となっています。
お笑い要素はふんだんにありますが、要所でシリアス展開になったりしますので、他の明るい調子一辺倒のコメディカンフー作品とは少し趣が違っています。
前半は、街で出会った天才的な詐欺テクニックを持つディーン・セキに弟子入りしたラウ・カーウィンがひたすらカンフーを修行しながら騙しのテクニックを学ぶ、
という事で、『人を騙して金を儲けるためにカンフーを修行しろ』というディーン師匠の独特の教えの下にカンフーをなんとなく修行しつつ騙しのテクニックを磨いていきます。
で、一応それなりには強くなっているという描写が街のチンピラとの喧嘩ファイトで描かれますので、少しはスキルアップしたラウ・カーウィンとディーン師匠が、
今日も街で詐欺を働いていると、その様子を見ていたカール・マッカとメグ・ラム夫婦が、ジャンルの違う裏の仕事、殺しを依頼してくる、
という事で急にシリアス度が高くなっていきます。
で、その殺しの標的がチョン・ファで、(燃えよデブゴン正義への招待拳)とほとんど変わらない、誰が見ても悪人の殺し屋風貌ですので、
主人公達が、何の恨みもない他人を、4人がかりでよってたかって殺そうとする、
というコメディカンフー映画では一度も見た事もないような展開も、
裏の社会での物語という事で、なんとかギリギリ気にしないように見れるようになっています。
ただ、この殺し屋登場以降、物語はインチキ詐欺師のズッコケ珍道中物語から、急激に殺し屋の世界の物語へとシフトしていき、
その後、弟子を見捨てて逃げてしまったディーン師匠と別れたラウ・カーウィンは、ある食堂で初老の武術家と知り合い、
その男の武術の腕に憧れて、あっさり弟子入りします。
その男が偶然、その街の有名な殺し屋のもう一人で、演じているのがお馴染みリョン・カーヤンとなっています。
弟子入りから、リョン・カーヤンの自宅で住み込みしながらのカンフー修行、という流れ自体はカンフー映画王道展開ですが、
そこでも本作の独特の味付けがあり、普通にカンフーの腕を上げたくて弟子入りしたように見えて、実際の修行に入っていくと、
カンフーの修行というより、いついかなる時も気を緩めず、隙を見せずに周りに注意を向けたり、
相手の隙を突いて攻撃を仕掛けて、とどめを刺したり、という感じで、
純粋な武道の修行ではなく、暗殺者としての心得や殺しのテクニック、が中心という本作独自の世界観を貫いた描写となっています。
結局、最終的にはディーン師匠と再会し、ラスボスであるチョン・ファと2対1のラストバトルへと突入していき、
その前哨戦としてラム・チェンインやマースが登場するカンフーアクションの連続となりますので、結局は王道展開へと戻っていく事になります。
ただ、やはり、このお笑い要素が全開の作品なのに、主人公が殺し屋になって、楽しくやり取りしていたキャラクターが殺されてしまう、
という笑い飛ばし切れないような要素が入っているために、他の能天気な(誉め言葉です)コメディカンフー作品とはちょっと違った作品になっています。
詐欺師だけで通していれば、結構楽しい作品となったと思うのですが、、、、。
ただ、ディーン師匠復活後のラストバトルのディーン・セキが繰り出す猿拳(というかヒヒ拳という感じです)が、
非常に素晴らしい動きで(スタントもありですが)、出演している他のほとんどの作品では、アクションは無く、あったとしても、ズッコケ系のコメディアン的なアクションですが、
本作では意外に身体能力が高い事が証明されています。
コメディアン的な動きの延長かもしれませんが、ヒヒ拳の動きが素晴らしく、相手役のラム・チェンイン等やチョン・ファのリアクションも伴って、
意外に名勝負なコメディアクション対決となっています。
という事で、ちょっと雰囲気の違うカンフーアクションを目指して、異質な感触の作品にはなっていますが、
一流のスタッフ・キャストの素晴らしいカンフーアクションが堪能できる作品となっていますので、カンフー映画好きの方等ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、日本では劇場公開までされている作品なのに、VHS化、DVD化もされず、衛星放送でだけ奇蹟的に放映される、
という不遇過ぎる作品ですので、今からでもDVD化してもらいたいですね、、、。
作品情報
1979年製作 香港製作 カンフーアクション
監督・脚本 カール・マッカ 武術指導 ラウ・カーウィン
出演 ラウ・カーウィン、ディーン・セキ、リョン・カーヤン、チョン・ファ、カール・マッカ、マース、ビリー・チャン、メグ・ラム、チウ・チーリン
↓ランキングに参加しています。宜しければ下記をクリックお願い致します↓
映画レビューランキング
にほんブログ村