カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
アレクサンダー・ルー主演の忍者映画と思いきや、実際は中国と日本の僧侶が親交を深めながらも、陰謀によって敵対していく事になる意外に熱い展開のカンフーアクション！！忍者はちょい役です！！
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、忍者映画で有名なアレクサンダー・ルー主演のカンフーアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
清朝時代の中国、少林寺の資産を獲得したい日本人有力者は、計略を巡らし、少林寺へのスパイ目的で、日本の武僧を招集する。
命令を受けた僧侶は早速少林寺を訪れるが、少林寺住職の仏門への深い志に感銘を受け、逆に弟子入りを志願する。
これを受けた日本人有力者は、さらに計略を計り、少林寺と日本僧が、お互いに憎み合うように仕向けていくのだった！？
（ニンジャハンター炎の勇者たち）（詳しくはこちら）や（ドーベルマンコップ）（詳しくはこちら）等のニンジャ作品で有名なアレクサンダー・ルー主演のアクション作品です。
とはいえ、今回は忍者役ではなく、中国側の少林寺の僧侶役で、完全な主演という感じではなく、多くの僧侶の内の比較的主役に近い役柄、となっています。
少林寺の資産を狙う日本の有力者が、少林寺乗っ取りを計る物語で、アレクサンダー・ルーは日本人と戦う中国側の武僧という設定になっています。
さらに言うと、本作しっかりと原題や英題にも忍者の文字が入っていますが、実際は忍者はそんなに関係なく、基本的には後半の日本側の刺客の一部として登場します。
ですので、厳密にいうと忍者映画ではなく、異文化を持つ拳士が、戦いを繰り広げながらも、その戦いの中で、
お互いの内面に触れ合い、同じ武道の道を志す者同士として理解し合い、文化の壁を越えて強い絆で結ばれていく、
という熱いドラマとなっています。
同じような流れの作品で言うと、ラウ・カーリョン監督の名作（少林寺VS忍者）や（南少林VS北少林）、（少林寺武者房）等があり、
いずれの作品も、敵対関係にはなってしまうものの、善VS悪という単純な構図ではなく、それぞれが善だと信じるもののために雌雄を決する中で、
お互いを理解していく、という殺伐としたエンディングの多いカンフーアクション作品の中では、非常に後味の良い内容の作品群となっています。
監督は、ジャッキー・チェン主演の（新ドラゴン怒りの鉄拳）や（少林門）等のカンフー映画への脇役としての出演から、
その後監督として（少林童子功）、（武僧）（洪門闘忍者）等のアレクサンダー・ルー主演作品で活躍していく事になるロバート・タイが自身も僧侶役として出演しながら演出しています。
本作では、その熱い異文化武僧対決に忍者が絡んでいく、という感じで、一応の忍者映画となっていきます。
ただ、この忍者も、少林寺の資産を横取りするために、日本のサムライ兼忍者が計略を巡らせる、という設定になっていますので、
サムライ＝ニンジャ＝悪人、というイメージで統一されていますので、忍者の細かい設定が描かれるわけではなく、漠然とした悪人イメージで登場します。
という事で、一応の主人公であるアレクサンダー・ルーは正義側である中国の僧侶として登場します。
アレクサンダー・ルーが出演してる作品は、ニコイチ作品等もあり、アクションは凄まじいながらも、ストーリー展開に難あり、といった作品も少なくないですが、
本作に関しては、ストーリーもしっかりあり、アレクサンダー・ルーが主演級でありながらも、他の作品にありがちな無敵超人のような、
動けるセガール作品のような、力強すぎる展開になるような事もなく、物語世界の一人のキャラクターとして活躍しています。
ですので、あの濃凄る存在感が調度良く薄まり、作品全体を盛り上げる要素として上手く機能しています。
もしかすると、アレクサンダー・ルー、これぐらいの扱いが一番キャラクターに合っているのかもしれません。
ただ、やはりいつものアレクサンダー・ルー作品のように、荒唐無稽な要素も多く、珍妙な服装の日本人武士の描写を始めとして、
アレクサンダー・ルーが主役かと思いきや、実際には大僧正が主役級に無敵ぶりを発揮してみたり、
クライマックスの試合シーンでは、アレクサンダー・ルーが他のカンフー映画で、見た事もないような（グラディエーター）風の衣装着用で戦ってみたり、
それ以外の日本人僧侶も何故か半ズボンだったり、と個性をつけようとして、逆にその個性が全てツッコミ所になっている、
というアレクサンダー・ルー作品らしい独特の個性を持つ作品となっています。
ただ、熱いドラマを盛り上げるアクションは、全てがハイレベルで、それぞれの対決が描かれる試合シーンや、
日本僧と少林寺僧が共闘して忍者と戦うクライマックス、そして、全ての戦いが終わった後、
どうしても無敵の大僧正に戦いを挑みたい日本人武士役のアラン・ツイと、それを受け入れる大僧正との本当のラストバトルも熱く、
ハイレベルな技の応酬となっていて、終幕までアクションとドラマを楽しめるしっかりとまとまった作品となっています。
アレクサンダー・ルーは関係なくなってしまっていますが、、。
という事で、色々とツッコミ所はありますが、基本的にはドラマとアクションをしっかり楽しめるカンフーアクション作品となっていますので、
香港映画好きの方や、カンフーアクション好きの方など、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1983年製作 台湾製作 カンフーアクション
監督 ロバート・タイ 武術指導 アラン・ツイ
出演 アレクサンダー・ルー、アラン・ツイ、ジョージ・チャン、ロバート・タイ
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