カンフー映画としてのおすすめ度 ★★★★☆☆☆☆☆☆
実在する報国時を舞台に、厳しすぎる戒律と金国兵士の武力制圧によって板挟みになる主人公を、中国武術チャンピオンが演じた本格派のカンフーアクション!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介するのは、実在する寺を舞台に、実際の中国武術チャンピオンがアクションを披露するカンフー作品です。
それでは、あまずはあらすじから、
厳しい戒律を持つ報国寺の僧侶チーシンは、師匠と共に薬草を採る修行に出ていた。
その途中に立ち寄ったある村で、金国兵士よる村人襲撃の現場を目撃する。
あまりの非道さに、寺では禁じられていたカンフーを用いて兵士を撃退し、村人を救うチーシンだったが、
寺からはその行いを非難され、刑罰を受けるのだった。
その後、寺から追われる身となったチーシンは、反政府の組織と行動を共にし、戦いに身を投じていくのだった!?
実在する報国寺を舞台に繰り広げられるドラマを実際の中国武術チャンピオンであるリュー・ツェンリン主演で描いたカンフーアクション作品です。
主要でアクションのあるキャストは、ほとんど実際に武術ができるメンバーで固められている作品ですので、スター俳優は見当たらず、
代わりに本作でしか見ることができないような本物の武術家のアクションが堪能できる作品となっています。
一見、少林寺映画で良くありがちな政府と寺の戦いを、架空の寺に置き換えて描いているように思えますが、
舞台となっている報国寺は、実在している寺ですので、一応、実在する寺で起きた出来事のていで物語は進んでいきます。
ただ、かなり極端な表現の多い物語で、普通に観ていると主人公の悲劇の物語部分よりも、報国寺の戒律の厳しさのレベルが、
非道なぐらいに厳しいので、かなり誇張しているのではないかと思われます。
正直、実在する仏教のお寺で、本作のような出来事が起きたとすると、その非道ぶりに、お寺の名誉が傷つけられてしまうレベルの凄まじい描かれ方となっています。
つまり、厳しい修行を積んでいる修行僧の物語を描きたいようですが、どう観ても、高僧の非道な圧政に苦しめられている可哀そうな修行僧の物語にしか見えません。
そんな非道物語は、主人公の若き僧、チーシンと直属の師匠が、厳しい戒律に背いた罪で、薬草を取りに行く苦行に出ている所から始まります。
そこで偶然立ち寄った村で、金国の圧政に苦しむ村が、兵によって略奪の限りを尽くされ、簡単に命を奪われている現場に遭遇します。
そこで、実は人知れず武術の訓練を積んでいたチーシンは、迷いながらも見事に兵を撃退し、村人からは大変感謝されますが、
寺に戻ってみると、その英雄的な行為を褒められるのかと思いきや、まさかの暴力的な行動である戒律違反とされ、罰則が言い渡されてしまいます。
その刑罰は、、、、、
手足切り落としの刑!!
、、、、、、、、、。
という感じで、全てが全て、戒律を守るための厳しい罰則を有する寺、というより完全に監獄のようなルールに支配されている異世界のような寺として描かれています。
とにかく、何でも駄目、駄目、駄目の繰り返しで、その都度、罰則、罰則、罰則と繰り返されます。
あまりの厳しさに、もう何が駄目で何が良いとされるのか、全く分からないぐらいに何でもかんでも罪人扱いされてしまいます。
しかも、俗世の事には関われない、という名目で、助けを乞う市民を見殺しにしたり、寺を守る名目の下に、
金国の兵士には頭をさげて唾を吐きかけられてもそのまま我慢するが、市民のいう事には一切耳を貸さない、
という、100年の歴史のある寺の戒律を最優先するあまりに、いつのまにか、仏教を信仰する寺としての存在意義自体がおかしくなってしまっているような寺として描かれています。
それでも主人公を始めとして、直属の師匠や、善悪の分かる師匠たち等、少数派ですが、まともな感覚の僧も存在しますが、
非常に少数派で、本来そういう少数派が立ち上がって、保守派を圧倒していくからこそ盛り上がるはずの物語が、
本作では、そうはならずに、虐げられている者は、とことん虐げられまくります。
一応、散々、非道な刑罰を奔放に言い渡しまくった大僧正たちも、ラストバトルの最後の最後に、こと切れる直前で、
『お前たちの言う通りだった』というたった一言の台詞で、自分達の愚行を悔い改める、というより、ただ単に後悔の念をさらっと見せて終わらせますが、
それで挽回できるはずもなく、本編中の9割を、非道な刑罰を推し進める、非道な戒律の寺物語が延々と描かれていきます。
現地で撮影されている作品ですので、寺側が撮影協力をしていると思われますが、実際のところ、報国寺は、こんな描かれ方をされても大丈夫なのでしょうか、、、。
もう少し、内容に口を挟んでも良いような気がしますが、、、。
あと、本作はエキストラの数が物凄く、金国の進軍シーンや、報国寺の寺院内のシーン等、所狭しと人で埋め尽くされています。
八百羅漢というタイトルも、あながち嘘ではない、ぐらいに物凄い数のエキストラが登場します。
少林寺もの(少林寺が舞台ではありませんが)定番となるラストの大乱闘にも期待が高まりますが、本作、どうも武術ができるのはメインキャストのほんの数名のようで、
基本的にはどのアクションも主人公が多くのエキストラ兵の前で単独で超絶アクションを披露している模様を、
多くの兵士がしっかりと場所を開けて確保して、周りで直立不動で、見ているだけ、というシーンが続きます。
ラストバトルでは、それぞれの僧がそれなりには戦うものの、基本的には何もしていない兵士も多いので、
物凄く大勢の人前で、ダイナミックな演舞を披露している主要メンバー、という感じがずっとしてしまうのが、ちょっと残念な描かれ方となっています。
それなら、もう少しエキストラを少なくして、それぞれのアクションにスポットを当てたバトルシーンでも良かったような気がしますが、どうでしょうか。
とは言っても、アクション自体はやはり本物ですので、観ていて飽きることはなく、どのアクションも素晴らしい戦いとなっています。
という事で、物語としては、結構な不快感も伴うストーリーですが、アクションに関しては素晴らしい、の一言に尽きる作品となっていますので、
香港映画好きの方や、カンフーアクション好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
それにしても、喧嘩の罰が、手足切断て、、、。
作品情報
1985年製作 中国・香港製作 カンフーアクション
監督 ウォン・シンロイ
出演 リュー・ツェンリン、ガオ・ホンピン
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