おすすめ度 ★★★★★★☆☆☆☆
(検事Mr.ハー)のシンシア・ラスロック主演、(パッセンジャー57)のケビン・フックス監督によるショッピングセンターを舞台にしたダイハード型アクション!!短い作品ですが、面白いです!!
作品紹介
日本劇場未公開
今回ご紹介する作品は、シンシア・ラスロックが活躍するレディースアクション作品です。
それでは、まずはあらすじから、
引退を決意したベテラン刑事のハリスの新しい相棒は、警察学校を卒業したばかりの女性警官シャーロットだった。
出会って早々に事件に遭遇し、犯人は逮捕したものの、多大な被害を出してしまった二人は停職となってしまう。
そんな中、立ち寄ったショッピングモールが、謎の武装集団によって占拠されてしまい、非武装のシャーロットが建物内に取り残されてしまう。
多数の要人が人質となってしまう中、シャーロットのたった一人の戦いが始まる!?
監督はウェスリー・スナイプス主演の空の(ダイハード)とも言える(パッセンジャー57)や、パトリック・スウェイジ主演のトラックアクション(ブラックドッグ)(詳しくはこちら)
等のアクション派監督ケビン・フックスで、本作でも当時流行りの(今もですが)、(ダイハード)型の限定空間アクションをテンポ良く描いています。
主演は、1980年代中ごろに、(レディハード)や(上海エクスプレス)、(レイジングサンダー)(詳しくはこちら)(検事Mr.ハー)等、多くの傑作香港映画で活躍した後に、
1990年代からはアメリカに戻り、(リベンジ・オブ・デス)(詳しくはこちら)シリーズなどで活躍していた時期の元空手チャンピオン、シンシア・ラスロックで、
本作でも格闘にガンアクションに、と大活躍しています。
で、相棒となるベテラン刑事役に、人気のテレビシリーズ(私立探偵マイク・ハマー)や、(エスケープ・フロム・LA)、(ロードゲーム)(詳しくはこちら)等の
名優ステイシー・キーチで、安定の演技力と存在感で、シンシア・ラスロックと名コンビぶりを発揮していきます。
そんなアクション映画常連のスタッフ・キャストが製作した本作の物語は、これがかなりのシンプルさで、
現場で無茶な活躍をし過ぎて、そろそろ引退を決意しているベテラン刑事であるステイシー・キーチが、
親友でもある上司の警察署長にお願いして、これから暫くは相棒は、猪突猛進型の若手男子刑事ではなく、
新人の女性刑事にして欲しい、と嘆願するところから始まります。
理由は、統計的に男性刑事はすぐ銃を抜くけれども、女性刑事は、まず説得で事を治めようとするので、銃撃戦に発展する確率が少ないから、
というなんとなく納得できそうな理由で、勿論、『該当するやつが一人いる!』という展開になっていきます。
しかし、ある理由で、刑事の試験には落第してしまって保留中、という条件付きで、シンシア・ラスロックが登場します。
そこで、会ってみると、普通の女性に見えますが、勿論、そのミーティング中に人質強盗事件が発生!
速攻で、犯人に向かって行って、コテンパンにのしてしまったシンシアの口から、
『犯人に対してやり過ぎて、落第したのよ。』
という聞きたかった台詞を聞き、ステイシー&シンシアのバディコンビが誕生します。
ただ、相当派手に暴れまわったので、結構な損害が出てしまっていて、署長からは大目玉、シンシアは刑事に成れないどころか、
シンシアを庇ったステイシーまで『あいつを庇うなら、お前も停職!』という署長の気分一つで、ベテラン刑事まで停職にされてしまいます。
ただ、既にシンシアの実力を目の当たりにしていて、その事件解決のためならどんな目にあっても犯人逮捕に突き進む、という部分にかつての自分自身を見たステイシーは、
既にシンシアとの間に信頼関係が芽生え始めていて、停職処分を受けて落ち込んでいるシンシアに、
『友達はいるのか?いないなら、うちに来て家族と一緒に食事でもしないか?』と誘います。
『では、あなたを停職にさせてしまったお詫びを、奥さんに買っていかないとね。』
という感じで、お待ちかねのメインの舞台となるショッピングモールに、停職中の二人の刑事が立ち寄る事になり、
お約束の(ダイハード)展開へと突入していきます。
本作、テレビムービーという事で、78分という、近年の配信専用中国映画並みに短い上映時間の作品ですが、
流石に有名ハリウッド映画作品や、(プリズンブレイク)等の人気シリーズの多くのエピソードを監督しているケビン・フックス作品だけあって、
短い分数で、人物紹介や、状況説明等を非常に的確に、しかも伏線等もさりげなく散りばめつつ、それを後半ササっと気持ちよく回収してきますので、
シンプルな設定の作品ながらも、物語が盛り上が多数挿入されています。
登場人物達も、短いエピソードをサラっと挿入する事で、その人物のひととなりも把握でき、しっかりと感情移入できるように演出されています。
この人物描写によって、反目していた二人のバディも、次第に友情で結ばれていく過程が順序だてて描かれていますので、
そのままシリーズ展開できそうな、2人の活躍をもっと見てみたくなるような魅力を放ち、作品の魅力を引き立たせています。
もちろん、シンシアの見せ場は格闘アクションを含めたガンバトルですが、父親からは幼い頃からシャーロットという名前なのに、
チャーリーと呼ばれて男子のように鍛えて育てられて、それが原因で女性らしくできないので、いつも上手くいかない、というコンプレックスがあったり、
ステイシーの方には、毎回銃撃戦になる度に弾丸を喰らってしまう事で、家庭内での奥さんとの間で少々険悪なムードになりけていたり、
という感じでそれぞれのバックグラウンドもしっかりと描かれていきます。
勿論、ステイシーは、そういう状況の中での停職、という事でプレゼントの一つでも買って機嫌を取りたい、
というこのショッピングモールに向かう理由の一つにもなっていますし、
シンシアの名前のエピソードは、冒頭で二人が出会った当初は、ステイシーがシンシアを小娘扱いしているので、
小ばかにしたような態度で、シャーロットという名前をシャーリーンなどと、わざと間違えたりしますが、
本格的なダイハード展開になってくると、シャーロットを通り越して父親から呼ばれていた愛称チャーリーで呼ぶ、という非常にグッとくる距離の狭め方で友情の発展を描いていきます。
しかも、この名前のやり取り、全てが終わった後に、今度は逆にステイシーの方の名前をシンシアがわざと何度も言い間違う、という非常に気持ちの良いラストシーンと繋がっていきます。
見せ場であるアクション展開の描き方も見所満載で、現場であるショッピングセンターで人質として捕まっていた少年は、実は何度もその建物に万引きをするために忍び込んでいて、
建物内の設備に詳しいので、詳しくないシンシアと臨時のバディを組んでいく、というワクワクするような展開にもなりますが、
なにぶん少年なので、テロリストに傷つけられないように守りつつ、通気口等を這いずり廻る、という戦いに有利になる要素が、そのまま弱点にもなる、というハラハラ要素も展開されていきます。
さらに、実は無敵のシンシアも高所恐怖症だった、という本家のお約束設定も踏まえて、テロリスト相手に戦いを挑んでいきます。
ステイシーは、たまたま席を外していた、(というか、嫌われている同僚に外に連れ出されていた)ので、隔離されたショッピングセンターの外にいますが、
外野で終わることはなく、しっかりと中盤から、単身でゴミの廃棄ダクトからよじ登り、止める同僚に、
同僚『そんな事して、命を失ったら、奥さんが泣くぞっ!』
ステイシー『俺が死んだら、葬式はいらん!裏庭の犬の隣に埋めてくれ、と伝えてくれ!』
と言いながらダクトをよじ登っていきます。
で、終盤、いよいよ二人も合流して、追い込まれた悪党とのガチンコバトルが始まる!
という感じでクラマックスを迎える事になります。
とにかく、短い作品なのに、惹きつけられるエピソードが多く、アクション自体もテンポ良く適度に描かれていきますので、
しっかりとした、規模が小さめの女性版ダイハード作品として楽しめるような内容となっています。
さらに大騒動の後、最後の最後に事件を解決してテレビカメラのスポットを浴びたシンシアが、その後、人知れず嬉しそうに父親に電話しているシーンで終幕を迎える、
という非常に良い余韻を残す作品となっています。
という事で、(ダイハード)の影響はかなり受けている作品ではありますが、少ない予算のテレビムービーながらも、
しっかりとアクション映画として楽しめる要素が詰まった作品となっていますので、アクション映画好きの方や、
レディースアクション好きの方等、ご鑑賞されてみてはいかがでしょうか。
作品情報
1993年製作 アメリカ製作 アクション
監督 ケビン・フックス
出演 シンシア・ラスロック、ステイシー・キーチ、ポール・ウィン・フィールド
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